ドラえもん小話「フエルミラー」
のび太「あっ、どら焼きだ!お腹すいたし食べちゃおう」
ドラえもん「そのどら焼き僕のだぞ!勝手に食べるな!」
のび太「えー!けち〜」
ドラえもん「仕方ないじゃないか、1つしかないんだから」
のび太「道具でどうにかならないの〜」
ドラえもん「のび太くんは本当に仕方ないな〜フエルミラー!!!この鏡に映ったものは取り出して増やすことが出来るんだ!」
のび太「さすが!ドラえもん!早速どら焼きを2つにして僕も食べるぞ!」
ドラえもん「あっそういえば!」
のび太「いただきまーす!……ぶへっ!ウゲー!何このどら焼き、腐ってるじゃないか!どうなってんの!」
ドラえもん「だから待ってと言ったじゃないか。フエルミラーで増やした食べ物は人間は食べられないんだ」
のび太「なんでそんな面倒なのさー」
ドラえもん「のび太くん、鏡像異性体って知ってるかい?」
のび太「なんだい、そのきょうなんとかって」
ドラえもん「のび太くんが知ってるわけないか〜どこから説明していいのやら」
のび太「そんな言い方はないだろ!」
ドラえもん「有機分子には不斉炭素原子というのがあるんだけど、それが鏡に反転することによって〜」
のび太「全然わかんないよー」
ドラえもん「まあ言ってしまえばフエルミラーで増やしたどら焼きは分子の一つ一つが左右あべこべになるから、人間は栄養として吸収出来ないんだ」
のび太「なんかよく分からないけど、食べられないんだね」
ドラえもん「だからフエルミラーで食べ物を増やす時は僕がコピーした方を食べないといけないんだ」
のび太「めんどくさいなぁ、コピーしたどら焼きを再度コピーしたら元に戻るんじゃないの?」
ドラえもん「のび太くんは道具の使い方だけは筋がいいんだけど、作中の描写ではフエルミラーは1度しか使えないみたいなので、ダメだよ」
のび太「なあんだ」
あとがき
ドラえもんのフエルミラーの回ではのび太が電源を切り忘れたため、鏡像のび太がのび太を鏡に引きずり込んで現実世界に入り込んでしまう。しかし鏡像のび太はママに宿題を強要され、左手で鉛筆を持ったり、鏡文字を書いたりして怒られてしまう。鏡像のび太は嫌気が差して作中では鏡の中に戻ってしまうのだが、仮にそうならなかったとしても、彼は現実世界に存在する食物を何一つ摂取出来ないことに気がつくはずである。未来世界でフエルミラーによる入れ替え事故が起こらないのはこうした事情があるのかもしれない。
以前にこの話を元ネタに書いた短編がコレである。
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