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「静かな退職」の秘訣⑦、自分が有能側か無能側か見極めよう!!

 キャリア形成で重要なことは、自分がこの業界でどの程度能力を発揮できるかを見極めることだ。これによって生存戦略は大きく変わってくる。この点に気づくことが「静かな退職」を行う点で重要である。

 262の法則というものがある。人間の集団は必ず有能な上位2割・凡庸な中間6割、落ちこぼれの下位2割に分かれるというものだ。働き蜂の法則の焼き直しと考えてほしい。確かに私のnoteの記事を見ても、アクセス数の大半は上位2割が稼いでいるし、下位2割はほとんど忘れられた失敗作だ。

 人間の能力は可塑性が高いし、どの状況でどの能力が生きるか予測は難しい。それでも自分が上位層・中間層・下位層のどこに入るのかは概ね把握できる。小学校高学年にもなれば、自分が3グループのどこにいるかは判別できるだろう。難関校を目指して頑張っているのは上位2割のゾーンであり、逆転合格も基本は上位層同士の話だ。中間層は普通に公立中に進んだほうが有利にも見えるが、都心の場合はこの層も中学受験を強要されるケースがあり、しばしば精神を病む。下位層は色々大変だと思う。

 仕事に関しても似たようなことが言えるのではないか。大体就職から数年もすれば自分が3つのどの位置にいるのかわかるようになるだろう。基本的に出世の可能性があるのは上位2割だ。彼らは30年に渡る競争の果てに役員になったり、部長になったり、心折れたりする。この層が仕事に前向きなのは否定しない。上位層の人々はなんだかんだ仕事が生きがいだと思う。ぜひ頑張って欲しい。

 平凡極まりないのが中間層だ。この層は出世したり仕事で何かを成し遂げたりする可能性は無い。しかし、伝統的な日本企業はこの層も結構野心を持っていたりする。中間層が上位層と並んで出世願望を得ているため、会社はかなりの利益を得ることができた。しかし、これが賢い選択なのは分からない。出世の可能性がないのに長時間労働で自分の時間を失ったり、身体を壊したりするかからだ。仕事と人生の距離感が難しいゾーンである。

 下位層となると、大体末路は見えている。職場で彼らが報われることはないので、やる気をなくす。彼らは職場に否定されるために通勤しているのだ。下位層は基本的に業界に向いていない人たちであり、キャリアチェンジするか他の生きがいを見出す他に輝くことはできないだろう。

 静かな退職を目指すべき人々に下位層が入るのは間違いない。彼らは仕事を頑張っても無意味なことは明らかだからだ。人の2倍頑張ってようやく半人前である。それなら自分の時間を大切にした方がいい。しばしば居づらくなって転職する人がいるが、これは考えものだ。基本的に下位層はその業界に向いていないので、転職しても待遇は悪くなることが多い。それなら会社に居座って福利厚生を吸い尽くしたほうが合理的だ。資格を取ったり副業を頑張っても良いが、これは会社生活とは別の軸である。

 非常に扱いが難しいのは中間層である。この層は中途半端に出世に夢を見てしまうし、同調圧力も無視できない。転職に関しても成功するとも失敗するとも言えない。中間層に静かな退職をオススメするべきかは分からない。こればかりは人によるだろう。家族や資産の状況によっても異なってくる。

 人間の集団は必ず上位層・中間層・下位層に分かれる。ここに例外は殆どない。どうしても一定割合は意欲を失って落ちこぼれてしまう。したがって、下位層を叩いたりクビにしたところで新たな人間が下位層に加わって終わるだろう。社内ニートを正当化するわけではないが、彼らは会社の足を引っ張っているわけではないのだ。それよりもパワハラ上司や悪口を言いふらすお局の方がよほど会社のガンだろう。

 したがって下位層はあまり罪悪感を持たない方がいい。どのみち、このような存在は生まれるのだ。頑張っても仕事で報われる可能性は低いので、別の方向に意識をシフトしよう。静かな退職を意識的に進め、会社の外に生きがいを見つけていこう。

 非常に難しいのが中間層だ。この層は出世して社会を動かす側に回ったり、革新的な何かを達成する可能性はない。しかし、程々に仕事はできるし、職場の同調圧力を切り捨てるほど追い込まれてはいない。静かな退職を考える上で難しい立場に置かれているのはこの層だ。中間層の価値観は様々だ。出世の夢を諦めきれない者もいればただ漫然と仕事をしている人もいるし、批判的思考を根本的に欠いている者もいる。いずれにせよ、自分のやりたいこと、家族との距離のとり方、趣味の有無、同僚の同調圧力などを考慮して総合的に決断する必要がある。

 まとめよう。出世したり、社会で尊敬する活躍ができるのは20%の上位層だ。60%を占める中間層は出世のチャンスはないが、そこそこの立ち位置があり、コミュニティとしての会社との距離感を考える必要がある。20%の下位層は会社にいても面白くないだろうから、別の方向に舵を切ろう。上位層と下位層のやるべきことは決まっているが、中間層はなんとも言えない。最後は個人の判断だ。一番避けたいのは30年間会社人間を続けた結果、自分の出世の芽が無いことに気がついて茫然自失とし、それに替わる何かを見つけることができないことだ。哀れな熟年にならないためには早めの見極めが肝心である。


 


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