激務って本当?今、指導主事の「働き方改革」も進んでいます。

教員の「働き方」に世間の注目が集まっています。
部活指導、生徒指導、事務仕事・・・。
教員の最も大事な仕事は「授業」であるはずなのに、それ以外の業務が多すぎるという問題。
そもそも、「時間外手当」は定額が給与に含まれているという”給特法”があるために、昔は勤務時間の管理すら行ってこなかったという事実が問題の根深さを物語っています。

以前の記事で触れたように、教員から教育委員会指導主事になった場合、
立場としては教諭と同じなので、時間外手当は支給されません。
<前の記事>
ミドルリーダーと呼ばれるようになったら考えてみては?教員のライフプランに「指導主事」?

ということで、指導主事も勤務時間の意識はあまりなく、「帰る暇がないらしい」「仕事が朝まで終わらない」という噂とともに「指導主事はとんでもない激務だ」というイメージがついてしまっているようです。

学校が世間を巻き込みながら、教員の働き方を見直そうとしている今、
実は、指導主事の働き方も見えにくいところで変わってきています。
私が感じている指導主事の「働き方改革」についてお伝えします。

1.指導主事もようやく「勤務時間管理、始めました」
2.指導主事の業務は削減できるのか!?
3.これからの指導主事の「働き方改革」の行方

1.指導主事も「勤務時間管理、始めました」

最近、学校でも「タイムカード」や「PCでの出退勤記録」などで、これまであいまいだった教員の勤務時間が明らかになってきました。
では、指導主事の勤務時間管理はどうだったのでしょうか?

私が指導主事になった4年前、指導主事の勤務時間の管理もしっかりとされていませんでした。時期と仕事内容にもよりますが、朝5時に出勤することもありましたし、夜も日付をまたぐ直前まで残って仕事していることもあったのを覚えています。

ただ、それでも月3回程度「定時退勤日」があり、その日は定時の17時30分から30分以内には職場を出るというルールがありました。
上司である課長が「現場確認」をして、最後に鍵をかけるという徹底ぶり。
その辺は「あぁ、学校とは違う徹底ぶりだなぁ・・・。」という感じでした。

さて、今は・・・。
私の所属する教育委員会では、2年前から「パソコンのオン・オフで自動的に勤務時間を記録するシステム」が導入されました。
今年の4月からさらにそれが進化(?)し、申請なしで時間外の勤務をした場合、勤務時間の表示が赤くなり、「時間外勤務を行った理由」を入力することが求められるようになりました。

学校の働き方改革の第一歩として進められている「勤務時間の見える化」。
教育委員会の指導主事も、今、ちょうどその流れにのっているところです。

2.指導主事の業務は削減できるのか!?

勤務時間が明らかになると、今度は「その勤務時間に見合うだけの仕事量なのか問題」が出てきます。
私が4年前に指導主事になった時、先輩指導主事からは「1年目はやり方が分からないから、何をやるにも時間がかかる。1年経つとかなり効率上がるよ」と言われていました。

まさに、その通り。
1年目と2年目では1つの仕事にかかる時間が全然違います。
でも、時間外勤務なしに指導主事の業務を全てこなすのは不可能です。

あまり知られていませんが、指導主事が自分のデスクで行う仕事はほとんどが事務仕事です。
メール処理、文書作成、提案資料作成など、パソコンでキーボードを打っている時間が多い上に、コピー機が使えないとできない仕事が圧倒的に多いのです。
当然、データの持ち出しは禁止。
書類も個人情報は持ち出し禁止ですし、単純に量が多すぎて物理的に持ち出しできません。

パソコンを使わない仕事もいっぱいあるのでは?
たしかに、決裁後の書類を整理する仕事などはパソコンを切ってから行うこともあります。
ですが、パソコンを使わない仕事の多くは「学校訪問」か「会議・研修」です。

つまり、指導主事が勤務時間内に行う仕事のほとんどは削減できません。
仕事が減らないのであれば1つ1つの仕事の「効率化」をするしかありません。

今は、過剰な時間外勤務にならないよう、指導主事が自分で仕事の効率化を図ることが求められています。

例えば、過去に同じ仕事があったのであれば、まず、過去の資料で全体の流れをつかむようにすること。
そうすることで、何を参考に提案文書を作ればいいかが分かります。

例えば、提案文書を作り、それを確認するために付ける文書(バックデータという)にマーカーをすること。
次にその文書を見る人が、マーカーされている部分を見ながら確認できます。

こうした1つ1つの積み重ねにより、自分の、そして、全体の業務の効率化を図る力が指導主事には求められています。

それと同時に、教育委員会全体として行政職特有のタテ社会の中に今まで存在した、全体の業務の効率の悪さや前例踏襲を見直している最中です。

指導主事個人の意識改革と全体の業務の見直し。
この両輪により、指導主事の働き方は以前よりも改善されていると断言できます。

3.これからの指導主事の「働き方改革」の行方

以前はよく指導主事の間で自虐的にこういう話をしていました。

”「働き方改革」を教育委員会の方針として、学校に推進してもらうんだったら、指導主事だってワークライフバランスを大事にしないとね”

これまでは、この”指導主事のワークライフバランス”について
「どうせ、指導主事にはできっこないけどね」という自虐的な意味で話題になっていました。

しかし、教員のなり手不足と同じくらい、指導主事のなり手不足もかなり深刻です。
私は指導主事が生き生きと仕事をしている姿を学校訪問等で見ていただくことが大切だと思っています。

今は、指導主事も4年目になり、仕事の効率を上げて時間外勤務を”意識的に”減らし、生まれた時間をオンライン研修などで「自分の”教育観のアップデート”」に使っています。教育に携わる人、指導主事に興味がある人に向けて、このnoteを書いているのも自分の教育観のアップデートのための1つです。

学校と同じように着実に進んでいる指導主事の「働き方改革」
これからも発信してきたいと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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