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選択の真ん中で

試されている

まぎれもなく、人生の分岐点にいる

今の生活が好きだ

フリーターになって給料が減っても
会社員だった時よりずっと幸せを感じている

好きな時に休んで
好きな時にライブに行く
好きな時に好きな人と会う
好きな時に仕事をして
生きれる分だけ稼ぐ

夢のために小さく1歩ずつ進んでいる

社員だった時の苦しみはどこへやら

この生活が続けば
私はストレスを感じることなく
1~2年は笑って過ごせるだろう

なのに

人生には必ず波があるという噂は
本当かもしれない

「バンドでキーボードをやらないか」

まず1つ目に舞い降りてきた選択はこれだ

聞いた時はワクワクした

いつも見ているステージに
自分の姿を想像した

興奮と同時に

「できるわけがない」

もう1人の自分が耳元でささやいた

私はピアノが上手くない

小学生の頃から楽器をやっていたが
何をやっても上手くない

9年続けたピアノもこれっぽっちも上手くない

しかも組むバンドはジャムバンド

つまり即興でセッションする

弾き手のセンスが問われるのだ

「キーボードを弾きながらコーラスができないか」

やりたい、と思っていたのに
うまく声が出なかった

2つ目に降りかかる選択は

「本店に戻ってみないか」

私は古着屋で働いている

元々正社員で入った店で
今はアルバイトとして雇ってもらっている

2店舗のうち、私が働いているのは
若年層向けの店舗

ヴィンテージを扱う本店では
1年だけ働いたが
私には知識も実力も足りなかった

その時のストレスは今でも忘れない

毎日出勤が辛かった

しかし私にとって本店は
私が古着を好きになったキッカケの店なのだ

憧れの店に立てる喜びと

自分の力不足を感じる日々

まわりからの重圧に耐えられなかった私は
1年で社員を辞めた

そんな情けないスタッフを
アルバイトでもいいからと
雇い直してくれたオーナーには
心底感謝している

あれから半年が過ぎ

「今の君なら立てると思うよ」

初めて本店出勤が決まった時の
高揚感が再び戻り、心が踊った

オーナーがもう一度信じてくれたこと

そして自分の力を信じてくれたこと

これ以上の喜びはない

それと同時にやはり不安にもなるのだ

また役に立てなかったら
期待を裏切ってしまったら

そもそも私は既にやるべきことが山ほどある

それを少しずつやり続けるので精一杯

いや、ただ甘えているだけなのだが

このゆとりのある生き方を手放すのが
怖くてたまらないのだ

急に目の前に現れた大きな分岐点

片方は全て断って
今までの暮らしを続ける道

そして片方は
自らを試す道

今のままで良いのだ

このままで十分楽しいのに

わざわざストレスを抱える道を選ばなくても良い

のんびりと好きなように生きていきたい

そんな私を冷たい目で見るのは

彼らの話を聞いた時に
1番初めに心の中から湧き出た自分

敬愛する甲本ヒロトの言葉が浮かぶ

"楽しいと楽は対極
楽しいことがしたかったら楽はしちゃだめ
楽しようと思ったら
楽しいことは諦めなきゃだめだね"

でもこうも言うのだ

"ただ生活は楽な方がいいと思う
でも人生は楽しい方がいいじゃん
生活は楽に
余計なことには気をとられず
人生は楽しく"

そうか、私は
人生を生きているのか

そんな当たり前のことを思い出した

生きれてたった90年程のこの人生を
ゆとりをもって生きようだなんて

試されている

もう1人の自分に

いつでも胸を張れる私でありたい

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