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ビットコインに全く興味がなくても読みたくなる、「ビットコイン・スタンダード」のコラム


こんにちは、ルカルカです。


仮想通貨界隈で話題の本書、
「ビットコイン・スタンダード」やっと読了!

いやー長かった。
仮想通貨に足を突っ込み始めてから2年以上が経っており、かつビットコイナー(ビットコイン信者)である私ですが、それでもこの本を読破するのには難儀しました…。

ページ数はそれ程ではない(225ページ)のですが、なにせ専門用語や知らない単語がとにかく多い。かつ言い回しも理解に時間がかかる箇所があり、なかなか読み進めることができませんでした。

そんな明らかに仮想通貨初心者向けではない本書ですが、内容としてはこれから仮想通貨の購入を検討している皆さんに、是非読んでもらいたい内容となっています。

自分がもし仮想通貨を始めた頃にこれを読んでいたら、アルトコインやその他の草コイン(※1)に惑わされず、確実にビットコインへの投資金額とガチホ(※2)力がアップしていたと思います。(そしてそれは現在に対して大きなリターンを生んでいるはずでした)

今回は一人でも多くのビットコイナーを生み出すべく使命感を持って、ビットコインに全く興味がない人でも読みたくなるような切り口でコラムをまとめてみようと思います。

※1…アルトコインはビットコイン以外の仮想通貨(暗号資産)の総称。草コインとはアルトコインの中でもさらに時価総額が小さいコインのこと。
※2…「ガチでホールドする」の略称で、仮想通貨(暗号資産)を長期保有することを指します。

1.タイトルがビットコインなのに内容の7割がビットコインの話じゃない


いきなりこれ(笑)
まずビットコインの前に貨幣の歴史の話がめっちゃ多い。いい意味でタイトル詐欺です。中でもヤップ島にある太古の巨石貨幣の使用法が、実はビットコインの仕組みに似てるという話はなかなかのロマン。
ビットコインはロストテクノロジー、古代人は未来人だった…?


2.著者、ケインズ嫌いすぎ問題


ケインズとはジョン・メイナード・ケインズ氏(John Maynard Keynes)のこと。ウィキペディアによるとケインズ氏は「20世紀における最重要人物の一人であり、経済学者の代表的存在である」とのことですが、これをもうボロクソに批判しています。

嫌いすぎてほとんどの章に名前が出てくるケインズ氏、もはや好きの裏返しなんじゃ?思うレベルで著者はケインズ氏に詳しい。
「放蕩息子で社会経験も経済学も学んだことがない快楽主義者」とか、正直ちょっと批判しすぎなんじゃ?とも思いますが、著者の意見からするとケインズ氏は未来の富を使って今の経済成長をドーピングしたり、政府ににとって有益な(それは一般市民にとって不利益な)法定通貨(※)を蔓延させ、不健全な貨幣社会を創った元凶として批判されています。

「過去の経済成長のツケを未来の世代が支払っている」という話だけ聞くと、おや、今の日本がまさにそうでは…?と思えなくもないので、なかなか刺さる批判になっています。

※法定通貨…納税などに用いることができる法的効力を有する通貨のこと。 (円やドルなど、現在国家が発行している通貨はほぼ全て法定通貨)著者は法定通貨を政府の都合によっていくらでも膨張(増刷)できる貨幣して、所有者が価値を保存することができず、不利益を産む貨幣の使用を政府が強要していると主張しています。


3. 美術館を子供の落書き(現代美術)で埋め尽くすな


見出しような記載が実際にあります。
著者の現代美術に対する偏見がすごい。

法定通貨を不健全な貨幣と見なす著者は、現代美術を法定通貨と金の亡者が産んだの産物だと断じます(本当にそうかな??)
このあたりは著者の趣向が暴走気味ですが、まあもしジャクソンポロック(※1)が無名だったら誰も彼の絵を買わないよねって話。多分著者は昨今のNFT(※2)ブームにも憤慨してるんだろうな…。

また音楽に対しても同様でクラシックを至高の音楽とし、現代音楽やマイリー・サイラスが名指して批判されてます(この本の読者層に彼女のファンはいなさそうだから大丈夫なのかな?)

※1…ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)は、20世紀のアメリカの画家。「アクション・ペインティング」の代表的な画家として有名。
※2…NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)の略。ブロックチェーン技術を使ったデジタル資産の一種。 

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これはジャクソン・ポロックの「ナンバー5, 1948」
絵画競売において、当時(2006年)の最高落札額である1億4000万ドルで落札された。


4.ビットコインよりも金(GOLD)を保有したくなる


著者は健全で膨張しない貨幣が流通する社会、つまり(不完全でない)金本位制(※1)を称賛しているので、途中までは読んでいるとハードマネー(※2)であるGOLDを買いたくなる不思議。

後半になるとビットコインが畳み掛けて来ますが、本の半分くらいまでなら書籍名が「ゴールド・スタンダード」でも全然成り立ちます。

※1…金本位制とは、GOLDによる貨幣価値の裏付け制度。 政府銀行が発行した紙幣と同額のGOLDを保管しておき、いつでも金と紙幣を交換することができる制度のこと。
※2…ハードマネーとは、作る(または採掘する)のにコストがかかり、価値の保存に適している貨幣のこと。逆に作るのが容易で、価値の保存に適していない貨幣をイージーマネーと言います。


