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イエス・キリストを紹介したいんです[10] -社会から嫌われる人々と食事をした-

「健康な人には医者はいりません。医者が必要なのは病人です」(マタイの福音書 9:12)

イエスは取税の仕事をしていたマタイを弟子にします.そしてマタイと彼の取税人仲間,当時の律法を守れない人々を招いて食事を一緒にします.当時,取税人はローマの手先と思われ,自分の懐に入れるために,決められた以上の税金を取り立てるなど,ユダヤ人社会から嫌われていた人々です.

一方,ユダヤにはモーセの教えに忠実になろうとして,穢れた行いをせず,律法を守れない人々と交わらないことを信条としたパリサイ派というグループがありました.このパリサイ派の人たちが取税人と食事をともにするイエスを見て,激怒します.その時のイエスのことばが冒頭のセリフです.さらに続けて語ります.

「旧約聖書に,『わたしが喜ぶのは,生け贄や供え物じゃなくて,あなたがたがあわれみ深くなることである』とあります。このほんとうの意味を、もう一度学んできなさい。わたしは、自分を正しいと思っている人たちのためにではなく、罪人を神に立ち返らせるために来たのです。」

律法を守れない人々(罪人)や社会的に疎外された人たちの中に積極的に入りこんでいく,一緒に食事をする姿に,イエスをこの地上に送って下さった天の父なる神さまのご愛をみることができると思いました.

ちなみに,英語でパリサイ派を意味する Pharisee には偽善者・独善者という意味があります.もともとの意味は「分離する」という意味で,良く無いものから自分を切り離すと解釈する方もおられます.これ自体は悪くないと思います.でも更に進んで,当時の律法を守れない人たちとつきあわないようになります.つまり,マタイのような取税人と食事をともにするなんてとんでもないことになるわけですね.

また,このパリサイ派から,新約聖書のたくさんの書簡を書いたパウロがでてきます.


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