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改めて考えてみた、無駄ってやつ

 もちろん、無駄に地球を汚したり、無駄に人を傷つけたりするのは宜しくないでしょう。ただ、人生を送る上で時折感じる「無駄だったなあ・・・」は、必ずしも排除すべきものではなく、むしろ、愛おしいやつなのだと気づいたお話です。


◆言い方って大事


 きっかけは、YouTube の会話でした。

天谷さん:
(元監督の)野村(謙二郎)さんも当時は「無駄なことはない、無駄なことすらもないんだ」っていうふうに言っていて。当時は、無駄は無駄だろうと思ってましたけど・・・。

高橋さん:
はははは

天谷さん:
辞めてから、ああいうのも全部力になってるんだなっていうふうにーー。

高橋さん:
そうだね。無駄が生きるよね?

 ん? 
 なんだって?

 無駄が生きる???


◆無駄なことはない


 「無駄なことはない」は、何度も聞きました。

 聞いて、聞いて、聞き飽きて、嫌気が差すくらいです。だから、この言葉が指す意味は知っているつもりでしたし、それこそ、人生の中でこれは無駄だったのではないかと疑うようなことがあったら、「この世に無駄なことはないのだから大丈夫」と、無意識に自分を説得し、慰めたりしていました。しかし、そんなことをしたところで、結局残るのは虚無感だけなのです。

 要するに、この「無駄なことはない」は私にとって、正論を装うも、なんとも訝しさが溢れる言葉だったのです。

 そんな中での「無駄が生きる」。

 衝撃的でした。意味は同じはずなのに、言い方を変えるだけで、なんとも魅力的な響きを帯びてくるのです。


◆無駄が生きる


 動画を見た後、ジョギングをしに行きました。走っても歩いても、頭の中で繰り返される「無駄が生きる」という言葉。

 無駄・・・ムダ・・・むだ・・・。

 無駄が生き始めるその瞬間ーー。

 それはまるで、可愛いカモの赤ちゃんが、ある日突然、今まで微動だにしなかった卵の殻を破って飛び出し、ちょこまかと生命力たっぷりに動き回るような、そんな印象を描いたのです。


 そう思った理由は至極単純で、川辺を走る私の横では、生まれたばかりのカモの子どもたちが一生懸命にご飯を食べていたからです。

 人というのは不思議なもので、無駄について考えながら、可愛いと生命力の代表のようなこの光景を見ていると、無駄もとてつもない可能性を秘めた愛すべき存在なのではないかと感じてきたのです。

 もしも、無駄の正体が、実はこの子たちみたいに、丸くてふわふわして、柔らかくて、温かい、ついつい触りたくなるような「ムーダ」という生命だったら、無駄ってやつは、とっても可愛いやつじゃない?

 しかもね、ムーダは大きく成長したら、ヨーダみたいになるんだよ。

 なんつって。

無駄がヨーダになったらマジで最強だと思う。


 こんな、それこそ「無駄だ!」と一喝されそうなことを考えていたとき、みうらじゅんさんがよく言う「それがいいんじゃない!」という言葉が聞こえてきました。

 寝てばかりの無駄な一日を過ごしたって?
 それがいいんじゃない!

 くだらないものを買って、お金を無駄にしたって?
 それがいいんじゃない!

 学校にまで通って学んだのに一切身にならず、無駄だったって?
 それがいいんじゃない!

 一生懸命頑張ったのに心を病んで、無駄な努力をしたって?
 それがいいんじゃない!

 人生すべてが無駄だったって?
 それがいいんじゃない!

 これがまた不思議なことに、そんなことを考えていると、無駄が多い人生の方が、何だか豊かにすら思えてくるのです。

今のところ
無駄ばかりのこの人生。
最高だな。


 そして、この時でした。

 なぜ「無駄なことはない」の音は虚しく響き、「無駄が生きてくる」には惹き付けられたのかが、分かった気がしたのです。

 無駄は無駄でいいじゃない。

 「無駄なことはない」と、無駄の存在や、無駄と感じた自分の判断を否定する必要はないのです。無駄だと感じ、無駄のレッテルを張ってしまったのなら、わざわざそれを剥がすことはせずに、そのままにしておけばいいのです。

 そうすることで、無駄は無駄として、愛そうじゃないか。

 だって、ムーダ(無駄)は愛すべきふわふわの可愛いやつ。

 でっかくなったらヨーダになるんだぞ。

 そして、ヨーダになったらこう言ってくれるんだ。

「考えるな、感じろ!」 

 最強じゃん。

"You must unlearn what you have learned."


◆『9割は無駄』志茂田景樹


 そんな意味不明なジョギングをしていたのと同じ頃、蒸しエビちゃん🦐の記事で志茂田景樹氏著の『9割は無駄』という本に出逢いました。

 さすが魔法使いのエビちゃん🦐は、ベストのタイミングでベストの贈り物をしてきます。

 おそらく志茂田景樹さんがそういう方なのだと思います。
 とても、優しい本でした。
 芯の強さを、優さで包んだような本。

 最後に、特に印象に残った言葉をご紹介したいと思います。
 興味のある方は、是非ご一読ください。

無理して頑張るなよ。
カッコよくないし体を壊すぜ。
頑張ってるやつに任せろ。甘えてもいいぜ。
ただし、頑張れるときには頑張れよ。
そして、頑張れないやつをかばってやれ。

 うん、そういう人間になりたい。

長い付き合いで、これといった理由もないのに、
ある人と距離を置きたいと思ったら、
受け入れるパワーが落ちたのかもしれない。
その人から得られるものが尽きたと思うのは
傲慢である。

受け入れる懐を常に深くしておけば
尽きることはない。

人が持っているものは
そういう意味では無限に近い。

 ではでは。

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