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「Jリーグ、Bリーグができたから」で考えるプロ野球16球団構想

16球団構想賛成の人にしばしば見られる発言に、
「Jリーグ(Bリーグ)ができたんだからできるはず」がある。
今回はこの
「Jリーグ(Bリーグ)ができたから」の視点に立った16球団構想を
私なりに考えてみたい。

「Jリーグ(Bリーグ)ができたから」視点の改革案

①開放型モデルへの移行

まず「Jリーグ(Bリーグ)ができたから」
と考えると、
リーグ全体のチーム構成としては
NPBやアメリカで用いられている閉鎖型モデルを捨てて
両リーグが導入しているヨーロッパサッカーの開放型を導入するのが
大前提条件になる。
30億円の加盟料廃止云々はあくまで閉鎖型を維持する中での話だから
「Jリーグ(Bリーグ)ができたから」とは別の話だ。

②一部・二部制導入

「16球団」と言っても
開放型を導入する以上、
将来的にはさらにチームが増えていくことが考えられる。
であれば最初から二部リーグも作っておくのが得策だろう。

③セパ両リーグ制廃止

一部・二部制を導入するからには
二リーグ制はとれないので解体となる。
新しくできる一部リーグのチーム数は協議次第。
12から減らすと
最初から二部に落とされた現行のチームが
いきなり完全撤退することもありうるので
そこが厄介だけども。

④CS廃止

CSはいらなくなるので廃止。よかったね。
というか二リーグ制を廃止するのだから、
日本シリーズも当然廃止。

⑤新しいプレーオフについて

新しくプレーオフを導入するかどうかは編成次第。
Bリーグのようにカンファレンス制を導入するなら
あってもおかしくないが、
Jリーグのように完全1リーグでは
現在のCSと大差ない。
16球団構想の目的の1つがCS廃止にある以上、
これでは16球団の意味がなくなるので不要。
ところでカンファレンス制があったとしても
数字のキリがいいのは2の累乗なんだから、
18チーム中8チームがプレーオフに進むBリーグや
30チーム中16チームが出られるNBAのように
16チーム中8チーム進出の形式になることもありうる。
「全チームの半分が出られるのはおかしい」派は
それはいいの?

⑥ドラフト廃止

ドラフトはあくまで閉鎖型において有効なもの。
新規参入を容易にする開放型では使われない。
そもそも一部と二部チーム間でのルールをどう調整するのか。
二部に対して差を設けてしまっては
不公平以外の何物でもない。
なのでドラフトは廃止し、
選手獲得は完全自由競争。
移籍も基本的に自由。

⑦収益については未定

特に放映権などの問題をどうするかだが、
ここは要調整。
旧来のNPBのように各自の努力(≒開放型)に任せるか、
Jリーグのように
ここだけアメリカ式の閉鎖型を導入して
リーグが管理するか。
まあここは
かつての巨人中心のモデルが崩れてきている以上、
16球団構想とは関係なく
議論・改革しないといけない問題なんだけどね。

⑧選手の年俸について

一方で新規参入を増やすからには、
しばらく収入が伸びない状況に耐えられる環境を作るために
支出もできるだけ抑えられるようにしたい。
特に選手の年俸は積極的に抑える必要があるだろう。
実際、Bリーグでもチームを一気に強くしたはいいが
債務超過でライセンスを剥奪されるケースが出てきている。
今年のJ1の日本人最高額は1億4000万
1億以上の日本人選手は11人しかいないから、
全チームの年俸最高額はこの程度まで抑えることになる。
すなわち現在80人近くいる日本人の1億円プレーヤーの年俸を
徹底的に削減し追い出す必要がある
わけだ。
また「Jリーグ、Bリーグを参考に」と言う人には
独立リーグも「成功例」とする人も多い。
となると、
最低保証年俸は独立リーグ並に下げるのを前提に
語っていると考えられる。
ここもJリーグの年360万やNPB育成契約の年240万より
ある程度下げた
うえで
8ヶ月間のみの支払いとするわけか。
なおMLBの1億円以上は486人、
最低額は55万5千ドル(約5964万円)だ。