5. 政府はジャンキー


法定通貨の項目で下記のような例えがあります。

『貨幣を生み出す権利(信用創造)は麻薬で、最初は気分がどんどん良くなり(=経済成長)ハイになるが(=バブル経済)いずれは効き目が切れ離脱症状(=恐慌・経済危機)になる。』
著者に経験があるんかってレベルで例えが秀逸で怖い。

信用創造は、創造する側が理性を持って管理ができれば問題ないですが、「お金製造機」が手元にあって理性が保てる人間なんていないですよね。
完璧な社会主義・共産主義が無理なように、アニマルである人間が管理・運営する時点で構造的に無理がありますよって話。

名称未設定のアートワーク 2


6.通貨が膨張すると、戦争も膨張する


普通、軍資金がなくなったら国家は戦争継続どころではなくなりますが、政府は法定通貨を刷り続けることで戦争を延々と長引かせることが可能になってしまいました。
金本位制をとっていた19世紀までの戦争と違い、20世紀の戦争が国家総力戦、規模・人員共に拡大の一途を辿ったのは、近代兵器などの発展だけではなく法定通貨が暗躍していたと著者は主張します。
これは20世紀から現代まで続く負の遺産。膨張する貨幣はいろいろと罪深い…。

だからこそ、これからの時代には法定通貨に変わる健全な貨幣、ビットコインの必要性・重要性が見えてくるわけです。


7.「あなた」こそが究極の資源


地球に埋蔵している原油・GOLD・その天然資源は、人間が時間を費やし消費できる形となって初めて「資源」となります。そしてその資源の埋蔵量は「推定」であり、採掘され続ける限りは有限ではありません。(毎年新たに採掘されるので)
ただ、採掘する人間の個々の時間のみが有限であり、つまり「あなた」の時間、人間の時間こそが究極の「資源」であると著者は言います。

膨張し毀損し続ける法定通貨の為に、究極の資源である「あなた」の時間を浪費していませんか…?(勧誘CM風)


8.ビットコイナーは無政府主義者(という主張)


「無政府主義者」=「無法者」ではなく、真の無政府主義者は攻撃をしなく、侵害しない。暴力や強制を嫌い、自由意志を尊重した平和主義者。そしてビットコイナーは真の無政府主義者だと著者は主張します。

著者はケインズ氏にやたら攻撃的ですが、ビットコイナーではないということでしょうか?(素朴な疑問)


まとめ


いろいろと書きましたがページ数の割に内容が濃厚で、4400円の価値がある本だと思います。ビットコイナーとしていままで散らばっていたビットコインに関する基礎知識が、補完・集約・増強された感じです。

自分も最初は例に漏れずビットコインの握力を上げる為にと読みましたが、ビットコインが革命的技術であるということはもちろんのこと、法定通貨の不健全性にかなり危機感が増す結果となりました。

生まれた時から当たり前にあり、これからもあり続けると思っていた法定通貨ですが、その慣らされてしまった認識を改める時期がきたのかもしれません。

またビットコインが世界共通通貨になるという意見に対してずっと違和感を感じていましたが(それは決済処理としての利便性面で)、ビットコインは通貨になるのではなくGOLDに取って代わる、つまり将来的に銀行の準備通貨になりうる。GOLD以上に価値の保存に適した「強い貨幣」であるという内容は非常に納得できました。現代でもGOLDは価値貯蔵に対する最強の物質で、決済には使用しないですからね。
(ただ2021年9月7日よりエルサルバドルでビットコインが世界初の法定通貨として採用されました。著者が本書を書き上げた2017年からは想像もつかない未来となっていますが、こちらは国家による大規模な社会実験として注視していく必要があるかと思います)

さらに、ビットコインの技術的性能だけ見るとそれを遥かに上回る仮想通貨(暗号資産)があまたとあるのに、なぜビットコインが特異的存在であり続けるのか?という疑問について。

それはビットコインが変更不可能な通貨政策をとっている点に集約されます。その「不変性」自体が価値の源泉になっているということ、「変わらない」のではなく「変えられない」ということ。
2100万枚という発行上限も変えられない希少性だからこそ価値があり、そこに技術的な性能は関係がないということです。

不変性は価値を貯蔵しておくことに大きく利しています。GOLDも金属性質として安定していて錆びないし風化しない。流通量も爆発的に増やせない。その不変性が価値貯蔵として適していた為に、歴史がGOLDを貨幣として選択してきました。

それがビットコインがデジタルゴールドと呼ばれる所以でもあり、GOLDよりもより強固な価値貯蔵先になりうる可能性を秘めていることに繋がっています。

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いかがでしたでしょうか?

初めてnoteということで色々と拙い点もあったかと思いますが、このコラムで書籍やビットコインに少しでも興味を持って頂けたなら幸いです。

またビットコインに関することだけではなく、その他雑多なことも主にTwitterで呟いていますので、ご気軽にフォローして頂けると嬉しいです。
https://twitter.com/LucaLucaDontiku

最後にビットコイナー的な格言で締めくくりたいと思います。


ビットコインを保有しよう。
将来の自分の資産を守る為に。


最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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