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3年目を迎えるペーペー教員から、5つのアドバイス。

 3月も末になり、高校で社会科の教員をして2年が終わろうとしている。
 先生の入れ替えが生じ、どうやら後輩的な存在もでてきそうなので、この2年を振り返りつつ、教員を目指している学生等に参考になればと、僭越ながらアドバイスを書こうと思う。

 部活動や学校全体の仕事に関しては、各種目や学校の形態によってまちまちだと思うので、今回は教科指導、特に授業の部分にしぼる。

1.1つの授業に全力を注ぐ

 50分は結構長い。最近は、生徒の主体性を育むため生徒同士の意見交流を盛り込んだ授業も存在するが、話し合わせるにもある程度の準備は必要である。特に社会科の場合、最低限の知識は持っておいてもらわないと文字通り話にならない。そのため、どうしても教員側が話し続ける一方通行の授業を行うシーンがでてくる。
 すでに知っている知識だとしても、50分間話し続けるとなると結構しんどい。そして、こちら側の話が詰まると一気に沈黙が押し寄せる。これがなかなかプレッシャーのかかる瞬間である。
 こうならないために、やりすぎなくらいに準備をしておくことが、まず最初に頑張ることである。

2.慣れてきたら授業準備は8分目

 1で述べたように、まずはたくさん準備をして安心した状態で授業に臨めるようにして欲しい。始めの一ヵ月弱くらいは、先生デビューのブーストもあってなんとかなると思う。
 しかし、授業は1つではない。教科にもよるが、2種類か多いと3種類の科目を持たなければならないことがある。
 すると、ある時に悟ってしまうのである。

 「いや、このペースで1年間準備し続けるの無理やん。」

 教員に訪れがちな、1つ目の絶望である気がする。一ヵ月ほど、授業をまわすと気づくのである。ここで真面目に、「もっと頑張らないと。」とならないようにして欲しい。
 正直言って、無理なものは無理である。そして、体感ではあるが、たとえ80%で準備をやめた場合と、こだわって100%にまで準備をした場合とで厳密に20%分の差が出るとは思えない。プリントの細部にこだわるよりも、どのように説明し、どんな流れで授業展開していくかを考える方がずっと大切なのである。

3.沈黙を支配する

 これは、2年目の半ばでやっと少し理解できてきたことである。1で述べたように、基本的に沈黙は怖いものである。自分が話すことをやめた瞬間に訪れ、生徒の視線が一斉に集まるあの現象は、教壇に立ったばかりでは最も怖い瞬間ではないだろうか。
 しかし、この沈黙は生徒の注意を一気に集めることができる瞬間でもある。これを効果的に使わない手はない。説明の途中、重要な話をする前に意図的に沈黙を創るのである。
 生徒の視線が集まり、彼らの集中が高まった状態で、凪いだ水面に石を投じるように、大事なことを伝える。このあたりがコントロールできるようになると非常に面白い。
 ぶたもまだまだ未熟であるが、引き続きこのあたりの伝え方を学んでいきたい。

4.武器を備える

 初めのころは授業をする教室へ向かうのに、かなり緊張する。
 これは、ひとえに自信がないからである。その要因は、だいたい1の内容に関係している。  
 沈黙が怖かったり、知識の理解が不十分だったりするからである。
 知識の理解は、限界があろう。もちろん限界近くまで準備をすればいいのだが、時間は有限である。そして、2で述べたように自分が壊れないように「8分目の法則」もあるので無理をしなくてよい。

 では、他にどのような準備で自信がつくのか。
 これは、ぶたの場合、「雑談」であった。授業が早く終わってしまって、5分~10分余った。こんな時に軽く雑談をするのである。
 内容は本当になんでもいい。最近あったこと、見ているテレビ番組・アニメ・漫画など、何かについてダラダラ話してみるのである(オチなどは考慮しなくてもいい)。40人くらいいれば、確率的に誰かに何かは刺さると思う。そう信じて、反応が薄くても話してみるのである。
 慣れてくると、余裕が出てくる。
「早く終わったら、あの話でもするか」
 こう思えるようになると、沈黙が怖くなくなるのである。

 この雑談という武器を扱うもう1つのメリットは、自分という人間を知らせることができる点である。雑談に関して、話をしにくる生徒がいたり、教員を越えた1人の人間として興味を持ってくれる場合がある。
 誰しもがそうだと思うが、興味を持った人間の話には、まったく知らない人間よりも耳を傾けるだろう。授業を聞いてもらうという関係性においてこれほど好都合なことはない。この点でも、ぶたは「雑談」という武器をオススメする。

いまだに、面白い話をしようとする時は、めちゃくちゃ緊張する。
ウケを狙う場合、話し方の技術が非常に重要なのである。
まだまだ、勉強が足りない分野だ。

5.個性と清潔感は積極的に出していく

 最後に、少しずれるが個人的に大事だと思うことをまとめておく。
 授業をする上で、ぶたが大事だと感じていることは、

「こいつの話なら、聞いてやってもいいかな」

 と思わせることである。
 高校の社会科の授業であれば、教科書通りに進めれば、教える内容は全く一緒である。興味のある生徒もいれば、そうじゃない生徒もいるだろう。
 この時、興味がなくても聞いてもらえるようにするには、難しい知識を分かりやすく、面白くかみ砕いて伝えることが必要だと多くの人が考えると思う。しかし、この技術は、一朝一夕では絶対に身につかない。年数がものをいう部分であると思う。

 そこで、教員の人間的魅力でアプローチをするのである。これによって知識が不十分でも、話を聞かせられると考える。そのためには、4の雑談でもあったように、パーソナルな部分の開示を行うこと、服装や髪型を最低限整えておくことを少しずつ行っていけばよいと思う。
 特に、教員デビュー時は大半の人は年齢が若い状態である。これは生徒からすれば、距離が近くコミュニケーションがとりやすい対象となる。ベテランの先生が欲しくても手に入れられない「若さ」という武器。これを活用しない手はない。

まとめ

 以上、真面目な人からすれば、「何をズレたアドバイスしてんねん。」とツッコみたくなるような内容であったと思うが、ぶたが2年の教職経験から得た知見である。特に2の「8分目の法則」は大切にして欲しい。理想を追い求めるあまり自分が壊れてしまっては元も子もない。
 教職に興味を持っている人、4月から同業者になる人が、少しでもワークライフバランスを整えられるように助言をしたつもりである。

 ぶたも引き続きがんばります。





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