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『エッセイのまち』の仲間で作る共同運営マガジン

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2020年4月の記事一覧

僕は悲観主義の僕を笑ったりしない

とりあえず僕は、自分のことを悲観主義者だと思っている。 河野裕さん作の小説で、階段島シリーズ(一巻「いなくなれ、群青」)というのがあるんだけど、これを読んだとき主人公(七草)にすごく共感したんだ。普段の僕の考え方、価値観と似てるかもしれないって。七草が自分自身のことを「僕は悲観主義者だ」と表現しているのをみて、彼の価値観に共感した僕もまた悲観主義的なのかもしれないと思った。だから僕も、とりあえず自分は悲観主義者だということにしている。 悲観主義だとか、ネガティブ思考の人っ

やさしさの連鎖。

だいぶ前のことになるけれど、髪を切りに美容院行った。その日は、いつもと違うお姉さんが担当してくれた。 「髪、きれいですね!」 髪をとかすなり、いきなりお姉さんに言われた。 「そうですか?」 「はい!こんなにきれいなの珍しいですよ!いいなぁ、羨ましい〜」 こんなふうに人に褒められるのは久しぶりで、「ありがとうございます」と言ったきり、恥ずかしくて俯きがちになってしまった。 でも、なんだか心が温かくなった。褒められるって、こんなに嬉しいことなんだ。 「せっかくなので

「農耕なキス」って、どんなキスなのだ

「モテ子が心がけている男子との会話のコツ5つ」とか「彼からずっと愛される女子の特徴8選」なんて恋愛コラムの広告が流れてくると、ついつい読み耽り、関連記事を漁ってしまうクチだ。 そうした記事で描かれる世の愛され彼女たちは一様に性格がよく、また並外れた努力を持続する力にも長けていて、圧倒された私は敗北感が高まるあまりゲラゲラ笑い転げたり、こんな素敵女子を彼女に持つ男性っていったいどんな果報者だよとちょっとムカついたりして、そんな一連の感情に翻弄されたことによる疲労を洗い流すため