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#159 東洋医学の五臓の豆知識 脾編

私は鍼灸師の資格保有しており、
施術も行っておりますが、
以前よりも東洋医学への注目度が
上がってきているかなと思います。

テレビなどのメディアで取り上げられたり、
漢方薬や鍼、お灸に対して
理解のあるお医者さんが
増えてきていることも一因では
ないかと思います。

コロナ禍を経まして、
世間一般の健康に対する関心は
より一層高まったのではないかと感じます。

健康に関しましては
様々な考え方が存在しますが、
東洋医学における健康とは、
季節やストレス及び生活環境に対しまして
自己治癒力でバランスが取れている、
保たれている状態をいい、
このバランスが崩れた状態を
「未病」といいます。

今回は、東洋医学の人体の考え方の中から
五臓の肝・心・脾・肺・腎を順々に
綴っていきたいと思います。

なお、鍼灸師の勉強で
使用しておりました
東洋医学概論の教科書を
参考にしております。

【脾】

①脾は、胃と一体となって働き、
飲食物の消化や吸収を司り、
後天の精(主に飲食物を脾胃が
消化・吸収することによって得られるもの)を取り出します。

さらにこれを肺に送り、気・血・津液に
変化させて、全身に送り出します。

脾の働きによって吸収・配布される栄養物には、営気が蔵されており、運行を担います。

営気が、血と共に脈中をめぐることにより、血が脈外へ漏れることを防ぎ、
また全身に栄養を与えて活力のもとと
なります。

脾が上手く働かなくなってしまいますと、
腹痛、下痢など、消化、吸収の異常が生じ、元気がない、全身倦怠感、
出血しやすいなどの症状が
現れてしまいます。

②脾は、営気を身体のすみずみにまで
巡らせることができます。

とくに肌肉に行きわたらせて、
これに張りを与えます。

不調となってしまいますと、
肉づきが瘦せ、四肢無力に
なってしまいます。

③口と唇は、飲食物の取り入れ口であり、
脾胃と密接な器官となっています。

唇の厚薄は、その人の脾の強弱を
表しています。

脾の働きが正常であると、口が苦いとか、
粘るということがなく、
食べたものをおいしいと
感じることができますし、
唇やそのまわりの色つやも
良かったりします。

脾の働きが正常でなくなってしまうと、
食欲の異常(亢進・減退)や、
食べてもおいしいと感じられず、
唇やその周囲、口内が荒れたりする
などの症状が生じてしまいます。

④脾は、水穀(飲食物)から
津液を吸収し、肺に送ります。

津液を作り出し、全身に輸布する
大本であります脾の働きが悪いと、
津液の不足や停滞が起こってしまいます。

脾は、湿邪と感応しやすく、
その結果津液を停滞させることになります。

⑤脾の働きが順調でありましたら、
涎(よだれ)により口中は潤い、
水穀を口に入れた時、
涎はほどよく口中に流れて、
胃の消化を助けてくれます。

脾の働きが悪くなりますと、涎が流れずに、口中が乾いたり、あるいは流れすぎたり
してしまいます。

脾は、胃とともに、消化吸収に関する
働きを担っており、西洋医学の脾臓とは、
全く別の働きをしています。

脾は、飲食物を消化・吸収し、
水穀の精微(栄養物質)に変化させて、
全身に送るところであり、
栄養物質は心や肺などの上部へも送られ、
心肺で気と血にかわります。

また、脾は血が脈外にあふれ出るのを防ぐ
ところと考えられています。

脾と関係のある感情は、
『思』と言われております。

この思は、『考えすぎ』・『思い過ぎる』と脾が弱るという事であります。

脾を元気にするには、
昼間は筋肉を動かして、活動量を高め、
夜は十分に睡眠をとる事も
有効だったりします。

強めのシャワーで
お腹や胃の裏(背中)をよく温め、
お風呂でリラックスすることも
良かったりしますので
お試しでやってみていただけると幸いです。