⑨選手保有数は各チームに任せる

自由競争なんだから当然ここも自由。
と言うと
「どのチームも一気に増やす」と思っている人ばかりだが、
保有数をはるかに少なくしないと
新規参入チームは参戦が難しくなるし、
選手数が多くなれば当然年俸総額も増える。
現在の独立リーグか社会人ぐらいの保有数になる
チームのほうが圧倒的に多くなるだろう。
J1も1チーム約30人強だから近い数字になるね。

⑩二軍戦は基本的に廃止

どういうわけか、
一軍を一部、二軍を二部リーグにおけばいいと
考える人はやけに多い。
昇格可能性がなく、
選手自体は状況次第で一部に編入されるチームを
わざわざ二部の形にして何がしたいんだと思う。
J3のU-23のように
まだチーム数が少ない下部リーグのつなぎとして入れるならまだしも、
常態化させるのが前提なのは意味が分からない。
選手保有数を自由にする以上
二軍を作れないチームも出るから、
全チーム参加の二軍公式戦は当然廃止。
持ちたいチームは各球団の裁量に任せる。
リーグ戦自体も
他チームや社会人等との練習試合に任せるか
自由参加の二軍リーグを別途に作るか。
このどちらかになる。
いずれにせよ二軍の参加が前提の二部リーグはありえない。

⑪ホーム球場の規模を抑える

現在のNPBホーム球場の収容人数はほとんどが
「外野席」を含めて3万人以上になっている。
だが地方の球場では、
名目上の収容人数こそ多いが
芝生席に無理やり詰め込んでも
実数がそこまで達するかどうか怪しい球場が多数ある。
それらを考慮するとJ1と同じぐらい、
収容人数15,000人程度のホーム球場でも
参入を受け入れるべきだろう。
二部ライセンスまでなら
基準をもっと減らしてもいいかもしれない。

⑫試合は基本土日のみ

地方都市の参入を推進するということは、
都市圏人口が少ない地域も
受け入れられる体制を作らねばならない。
そんな人口の多くない都市圏で、
平日の日本のプロ野球に毎日1万人、2万人が動員可能だろうか。
観客の見込めない試合を多く続けては
球場使用料だけでチームがパンクしかねない。
それなら試合は基本的に
これなら選手保有枠の半分近くを占める
投手を大幅に減らすこともできるし、
試合数を理由に年俸の削減を断行することもできそうだ。

何かが違う16球団構想

さてこうやっていろいろ妄想してみたはいいが、
そもそも序盤から矛盾だらけだったことにお気づきだろうか。
王会長の発言では
17球団以上まですぐ増やすことは想定されてるように見えないし、
二リーグ制を廃止することも
CSというかプレーオフを廃止することも想定されてない。
王会長の「16球団構想」は
アメリカ式の閉鎖型モデル維持を前提としている可能性が高いのだ。
つまり「開放型のJリーグ(Bリーグ)ができたからできる」は
成り立たないし、
「JリーグやBリーグに人気で抜かれる」も
それはまた別の問題点が原因であって、
新規参入の難しさは理由にならない。
加盟料問題もJリーグ・Bリーグとは全く別の話だ。
なのに
Jリーグ・Bリーグ型の参入を求める人が
セパの2リーグ制を前提にしていたり、
逆に一部・二部制導入を主張する人が
閉鎖型の16チーム固定を前提にしていたり、
とにかく奇妙な意見が多い。
しかも今回考えた案だと
経営規模や選手枠の大幅な縮小、
選手1人あたりの年俸額の大削減が絶対条件になるので
よく主張される「野球人口」の拡大や
「アマチュア選手の受け皿」には
とてもじゃないがつながると思えないんだが…。

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