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#161 東洋医学の五臓の豆知識 腎編

私は鍼灸師の資格保有しており、
施術も行っておりますが、
以前よりも東洋医学への
注目度が上がってきているかなと思います。

テレビなどのメディアで取り上げられたり、
漢方薬や鍼、お灸に対して
理解のあるお医者さんが
増えてきていることも
一因ではないかと思います。

コロナ禍を経まして、
世間一般の健康に対する関心は
より一層高まったのではないかと感じます。

健康に関しましては
様々な考え方が存在しますが、
東洋医学における健康とは、
季節やストレス及び生活環境に対しまして
自己治癒力でバランスが取れている、
保たれている状態をいい、
このバランスが崩れた状態を
「未病」といいます。

今回は、東洋医学の人体の考え方の中から
五臓の肝・心・脾・肺・腎を順々に
綴っていきたいと思います。

なお、鍼灸師の勉強で使用しておりました
東洋医学概論の教科書を
参考にしております。

【腎】
①父母から受け継いだ先天の精は、
腎に内蔵されております。

精は生命力と成長、生殖力の
根源であるとされ、精が腎により
活性化されたものが元気であります。

人間は腎の働きが盛んになるにつれて
成長し生殖能力を生み出す。

腎精が充実していれば、
元気(基礎活力)も盛んで、
活動的で、疾病にもかかりにくく、
また根気がいる細かい作業を、
やり抜き通す力も湧いてきます。

腎気が衰えてしまいますと元気がなくなり、活動が低下し、身体が冷えてしまいます。

生殖能力も低下してしまい、
疾病にかかりやすく、治りにくくなり、
様々な老化現象を引き起こしやすく
なってしまいます。

②脾が胃において、水穀から分離して
上へ送り、肺が全身に散布した津液は、
不要となったあとを腎が、
これを集めて処理しています。
津液全体を調整しているのが腎となります。

水分調節がうまくいかなくなると、
浮腫・尿閉や、頻尿・下痢などの症状が
現れてしまいます。

③腎精は髄を生育しています。
髄は骨の中にあり、
骨に栄養を与えています。

腎が正常でありましたら、
精が十分あり、髄が充実するので
骨も歯も丈夫であります。

髪も黒々とつややかでよく伸びます。

腎精が不足したり、
老化により衰えてしまうと、
発育不良や、老化に伴う歯牙の異常、
骨が脆い、腰が曲がる、白髪・脱毛などの
症状が現れてしまいます。

④腎は耳を通して外界と交流しており、
腎精がしっかりしておりましたら、
耳は音声をよく聞き分けて
判断することができます。

老化などにより腎が衰えてしまうと、
難聴、耳鳴などの症状が現れてしまいます。

腎は水分を調節し、調節した結果が
大小便となって体外に排出されます。

大小便口が二陰(前陰=小便口、
後陰=大便口)であります。

大小便の異常は、
腎の異常でもあったりします。

⑤腎は歯牙を支配しています。
歯牙の生えているところからわき出る液が、唾(つば)であります。

中医学では、「腎は納気を主る」と
されており、深い呼吸に関わっています。

吸気を臍下丹田まで取り入れて、
精を元気に変えて、これを活性化します。

腎機能が弱くなってしまいますと、
納気作用が発揮されず、
浅い呼吸になったり、呼吸困難などの
症状が現れてしまいます。

「腎」は、西洋医学的には、
血液を濾過して尿を作るいわゆる
腎臓としての機能も含みますが、
東洋医学の「腎」は、成長、発育、生殖に
関する働きを生涯にわたって左右する非常に重要な生命力の元と考えられております。

ビックリしたり、怖い思いをしたり、
怯えることがありますと、
腎は不調になりやすくなります。

特に恐怖心は気を下げ、弱まることで、
些細な事にも不安を感じるようになり、
負の連鎖が生じてしまいます。

恐怖で失禁してしまったり、
緊張するとトイレに行きたくなるというのもここに大きく関係していると
いわれています。

腎の機能をしっかりさせるためには、
まずは、良質な睡眠が不可欠になります。

きちんとした食事をしていないと
腎精の消耗も早くなり、腎の機能が
弱くなりやすいので、
3食たべる、偏食をしない、
間食をしすぎないなど気を付けると
良かったりします。

冷えは腎に直接ダメージを与え、
特に下半身が冷たくなってしまうと
負担をかけやすくなります。

夏場でも下半身を冷やすような服装はなるべく避けたり、お風呂に浸かったりと
身体がを温めることをオススメします。