見出し画像

思考における重要概念:抽象とメタ認知

私がこれまでに獲得してきた概念のうち、思考において特に重要と感じる二つの概念をお話ししたいと思います。これらの概念の獲得前後で思考の幅が比較にならないほど飛躍的に広がりました。


抽象

 まずは抽象という概念です。「抽象的」ではなく「抽象する」という動詞の方の意味です。
 この概念を獲得したのは高校一年生の時です。具体的な経緯は忘れましたがおそらく評論に出てきたのだと思います。

 主に「複数の事物の共通性質を抜き出すこと」「事物の特徴的な性質を抜き出すこと」という意味で用いられます。一年生の段階ではっきりと認識したのは前者の意味でした。
 多くの人が日々の生活の中で無意識的に行う抽象ですが、それを認識しているかどうかで思考の幅に雲泥の差が出ます。その概念を知ってからあまりにも思考がしやすくなったため驚愕したことを今でも覚えています。

 自分でもなぜこの概念が重要なのかを分析しきれていないのですが、いくつか考えられる理由を述べます。

 まずほかの思考における重要概念の基礎となることが挙げられます。推論の一種である帰納と演繹や概念の内包と外延などの概念を獲得する上で抽象という概念を知っていることは非常に役に立つ、というかほぼ必須かと思われます。(概念概念うるさくてごめんなさい)
 また具体的抽象的という言葉の理解も深まります。(一言でいうなら物事の捨象の度合いの相対評価です)

 次に、ノウハウを獲得する一般的な方法は帰納法であり、抽象は帰納法の中核となる思考であることが挙げられます。抽象という概念を認識していることで意図的に抽象して物事のノウハウを獲得したり、無意識的に起こった抽象の重要性を把握したりといったことがしやすくなります。前者は特に勉強においては非常に役に立ちます。 

 いろいろと述べましたが要は多少なりとも意図的に抽象できるようになる、抽象した時にそれを認識できるというのが主たる理由ではないかと考えます。


メタ認知

 次はメタ認知という概念です。この概念を獲得したのは高校三年生の時です。具体的な経緯は忘れましたがおそらくネットサーフィンしてたら出てきたのでしょう。

 ここではメタ認知という言葉を「自身の認知について認知する」という意味で用いています。自身の判断や行動をコントロールするというニュアンスは含ませていません。

 抽象に比べれば行う人も行う頻度も少ないかもしれませんが、やはり日々の生活の中で意図せず行われる思考です。抽象に比べれば必要性はやや劣る、認識していなければ困るというわけではない気もしますが、広がる思考の幅という点では負けていま…どうだろう?さすがに抽象の方が広がる思考の幅は大きいかな? まあともかく重要な概念になります。

 この概念を獲得していることの意義は明確です。思考の対象の範囲に自身の認知の仕方、及び思考の仕方をも含ませられることです。これにより普段自身がどのように思考を行っているのかを認識、整理し、思考の種類や思考によって得られるものの分類、思考のメカニズムについての独自解釈、思考の型やノウハウについて意識的に考えることができます。

 もちろんメタ認知という概念を獲得していなくてもこれらを考えることはできますが、メタ認知という概念を獲得した後の方が「よし、じゃあメタ認知して思考について考えるぞ」となりやすいです。

 …やっぱり客体が限られている(メタ認知の客体は自身の認知の仕方だが、抽象の客体は広範な事物に及ぶ)という点では抽象よりもメタ認知のほうが広がる思考の幅は劣りますかね。ただまあ思考について考えることでその後の思考が効率化されるので今後の思考活動に与える影響という点では負けていないかと思います。


まとめ

 以上が思考で特に重要だと感じる概念になります。もちろん主体や客体、概念の内包と外延といった概念も思考において非常に便利なのですが、思考活動に与える影響という点では抽象とメタ認知の二つがやはり群を抜いているかと思います。

 ほかにもこういう概念を獲得したら思考の幅が格段に広がったよー、思考活動がはるかにやりやすくなったよーという概念がありましたら教えていただけると嬉しいです

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?