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【読了】絶叫 葉真中 顕

KindlePaperwhiteで読んだ本をメモがてら。
今回読んだのは「絶叫」。
よくもまぁこんなメンタルの時に手に取ったなというタイトルだが、あらすじをざっくり見た上で挑戦してみました。

主人公は奥貫綾乃。
30代後半の女性警察官の視点で、とある女性(陽子)の孤独死現場からはじまる。
一見身内のいない女性の孤独死のように見え、警察側としてもその裏付け(事件性がないことの確認)をするスタンスで身元確認や交友関係を洗い出していく。

ところが、その生い立ちを追っていくうちに別の殺人事件との関連が見えてくる・・・という話。


今回読んでみて面白いと思ったのは、主人公の視点で現代が、
それと交互に別の誰かの視点で殺された陽子の生い立ちをたどる形で話が進むこと。

私も読んでいて最初は綾乃の視点で生い立ちを追っている気持ちでしたが、途中からどうやら様子が異なることに気づき、最後に「あー!」となりました。
また、途中で出てくる小さな伏線が大きな効果をもたらします。

結論を言ってしまうと、事件は正しくは解決しません。
ただ、それもまたどこか納得して受け入れてしまう不思議さがありました。
タイトルの「絶叫」というのも、最初は何を絶叫するのかよくわからない(内容としては絶叫するようなテンションでもない)状態でしたが、最後に陽子が発したのはまさしく「絶叫」。
恨み、感謝、怒り、悲しみ、虚しさ・・・全部をひっくるめた絶叫に心を打たれました。

文章としても非常に読みやすく、1日で読了してしまいました。
どうやら同じ主人公・綾乃のシリーズが他にあるようなので探して読んでみたいと思います。



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