ありのままを生きること〜ルチアのラスール物語〜
第13話 「聖なる誓いの解除]
コロナが、他所ごとから自分ごとへと移行しようとしていた3月中旬、私は、つくばにいた。ラスール認定コースに向けて学びを本格スタートさせたばかりだった。
昨年1年間の自分自身の癒しの旅を終えて、次のステージへ向かおうとしたとき、私の中で引っかかっていることが1つ残っていた。
自分自身の痛みを無かったことにして見ない様にしていることが1つだけあった。
性被害のことだ・・・
うつになるまで、誰にも話したことがなかった。
墓場まで自分の心の中の閉まって持っていこう。
そう心に決めていた。
だけど、うつになった時、
「どうしても、消えない大きな痛みを解放しないからうつになったのだ」
と気づいた。
カウンセラーや医師にはそのことについては話すことで、抱えていた重荷を手放したつもりでいた。
心の学びを始めて、少しずつごく親しい友達には、カミングアウトした。
ワークもした。
私の中で男性に対してのネガティブな印象がどうしても抜けない。
なかなか、男性と気楽に話したり、オープンに接することができない・・・
そんな時、1人の共感パートナーの顔が思い浮かんだ。
仮にTくんとしておこう。
何故だか、妙に共通点があって、どことなく気の置けなさがあった。
この人なら、もしかしたら話せるかもしれない・・・
そんな感じがした。
こうして、性被害のことについて話を聞いてもらうことにした。
私の中でのチャレンジだった。
家族のいる自宅では話すことが躊躇われた。
そんな時、ちょうどつくばでホテルに宿泊しているタイミングで自分自身と向き合うことにした。
Tくんは、共感的に話を聞いてくれた。
だけど、その時私の声は震えていた。
改めて、この傷がまだ癒えていないことに嫌が上にも気付かされた。
そこで私のミッションは終わったはずだったの、のだが・・・
私の話を聞いたTくんから思いもかけない提案があった。
『その誓い解除しなくていいの?』
と[聖なる誓いの解除]というワークの提案だった。
その時、当時10歳の私は何を誓ったのだろう・・・
私の中に深く刻まれている誓いとは何なのだろう?
導き出した誓いは、
「これ以上苦しまない様に愛を受け取らない」
というものだった、
愛を受け取らない・・・
なんて悲しい誓いなのだろう。
私の本質をTくんに手渡す。
すると、突然咳き込み出した。息苦しそうに顔歪めている。
まずい、私の中で焦りと不安で混乱した。
私の本質になったT君は、スマートフォンの小さな画面の中にいる。
何かあってもどうすることもできない。
本当に息ができない様子で苦しんでいる。
死んでしまうのではないか…
「早く解除して・・・」
何とか誓いを解除することができた。
ワークが終わった後、何事も無かった様に
小さな画面の前で微笑んでいた。
こんなに苦しみもがいていた自分を無かった事にして蓋をしていた。
息ができない程に、胸が押し潰されるほどに苦しんでいた私は、この誓いを手放すことでやっと、愛を受け取ることが出来る様になっていった。
翌朝、早くからくみくみや仲間と公園を散歩した時、
くみくみに、誓いを解除したことを話した。
目から涙が溢れていた…
「よかったね。」
震える声でそう一言言って微笑んでくれた。
私にとってこの出来事は、大きなターニングポイントとなった。
まだその時は、目の前に介護という現実が迫っている事など知る由も無かった。
次回へ続く
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