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慣らし保育はだれのため?ゼロ歳からの保育園デビューすることのメリット

「ゼロ歳から保育園に預けるのは残酷なんでしょうか」という質問を受けることもよくありますが、

「ご家庭にも保育園にも良いところはそれぞれにありますよ」というのが、私の答えになります。

これまでずっと一緒だったお母さんから離された赤ちゃんは火がついたように泣き叫ぶことしばしば、高熱を出すことしばしば、集団生活で風邪などの病気をうつされることしばしばで、親はそのたびにお迎えで呼び出されますから、なかなか予定通りには進みません。

心配と焦りでお母さんの表情も暗くなり、我が子の姿を見て保育園に預けることに罪悪感を持ってしまうのもこの時期なんですね。

慣らし保育が順調にいかず自信を失いかけても、時間の差はあれ子どもは必ず新しい環境に馴染んでいきますし、あまり心配することはありません。

慣らし保育というのは、急に長時間保育を行うことは無理があるので少しずつ保育園に慣れてもらうために毎日ちょっとずつ預かり時間を延ばしていく保育過程をいうのですが、始めはそれこそ30分、1時間くらいからスタートします。

たしかに乳児期には特に信頼できる大人のもとで過ごすことがとても重要と言われていますが、この「大人」という存在は親に限らず、信頼できる保育士もそこに含まれるととらえてよいと思います。

保育園を使わずにご家庭で世話ができるのであればそれに越したことはないという意見もそれでよし、でも、忙しい現代社会において保育園を利用せざるを得ないということはごく普通のこと。親はもちろんですが親の養育を支える様々な社会資源(そこに保育園や保育士が含まれます)が一緒になって子どもを育んでいくのだという考え方でも決して悪くはないということです。

慣らし保育がうまくいかず悩んでいるお母さんに思い出してほしいのは、入園に向けて初めて保育園を見学に行ったとき。

子どもたちがたくましく元気に過ごしている様子にびっくりしませんでしたか。どんなに幼い乳児でも、集団生活のパワーは見事なもので日々色々なことを覚えさせます。

お母さんの抱っこでしか絶対に眠らなかった子が、泣きながらでも保育士の手によって眠ることを覚え、そのうちにあやされながら一人で眠ることができるようになります。ミルクを飲むのもしかり、手づかみ食べをしてみるときもしかり、初めてのハイハイ、立っちや転ぶ時もしかりです。

お母さんをずっと独り占めにできる家庭内養育も魅力的ですが、同じ年齢で押し合いへし合い育っていくのもたくましく育つコツになります。ずっと家庭内で育った子供と比べると、幼い時から保育園に入っている子どもの方が早い段階から人見知りをしない子に育っていく傾向が強いように感じます。

A子さんは育児ノイローゼでゼロ歳から子どもを保育園に預けたお母さんですが、保育園を利用するまではずっと子どもと一緒に居ても満ち足りた気持ちになかなかなれなかったといいます。

保育園に預けている間に自分の心と体を休め子どもを大事に思えるようになったこと、またお迎えに行くと嬉しそうに飛んでくる子どもの様子を見ては愛情を再確認し、離れている時間があるからこそ家庭で一緒に居る時間を大事にできるようになったと話していました。

ノイローゼまでいかなくても子育ては大変な作業ですから、親もいっぱいいっぱいになってしまうことはよくあることだと思います。

保育園は第一に子どものための施設ですが、その目的は親のためであり常に親の味方です。

仕事でも心身の不調でも、悔いなく子育てをしてほしいからこそ、その一部を全力でお手伝いする施設なのです。ゼロ歳からの保育園デビュー、安心して保育園を頼ってみてくださいね。

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