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#156 成長期に要注意な野球肘③

現在、メジャーリーグには大谷翔平選手や
ダルビッシュ有選手など
多くの選手が活躍しており、野球は日本でも人気のスポーツのひとつであります。

お子さんたちが野球をしていく中で、
とても注意しなければならないケガに
野球肘がございます。

野球肘とは、
野球の投球による肘部の障害をいい、
特に肘の内側の痛みを野球肘と
総称しておりますが、
テニスやゴルフなどのスポーツでも発生する肘の痛みを伴う運動障害のことをいいます。

また、小学生や中学生などの
成長期にたくさんボールを
投げすぎることによって起こる
肘の障害をリトルリーガー肘ともいいます。

野球肘は、大人にも起こる
肘の障害でもありますが、
成長期に発生する野球肘は、
肘が伸びにくくなったり、
曲がりにくくなったりと、
日常生活にも支障をきたす恐れが
ありますので、注意が必要になります。

成長期の子供たちの多くは、
痛いところがあっても、
それを親御さん、監督、コーチ、
顧問の先生などに伝えてしまうと、
練習を休まないといけない、
試合に出させてもらえない、
レギュラー、スタメンから
外されてしまうのではないか、
などの不安を日々抱えており、
野球肘の発見、対応が遅れてしまったがために、肘が曲がりにくくなってしまう場合や、伸びにくくなってしまう危険性を
孕んでおります。

野球肘の原因の原因には
以下のようなことが考えられます。

① 練習のしすぎ、オーバーワーク
② 柔軟性の低下
③ 投球フォームの乱れ

野球肘には、以下のような
3つのパターンに分類されます。

①肘の内側が痛くなるパターン
②肘の外側が痛くなるパターン
③肘の後ろ側が痛くなるパターン

今回は③肘の後ろ側が痛くなるパターン
について綴っていきたいと思います。

③肘の後ろ側が痛くなるパターン
後方型は、フォロースルー期の
ボールリリース後は、
肘関節は過伸展となり、
肩関節内旋制限を伴っていると、
肘頭と上腕骨肘頭窩の間に圧迫力が加わり
インピンジメントが発生してしまいます。

その際、成長期では肘頭骨端離開が、成人では肘頭疲労骨折の発生が多かったりします。

後方型の症状としましては、
ボールリリース後の肘関節伸展時に
肘頭と上腕骨肘頭窩間での
インピンジメント(衝突)の結果、
肘頭部周辺に疼痛、腫脹、圧痛、
ボールリリース時の痛みなどがみられ、
成長期では、肘頭骨端線の閉鎖障害、
成人では、肘頭の疲労骨折や
上腕三頭筋の炎症などが発生します。

後方型で骨に異常がない場合は、
投球禁止期間は早ければ2週間程度で
長くて3か月程度になるかと思います。

骨に異常がある場合は早くて1ヵ月半、
長くて半年から1年のケースに
なってしまう可能性もあります。

野球肘に対する予防対策としましては、
早期発見、早期治療が
大切になってきますが、
まず野球肘とならないためには、
過剰投球にならないように、
チームの監督、コーチ、顧問の先生、
ひいては親御さんを含めた練習量の管理や
投球フォームの見直しなどが
必要になってきます。

球数制限に関しましては、全力投球数は、
小学生では1日50球程度、週200球、
中学生では1日70球程度、週350球、
高校生では1日100球以内、週500球を超えないことが提案されております。

ただ、この考え方は、
練習・試合での全力投球であるため、
ブルペンなどでの投球練習は
含まれておらず、高校生では、
公式戦に関しては該当しますが、
練習試合に関しては考慮されて
いないようですので、
練習試合も含めて考えておかないと
形骸化しまうおそれがあります。

子供たちは、今この時に全力を注いでいる
気持ちもわかります。

ただ、一人でも多くのお子さんが長く、
そして楽しく野球を続けていくためには、
球数制限、投球フォームの見直し、
積極的な休息、身体のケアなどを
一緒になって考え、話し合っていく
ことこそが最大の予防対策になるの
ではないかと思います。

野球肘をはじめとした肘のケガや痛みは、
シンプルな肘な問題だけでなく、
肘関節の上下にあります
肩関節、手関節の問題や股関節を
中心とした下半身と上半身の
連動性の破断などが要因となることも
考えられますので、
痛みを痛みだけと思わず、
もっと大きな視点で物事を
捉えていくことが大事になるのでは
ないかと思います。