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アッシュル=バニパル王

世界史の「この人、気になる!」1

オヤジブログ怪気炎 vol.156

高校一年生と一緒に世界史の学習を始めました。とかく覚える知識量が半端ないことから敬遠されがちな世界史ですが、ちょっと気になる人について、少しだけ掘り下げて調べるだけで、教科書やテキストには現れない面が見えてくるのです。第一回は、アッシュル=バニパル王。

アッシリアは紀元前7世紀頃においてオリエント最大の帝国であり、その王がアッシュル=バニパル王であります。しかしながら、その支配は残酷かつ徹底的であり、世界史のテキストには「強制移住などの過酷な支配を行ったために各地で反乱が起こり、滅亡した」とあります。
これだけ読むと「酷い王様がいたものだ。だいたいやり過ぎて人々を抑圧するから、滅亡してしまうんだよね」という感想で終わってしまうのですが、彼の現代に残る価値ある功績は、図書館なのです。
東へ西へと大軍を率いて転戦を重ねていた戦う王と図書館のイメージは結びつきにくいかもしれません。しかしながら、現代の価値において、教え語るべきなのは「ギルガメシュ叙事詩」の所蔵を含んでいるアッシリアの図書館なのです。
広大な支配域に書記を送りこみ、その地域の文献を記録させて、自らが住むニネヴェに集めたのだ。文字はアッカド語とシュメル語。アッシリア滅亡後、図書館は大火に包まれたと想像されるが、粘土板については灰にならず、焼成して地中に残ったのだ。かのギルガメシュ叙事詩を始めとして古代オリエント研究の欠かせない資料になっていることは言うまでもない。
広大な版図がなくなっても、文字に記された記録は永遠に残されたのです。

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