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やんちゃな弟①

弟といっても、彼は私が学生時代に飼っていたうさぎのことである。しかも妹(犬)もいる。しかし彼らは随分前に他界し、今では写真を見て彼らを偲ぶしかない。

ちなみにペットを飼ったことのある方なら分かって頂きやすいと思うが、彼らは“ペット”ではなく完全なる“家族”だ。

ある程度のしつけ等はあるが、少なくとも私達家族にとってはまぎれもなく“家族”であったし、彼らも自分たちは“人間”であり“家族”と思ってたのではないか?とさえ思う。(本人達に聞いてみないと分からないが。)

しかも彼らは実は街中で偶然母の友人(以下、お姉ちゃん)やその家族に発見された、捨てうさぎ、捨て犬だった。

たまたま我が家が団地から一軒家に引っ越ししてきた時に、お声がかかった。

今回は弟の話なので、その話をしたいと思う。

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「らびちゃん、うさぎ飼わない?」

まだ中学生で、ただうさぎが好きという理由で、二つ返事で

「えー!!飼うっっっ!!!」と返事をした。

学校から帰ってくると、弟はつまらなさそうに、まるで円盤投げをするように口でくわえて、皿を振り回していた。(結構重たかったような気がするが)

この皿は昨日まで我々の食卓で使われていた皿だ。

ふと見ると、立派な一軒家の小屋が作られており、それは弟のためにお姉ちゃんの旦那さんが作って下さったという。しかも見た感じ頑丈そうで豪華で素晴らしいお家であった。

今は弟と言ってるが、この時点で性別は不明だった。

おそらく現在調べた所、その年じゅうに生まれているのは間違いないが、正確な月日が不明。

だから性別が判るまで、何と呼んでたか覚えていないし、性別判明後に母から命名され名前は決まったが、仮名として“くーちゃん”と呼んでいたことにする。

くーちゃんは大変気が強く、当初カミツキガメのように噛みに来て、大変怖かった。

お姉ちゃんの家で当時猫が数匹飼われていたのだが、弟は檻に入っているのにも関わらず、異様な雰囲気が出てるのか、猫からも恐れられていたらしい。

慣れないながらも可愛がったり世話を焼いてるうちに、私は中指(しかも血が吹き出すほど)、母は服を着ていたものの二の腕を噛まれ、しばらく青あざになっていた。

本当はいけないが、あまりにも二人とも強烈に痛かったので、各タイミングで、

「何するの!!」と怒り、叩くと弟は目をペケポンにしていた。

それ以来、弟は私達に危害を加えるような噛み方をしなくなった。
(こちらもよけ方がうまくなったのもあるだろうが)

当時はまだインターネットもなく、本屋に行けば多少うさぎの飼い方に関する本もあったかもしれないが、私は本を買うほどのお小遣いをもらってなかったし、本屋は父に車で連れて行ってもらわないと買いに行くこともできない不便な所だったので、やむを得なかった。

現在ならもうちょっと他の対応方法が分かったかもしれないなと、悔やまれてならない。

_____

弟はいたずらっ子で(今となってはそれがうさぎの習性と分かったが)、母の大切なものなど、よく破壊していた。

ある夏の暑い日に玄関の方が涼しいからということで、弟をそこで放していたのだが、母が電話をしている最中、ほんの少し目を離した隙に、玄関マットの上にいつの間にか飛び上がったようで、そのマットの糸を懸命に歯で引っ張りまくっていた。

「くーちゃん!!アカンやないの!!あ~あ~、二万円のマットが…(泣)」

と母が嘆いているのを聞き、私はあの玄関マットが二万円もするものとそこで初めて知った。

「それ、何とか修理できひんの?」

と聞くと、

「こんなもん、(修理)できへんわ!!もう捨てる!!」

と言って、母は潔く捨てていた。(母は捨てるのが早い)

その他にも、庭の掘ってはいけない所を掘りまくり、母が庭で大切に育てていたシバザクラを噛みちぎるか食いちぎるかして、めちゃくちゃになったと後日母から聞いた。

_____

私は私で、少ない小遣いをやりくりして、学校帰りにあったペットショップに寄って、人参の形をした軽石みたいな感じの噛むおもちゃを見つけて嬉しくなり、

「くーちゃんの為に買うたろ!!これで少しはあちこち噛むのがマシになるかも?!」

と、買って帰って、くーちゃんに与えてみた。

弟は「なんじゃこれ?」みたいに不思議そうにしていたが、一旦噛むと、噛み心地がいいのか、噛みまくっている。

「遊んでええんやで、あんたのおもちゃやねんから。」

と思って言うか言わないかのタイミングで、そのおもちゃを噛み切って真っ二つに割っていた…。

「えぇええぇぇぇ?!これ五百円もしたのに…。しかも私のお小遣い、もう暫くないねんけど(泣)」

この話は続く…

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