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#151 運動学習という考え方

ある種の天才的な方を除きましたら
たいていの方は新しく運動を始めるときは
やり方がわからなかったり、
ぎこちない感じになって
しまったりしてしまいます。

運動を行いやすくするためには、
運動学習の過程
経る形になります。

運動学習とは、
課題遂行の能力を永続するように導くための
実践や経験に関係する一連の過程のこと
を言います。

運動学習は行動面から
運動技能の獲得の過程でありまして、
ある運動課題を速さ、正確さ、円滑さ
などの面から効率よく遂行するためには
どうしたらよいかを決定する過程
でもございます。

運動学習には、小脳回路基底核回路
という2つの重要な役割があります。

小脳回路とは、
運動皮質からの情報と運動に関する
末梢からの感覚情報を統合して、
運動を適正化する役割を果たしている
流れになります。

基底核回路とは、
運動を遂行する上で、順序や運動の
組み合わせを制御する働きをする
流れになります。

運動学習には、
いくつかの段階がございます。

・認知段階(初期相)
・連合段階(中間相)
・自動化段階(最終相)

上記の段階には、
明らかな境界があるわけではなく、
運動技能は連続して徐々に
向上していくものになります。

・認知段階(初期相)
この段階では、運動課題の目標を理解し、
その目標を達成するにはどうするか、
その運動はどのような動作が
組み合わさって構成されているか、
さらにその運動を巧みに行うためには
どうしたらよいかを
理解する流れになります。

この段階では、
言葉による説明が主となり、
言語的に考えながら、
効率的に行うための方法
を模索していく形になります。

・連合段階(中間相)
この段階では個々の運動が滑らかな協調運動へと融合していく時期になります。

初期相での理解の誤りが訂正されて、
不必要な運動が除かれていきます。

この段階では、実際の運動の結果についての知識(knowledge of results、KR)の
情報が重要となり、
KRを参考にしまして運動における
誤りの部分の修正が
行われていく形になります。

・自動化段階(最終相)
この段階では、運動は時間的、空間的により高度に統合されて、無駄なく、
速く滑らかに遂行されるようになり、
順序や段取りをとくに意識しなくても
大丈夫になります。

手続きは自動化され、
運動に対する注意量は減少して、
運動遂行のための言語的要素は
まったく不要となります。

また、このレベルに至った運動技能は
失われにくくなります。

上記の運動学習の段階が進むにつれて
様々な変化が生じていきますが、
運動の自動化まで持っていくことが
大切になります。

自動化段階に到達しますと、
運動の大部分が自動的に行われ、
運動に注意を向ける必要は
ほとんど無くなると言われています。

運動に向ける注意がなくなりますと、
他の側面や周りの環境の変化などに
注意を向けることができるようになります。

ただ、運動の自動化された運動に
注意を向けすぎてしまうと
パフォーマンスが低下してしまう
可能性があるという報告もあったりします。

注意は、内的な方向に向けるのではなく、
外的な要因に向けることで
スムーズな運動が行いやすくなるのでは
ないかと思います。

新しく運動を始められる方は、
今回綴ってまいりました
運動学習の過程を頭に入れていただくと
良いかなと思います。