本屋で見かけた老婦人

 この前、なんとなく本屋に立ち寄ったら、お着物を着た小柄な老婦人が立ち読みをしていたのを見かけた。
 鳥の子色の訪問着の上に黒羽織を羽織り、白髪交じりの髪をシニヨンに結って、見るからにキチンとした格好である。
 普段着っぽい着物なら着物で生活している人だっているかもしれないなぐらいに考えて終わりだったと思うがなにせ訪問着である。
 その恰好で立ち読みをするなんてなにがあったのだろうか。
 茶道か、華道か日舞か…。習い事の集まりで勧められた本を買うために立ち寄ったいったのかもしれない。
 一度帰って着替えたりせずに訪問着のまま立ち読みをするっておばあさんの生活に本が溶け込んでいる気がしていいな。

 


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