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18私の営農スタイル(稼ぐ野菜作り)

上記画像は、万願寺とうがらしを定植する前の圃場の状態である。畝は確実に作る事が重要であると考えている。この出来映えの良否は、栽培中の管理作業効率に著しく影響を及ぼすからだ。表題とうり、作業効率の低下はその労働時間が毎日に及ぶ場合、例えば、延べ時間で計算し考えると、1日あたり5分の余分な仕事量は10日続けば50分の損。時給換算してみれば良い。私はそんな時悔しい思いをするし、改善を考えるのだが、栽培を開始していて作物が生育している畝の改善はその時点では不可能である。
  
《利益を出すには、資材購入費・維持経費を減少させる》
先に述べておくが、私は一人で農産事業を行っている。私以外が圃場にいてウロウロすると気が散って仕方がない。又、超巨大な総合農産事業(カゴメ・キューピー・味の素等)以外、人件費を支払って採算が合い、労力に関して、正当かつ妥当な賃金が得られる業種では無いと思っている。
だから、一人で黙々とするのが基本だ。
栽培に必要とする資材の利用の仕方を考えるだけでも、大いに経費は軽滅できる。下記画像を見てもわかると思うが、マルチを私は、畝の上で合わせて使用している。即ち、穴開けをしないで定植をする。この方法は、定植穴の開いたマルチは、再利用する時に手間が増えるのが嫌だという発想からこの方法にしている。厚手のシルバーマルチ150cm幅1ロールを切り易い包装のまま半分長に切断して使用している。気候条件にもよるが、約3年は繰り返し使用する。使用後は、圃場の隅に畳んでそのまま置いておくと翌年もそのまま引き出せる。
ケチらないのは苗と肥料と農薬。苗の生育の良否は、結果に8割の影響を及ぼすと断言できる。苗選びは最重要である。道具は、専門店(鍬や管理用刃物等は職人の居る加治屋)で切れ味の変わらない高価なものを使用している。手元で使用する道具は圃場内で落しても見つけやすいように、20cm程の蛍光色の幅広のリボンを付けている。気に入った逸品を長く使う。
トラクターは、付近の老人所有の電脳制御等無い時代の動くのが不思議な4WD乗用トラクターを無断で借りる。その老人が、毎年、管理に苦労している圃場を均平に仕上げて、周囲の草刈りしてあげるのと、秋田の地酒・福禄寿1本贈呈が、年間勝手使用持ち出しの謝礼(笑)。

万願寺トウの栽培要点は花をいかに多く咲かせるかが収量増加の要。
果実の形態や生育速度は天候に左右されるが、
ある程度は整枝作業で調整はできるように思っている。放任すると枝が混む。
夏バテをするので、その時に「元気を出せ!」と、【喝】を入れてやると命令を聞く。

施設栽培も考えた事が有るが、中山間地では何のメリットが有るのかが理解できずに現在もいるので、将来的な営農には要らないという結論を持つ。昨今の気候変動の著しい高温化を考えると、施設内の温度管理には不適切かもしれないというのが、その理由である。それでは、低温の時期に栽培効率が上がると言うが、そうは言えないと思う。作物は温度が下がると全体的に生育は遅れてくる。又、昨今の気候では、夏野菜も管理良否次第で11月上旬まで実を付ける野菜もある。丁寧な切り戻し作業を反映した、秋ナスの収穫も(ボーナス←座布団1枚ください)嬉しい。
なにより、施設栽培は、密閉空間での作業で、外部との温度差が大きく身体に負担が大きい気がするし、数年に一度、骨組みを残して曇ってしまう外装を張り替える作業が必要となる。丈夫で、張り替える必要のない施設設置を考えた事もあるが、私の営農スタイルが、思い立ったら即いつでも辞めて、その場から草の根一つ残さずに、消え去る事のできる身軽さを主体に置いた展開をしているので、お荷物になる営農スタイルは脳内却下削除が基本である。

本来は12cm程で収穫するのであるが、納品先から形と大きさと納品本数指定が有ったので、
枝に残して収穫しない状態。ミンチ肉詰め万願寺とうがらしステーキに調理しで提供するらしい。
3500円/kgのこちらの納品価格提示に、OKが出るイタ飯店に向け。

《売り先を開拓する》
某種苗会社の老研究員と仲の良い時期が有った。何度も研究農場を訪ねて指導を受けた。最近、彼の消息を問う機会が有ったが、残念ながら他界されていた。下記画像はその彼が開発したナスである。

トマトの形状に似た茄子。高級外食店で調理特性がよく、果肉をくりぬいて器にして、
色々と料理に活用され、和洋食を問わず料理人の皆さまのメニューバリエーションを増やす事に
貢献したようである。初出荷で、このナスは高級品で京都卸売市場で評価されたので、
東京と京都のみの卸売市場オンリールートで流通させた。
最高値は長続きしなかったが2000円/1個。←私が驚いた!
このナスは、美味しいのである。水茄子・賀茂茄子の比では無くそれ以上。
もっと大量に作れば良かったと後悔もした。でも、今は幻=種苗の生産が無くなったようだ。

栽培品目の販売先が確保できている事が重要である。私は先にも記述したが、農協を通じての出荷は行っていない。各地(東京・京都・大阪・・等)の卸売市場の卸売会社に委託販売契約をして、競(せり)の舞台に送り出すようにしている。それもできるだけ目立つを期待して、競り落とす業者が、大量に流通する農産物の集まる卸売市場よりも、高質で限定品や趣向品を喜ぶ仲卸業者や買受人が集まる卸売市場を標的にしている。くわえて、契約栽培が販売の二つ目の行為である。契約栽培は、既に売れているものを納品先の必要量を栽培すので、経営基盤としては最適で、取りっぱぐれが無い。
契約は口約束のアバウトな縛りの場合が殆どで、契約先によっては、農産物が、天候の影響を受ける場合が有る事が理解できない先もあるので、お互いが損益を被る場合もあるのが予測できる契約先には、契約書を交わす場合もある。

《営業の順序》
翌年流通させてみたい希望を持って、【試作品をセールスして評価を聞いて取引先を回る→購入希望が有る場合に必要量を栽培する→継続】これが私の順序。即ち、初年度は翌年作で商売が成り立つように目標として営業活動をする。それと重要な事は、他の農業者が栽培しない農作物を高品質で販売する事。何よりも最優先の行動として、継続的に価格優位に立てる事の出来そうで、簡易に栽培できる農産物を常に探し続けている。

試作を行って、量販向け拡販を企てたものの失敗であった。
ロングパプリカ袋入り3色セットで商品化。
価格設定の安い輸入品パプリカの事を考えていなかった。

今回は、恥ずかしながら、私の営農スタイルの骨子の一部を公開記述をしました。いかがでしたでしょうか?
既に営農されている皆様にあっては、「そんな甘い考えの馬鹿のする農業が有る訳がない!」と、思われる方が居るかもしれませんが、
私の実際なのです。
皆さまの見えない日陰でゴソゴソ働き、姑息に利益追求する農業をしています。

算盤球が動く事ばかりを気にする、稚拙な農業ですが・・。
私の脳内と農業スタイルはこんなです。

ではまた。今回は、これにておしまい。

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