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「静かな退職」の秘訣③、過集中を駆使しろ!!

「静かな退職」シリーズの第三弾である。最近の日本の停滞は激しく、給料も出世も頭打ちだ。サラリーマンの人生には良くなる見込みがない。それでいて、コンプラは厳しくなるばかりだ。こうなると、個人の人生を充実させるのは仕事の負担を減らす方向に努力をするべきだ。令和の大人の生き方こそが「静かな退職」である。

 皆さんは「過集中」という言葉を聞いたことがあるだろうか。しばしばADHDの人に見られるという現象だ。一つのことに限界まで脳の方向を向け、人並み外れた能力を発揮する現象だ。鬼滅の刃の鱗滝左近次を考えてみてほしい。ここまで極端でなくても、似たような素質を持っている人間は多いはずだ。今回はその能力を駆使して「静かな退職」を突き詰めようという話である。

 私は過集中が得意だ。かなりADHD的なのかもしれない。例えばnoteの記事を書いている時も過集中の状態になっている。一点集中で凄まじい思考が湧き上がり、記事は大体一本30分から一時間で書き上げてしまう。休みの日は一日に2万字以上書くことも多いし、手が痛くなることはあっても、頭は全く疲れない。

 こうした能力は色々なところで使い出がある。大学入試やその他の難関試験に関しては過集中で乗り切ることができる。授業を聞いても過集中の状態ならば何でも頭にスイスイ入ってくる。そして何年経っても殆ど忘れない。他にもゲームをしたり、ピアノを弾いたり、芸術作品を作っている時も過集中は大いに役に立つ。「将棋の駒を全て一個の駒の上に乗せる」といった曲芸も、過集中を駆使すれば簡単に達成することができる。noteも好き勝手に書いているだけなのに、半年で月間15万PVまで伸びた。全て過集中のおかげである。

 非常に残念なのが、サラリーマンの仕事にこの能力が全く生きないことだ。サラリーマンは一点集中型の脳の人間を求めてはいないようだ。業務の一個一個は難易度が高くないので過集中の差別化ができないし、それよりもマルチタスクの方が重要だ。せっかく集中力が湧き上がってきても電話や上司の呼び出しで乱されてしまう。入試にせよ、スポーツ大会にせよ、ピアノの発表会にせよ、20歳までに求められる能力は1つのことに集中する能力であるのとは正反対だ。 

 私は自分の武器が全く活かせず、それとは真逆の能力が求められていたことに愕然とし、絶望してしまった。22歳まで自分の良さだと思っていた性質は実は呪いだったのだ。今まで自分が達成した様々な物事は、実はガラクタの集まりだった。全てはマヤカシだったのだ。

 しかし、捨てる神あれば拾う神ありである。私はもう1つの武器である発想力を駆使しようと考えた。どんな時にも希望はあるはずだ。創意工夫を諦めてはいけない。考え抜いた末に過集中の使い道を思いついた。それは「静かな退職」である。

 社内ニートを貫く上で一番の障害となるのが「暇」である。そう、社内ニートは出勤してから定時まで、8時間もの間時間を潰さないといけないのだ。多少の作業がある日は楽だが、そうでない日も存在する。8時間席に座って「仕事をしているフリ」をするのは容易ではない。

 ここで登場するのが過集中だ。周囲のうるさい音声を遮断し、何かに没頭するのである。それは妄想でもいいし、ブログのネタ探しでもいいし、机の整理でもいい。とにかく何かに集中してしまえばあっという間に時間はすぎるし、余計な周囲の目線も気にならない。過集中的なところがある人には、是非この方法がオススメである。

 具体的にどんなアクティビティが過集中向きだろうか。あまり単純すぎるタスクは向かないだろう。ある程度の難易度と分量が不可欠だ。例えば英語版ウィキペディアの長大な記事を翻訳無しで読み切るといった活動は非常に有用だ。日本語を読むよりも遥かに時間が掛かるし、集中力も要する。分からない単語が出てきたらその都度一個一個調べてみよう。英語力が上昇するし、知的好奇心も満たせるというものだ。

