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おばあちゃんのみそしるの話

料理の地域差の話をすると、だいたいお雑煮自慢になるよね。
そういえば最近ツイッターではお醤油自慢もあったな。九州のは甘くて、南に行くほど甘いとか。

でも、全然みんなみそしるの自慢はしないの。

米みそ、麦みそ、豆みそ
昆布だし、鰹だし、煮干し、合わせだし、ほ⚪︎だし

地域によって作ってるみそも、だしの文化も違うのに。
当然具にもレパートリーがあって、組み合わせはお雑煮の比じゃないのに。

でもさ、なんか家のみそしるについて話すのって小っ恥ずかしいんだよね。
ともだちにあなたの家のみそしる食べさせてって言われたら、きっとすごく緊張しちゃうな。
それに思い返してみても他人の家でみそしるご馳走になったことってないな。
誰でも作れるからこそ、
みそしるって実はすごく個人的なものなのかも。

親族のみそしるを食べるときですら普段一緒に住んでなかったりすると、なんだかその家の入ってはいけない部屋に忍び込んでるみたいな、洗濯物の下着がぶら下がってるのを見ちゃったみたいな、まあそんなソワソワした感覚になっちゃうもん。

でも父方の祖母のみそしるは時々しか食べる機会がないのに、そんなことをちょっとも感じさせない、そんな余裕を作らせない、圧倒的みそしるだったと思う。

どんなかって言うと、とにかく濃い。
八丁みそだから元々味は強いはずだけど、それにしても濃い。
だし汁にみそを溶かしたんじゃなくて、みそをだし汁で伸ばしたかなってくらい。
具がなめこだから、ねばねばも相まってとろとろ。実際のところ言葉を選ばないで正直に言うと、とろとろじゃなくてどろどろ。
あれ一杯で一食、いや半日分の塩分を摂取してそう。

そのみそしるで育ったわたしの父や叔母のみそしるもまあまあ濃いんだけど、それはなんていうか常識的な濃度と粘度なんだ。
わたしもあんなみそしるは作れないよ。ちょっとずつしかおみそ溶かせないもん、ケチっちいからね、シャバシャバのみそしるだよ。

世代を経て血が薄まると、みそしるも薄まるのかななんて思っちゃう。
もうすぐおばあちゃんのお命日。


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