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もし僕が余命半年なら

ぼくはそんなことを想像する。
こんなことになれば、空っぽの体に直接トロトロとガソリンを注いでくれそうだと思うから。

ぼくは成し遂げないといけないことがある。
誰かのためじゃない。
ただ僕のために。
僕が存在したことを、確かに感じさせるものを。
作らないといけない。
旅立つのは、地球に時限爆弾を設置した後だ。

余命。半年。
この言葉はパワーを持つ。
残りのエネルギーの全てを排出するんだという片鱗を感じさせるような。
だから、これを見て同情しない人は少ないと思うんだ。
ぼくが歌えば、少なからず反応があるだろう。
ぼくが話せば、応援や慰めの言葉があるだろう。
少しの注目を、孤独なひとりに浴びさせることが出来る。

僕が余命半年と言われたら、
ぼくはアーティストととして、ステージに立つための計画を立てる。
光と視線が入り乱れて、数千トンの重さがあふれるステージ。
波が反射で照り返して、大渦をつくる。
最短ルートが、そうなんじゃないかって思ってしまう。
強みが弱みだ。
しかも、制限された時間の中で、シャボン玉を作って、届けないといけない。
だから
生き急ぐことにもなると思う。


でも、その気持ちを僕が今持っておけば、
たぶん本当にそれになる必要はない。

少しくらい体を乱暴に扱ってもいいし、
街の中で大きな独り言を話してもいい。


ぼくは、どうにかしている。
どうにかしたいから。

これは爆裂な僕の思惑を、文字を経由して表した一部だ。
ビルから飛び降りている間の時間で、ぼくは生き続ける。

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