 他にも色々な活動を試してみよう。例えば数学についてウンウンと考えてみるのも良い。数学はあっという間に時間がすぎるのでオススメの1つだ。ただし、仕事をしているフリをする以上、計算量の多い問題は止めた方がいい。数学オリンピックの不等式問題や京大の入試問題は比較的デスクの上でもやりやすいと思う。私立大学のPDFを落として高等数学に取り組むのも良いだろう。メモ帳を計算用紙代わりにしてみよう。

カテナリー曲線の証明は難しすぎず、簡単すぎず、で
過集中を使って考えるのは非常に面白かった。

 他にもエクセルで遊んでみるというのも手だ。この方法は比較的背後からディスプレイを覗かれた時もバレにくいので有用である。エクセルの未知の機能を積極的に使って架空の書類を作ってみると楽しいだろう。私はエクセルのセルを一コマ一コマ塗っていって、ドラゴンボールの「セル」の画像を描いてみたことがある。

私がエクセルのドット絵に超世する上で参考にした画像

 机の整理はあまりにも単純すぎるので、過集中には向いていない。それよりも文字を読んだほうが楽しいと思う。例えば部署に置いてある業界紙を隅から隅まで読んでみるというのもオススメだ。日経新聞でも良い。こうした媒体を精読することによって、様々な業界に関する知識が付く。もちろん少しでも分からないと思った単語はすぐに検索しよう。こうしたコツコツとした積み重ねで人生を豊かにする教養ができあがる。

 他に私が試した活動として、お笑いのネタを考えるというものもある。ある時とんでもなく暇な日があったので、お笑いのネタをいくつ考えられるか試してみたことがあったのだが、なんと54個も作ることができた。オリラジのネタを下ネタバージョンで作るとどうなるかという非常に公序良俗に反する試みなので、ここではネタを公開することはできないのが残念だ。(見せられる範囲なら「可愛いあの子のケツ触る、すごい!法律にも触れてしまった」「天気の話も下ネタに、すごい!確かに一日あおいそら!」などだ)

 周囲の目が気になって実行できなかったのがコイン積みだ。これは1つのコインの上にバランスを取って大量のコインを乗せるという曲芸である。コイン詰みは崩れるとチャリーンと大きな音を出すので、バレやすい。過集中を使うならこれ以上のコンテンツは無いのだが、残念ながら試すことはできなかった。

コイン積みの例

 これに関してはかなりの練習がいるのだが、最強のアクティビティは妄想だ。人間の頭の中は誰も覗くことができないので、絶対的な強みになりうる。私は過集中を生かし、ストレスフルなオフィスの真ん中で自分が楚漢戦争の武将であるという妄想を深め、あっという間に時間を過ぎ去らせることに成功した。

 全ての社内ニートにとっての友と言えるのはソリティアとマインスイーパーだが、私はあまり手を出さなかった。単純にこの手のゲームがそこまで好きではなかったからだ。ただし、ここは王道中の王道であり、是非とも身につけたいスキルだ。

 過集中を使えるが、注意が必要なのはデイトレだ。確かに相場はオフィスでも見やすいのだが、上司に呼び止められたり、会議の最中には中々アクセスすることが難しい。折角の儲け時に操作ができないのは歯がゆい上に財産を失うリスクがある。デイトレは悪くはないが、重大なデメリットがあることを理解しておこう。

 その昔、「となりの関くん」というアニメがあった。主人公の隣の席に座っている関くんが授業中にユニークな遊びを繰り返し、それを主人公の横井さんがハラハラ・ドキドキしながら見守っているという作品である。

 私も関くんには大いに触発された。ただし、作品と現実には決定的に違う点が1つある。関くんは高校生なので、先生だけをマークしていれば良かった。しかし、会社員にとっては周囲の同僚は全て危険だ。横井さんは関君を心配していたが、これが会社員だったら怒りを覚えるはずだ。会社員が暇を潰す難易度は高校生よりも高い。したがって人生経験を生かした高度な創意工夫が求められるだろう。

 多くの人間には何かしらの素質があるし、うまく活かせば必ず恩恵を受けることができる。私は過集中という武器の使い道がなく、悩むことが多かったが、思考の革命的転換でうまく活用することができた。会社員として役に立たない能力でも、「静かな退職」に役に立つということは大いに有り得る。これを読んでいるみなさんも是非「静かな退職」をする上で自分の強みに目を向けて欲しい。


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