理学の合言葉 11 ”組み合わせ”と”分類”で情報を表す形式―”世界”

数学を
「”何か”達に対して、組合わせたり分類したりする。そして、そこに意味を見出し、扱い、性質を調べる行為」
とする考え方、”世界”論の解説を中心に、数理論理の色々な説明をしていきます。

目次 


0 初めに

・第1章では、今回の話で大事な“世界”がそもそも何なのか説明します。

・第2章では、その“世界”をざっくり、例え話を踏まえて説明します。
詳しい説明は「Ⅱ…”世界”」でやっていきます。

・第3章では、”世界”を少し定式化してみます。

1 前提と直感と”世界”


前回までに話したことを一部まとめます。

・私達は数学を道具として1から形作り、さらに利用する立場にいる。
・作る時は、前提に何をどのようにおいても、そこからどこまで、どうやって、どんな順序で理論を広げようと、その人がそれを望むならいい。
・このとき、前提は直感的に構成され、広げ方は前提に基づいて行われるため、広げたいならどんな広げ方を許すのか前提に入れておく必要がある。
・様々な理由から一般的には、色々ある中でも「構造を含まない論理と公理系」を前提として、
構造を含まない論理と公理系
 →構造を含まない集合論
 →構造を含む論理と公理系
 (→構造を含む集合論)
という順で導出し、数学を形作る。

今回の議題は、「論理や集合論、圏論などにある隠された前提」です。
例えば論理では、「記号の組み合わせで別のもの(論理式とか)が作れること」や、「公理と文法規則などを羅列できること」などを前提にいれるべきですが、多くの人はないがしろにしています。
ということで、論理や集合論、圏論、型理論の暗黙の了解を含め、さらに双対性をわかりやすくして、さらにさらに一般化して生まれた前提が”世界”論になります。
2章では、”世界”の考え方を、例え話的に迎え入れようと思います。

2 ”世界”の詳しい話

では、“世界”の設定、もとい「理論を厳密に作るうえで私達に求められる直感」を話していきます。
前もっていっておくと、ここでの概念の名前は便宜上のもので、別の名前でも名無しでも構いません。

①“世界”は、理論(数学以外でも)を1から厳密に定義したい時に土台となる。
後に、理論一つが“世界”一つに対応する。
“世界”はその人が必要と思った広さに対し常に十分な広さ、次元数であり、初めはそこには何も無い。

②“世界”にはその理論を作っていく人(達)が入ることができ、そこでも
人同士メタ言語で話せる。
以降の様々な概念に記号などをあてたり、意味を見出したり、どうしていくか相談したり…。

③”世界”に対し、人ができることは④〜⑦の6つである。

④“何か”を呼ぶ。
“何か”は初めはどれも瓜二つで、特徴外見ともに完全一致しているが、謎のアイデンティティにより見分けられる。
“何か”はその人が必要と思った数に対し十分な数だけ呼べる。

⑤“何か”をコピーする。
“何か”をコピーすると、細胞分裂のように元と見分けさえつかないドッペルゲンガー的な”何か”ができる。
一般に”何か”同士は見分けられるし、これ以降それに十人十色な個性を宿すことができるが、コピー同士はコピーした人ですら見分けられないし、それらに異なる個性を与えることは不可能。
コピーはその人が必要と思った数に対し十分な回数だけできる。

⑥“何か”同士を"組み合わせ"たり戻したりする。
“何か”はその人が必要と思った数に対し十分な数だけ組み合わせれる。

⑦“何か”達を”分類”する。
グループの種類はその人が必要と思った数に対し十分な数だけ可能
“何か”達を直接的にどのグループかに分け入れたり、条件指定で”何か”達を間接的に分け入れたりすることができる。

こういった具合で、”世界”というのが定義されています。
また、⑥〜⑪の人が”世界”でできることは、強制されているわけでは決してありません。
それをしてもしなくても、どこまでどうしても、勝手に自分ルールを作っても構いません。
むしろ、この数だけ”何か”を呼ぶ!このグループにはこれ以上”何か”をいれない!この”何か”にこの組み合わせ方はしない!
とルールで制限をかけないと(それを望むなら止めませんが)ナンセンスな”世界”になってしまいます。
その人たちが興味のある範囲で”世界”を成長させたらいいわけですね。
そして、これらが数学をつくるうえでどんな役割を果たすかは、
あとで説明します。

3 ”世界”の定式化

早速見てもらいましょう。
名前に引っ張られない視点も意識することをおすすめします。
World,Materials,Anythings,Kinds,attributions,All thingsという概念が登場します。
・WorldはMaterials,Anythings,Kinds,attributionsをまとめたもの(All thingsは含まない)
・Materialsは区別されているやつをいくつかまとめたもの
・All thingsは1,2のどちらかを満たすやつだけを全てまとめたもの
 1…Materialsにあるやつ
 2…All thingsにあるいくつかのやつを等位に組み合わせたやつ
ここでいう組み合わせは、以下の条件を満たす。
 ・これによって立場の違いを引き起こさない
 ・入れ替え非対称性がある
 ・もととなるやつらの情報を最大限引き継いでいる
・AnythingsはAll thingsにあるいくつかのやつを部分的にまとめたもの
・Kindsはいくつかのグループをまとめたもの








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