2024 J2 第25節 ファジアーノ岡山vsモンテディオ山形 レビュー
3ヶ月半ぶりにCスタに参戦しました。
片道12時間かけて!!!
いや青春18切符は偉大だなと思いました。何せ岡山までの片道分の費用未満で関東から岡山まで2往復出来てしまうのだから。
キックオフが19時だったのも大きかったです。最短で17時岡山駅着なので18時キックオフだとバタバタですから。簡単ですがファジフーズも楽しみながら試合を見ることができました。
後は勝利という結果が伴えば、というところでしたが…。
1.スタメン
岡山は中断前最後の試合から藤田・髙橋・早川の3人が入れ替わり、輪笠・嵯峨・一美がスタメンに。ベンチ入りした神谷も含め新加入の3人がメンバーに入る形となりました。
岡山、そして高知でのトレーニングを踏まえた現状のベストがこのメンバーなのだと解しています。もしかすると体調不良もあったのかもしれませんが…。相手コートに入っていく、アグレッシブにプレーするという意味では全員が力を発揮してくれたように思います。
山形も3人のスタメンの変更がありました。目をひくのはやはりトップ下の土居。トップ下の選手が得点に関わってほしいと試合後の山形渡邉監督のコメントが有りましたが、その得点に関わる力が発揮された試合となりました。
2.試合
岡山は3-4-2-1、山形は4-1-2-3でのスタート。
この試合、岡山はこれまでにないプレスのかけ方を見せていました。
これまで4バックの相手であれば、1トップの選手と、2シャドーの選手のどちらかが相手のCB2枚にプレッシャーをかけるやり方をとってきました。
しかしこの試合では、1トップの一美が山形のCBではなくボランチに付き、2シャドーが山形の2CBにプレスをかけるやり方を見せていました。またシャドーの片方はボランチへの縦のパスコースを消しながらプレスに行くことでWボランチへのパスコースを封じました。
もう一つ特徴的なのは岡山の2シャドーがプレスをかけ始める時点で、山形の2CBとの距離が少し空いていたように見えたことでしょうか。このポジションの取り方、個人的にはボランチのパスコースを徹底的に消すための策に見えました。山形のボランチ(特に高江)はフリーでもたせると精度の高いサイドチェンジを蹴って来たので、ボランチからの配球を最小限に抑え込むことが出来たのは岡山が主導権を握るうえで大きなポイントとなりました。
このプレスは本当によくハマっていたと思います。CB→ボランチのコースを消すことが優先となるため、場合によってはSBからCFにパスが入ることもありましたが、多くは山形CBからのロングボールになったり、あるいは39分のシーンのようにSBからの浮き球のパスをカットしボールを奪取したりできていました。
山形も対抗策として30分手前から小西が2CBの左横に顔を出してビルドアップする構えを見せてきます。こうすることで岡山2シャドーから山形2CBに対するプレスがハマりにくくする算段だったと思います。もっともその場合の岡山は1トップ+2シャドーで3バック化した山形の組み立てを見ればよく、山形のビルドアップの変形に対してもうまく対処出来ていたと思います。37分には前線3人のプレスに加え、山形ボランチを岡山のボランチが見る構えを作り、プレスからボール奪取に成功していました。
岡山の攻めに関しては、かなり高いポジション取りを維持しながら攻め込めていました。山形に対するプレスで誘発したカウンターも多数あり、また前半は山形も前線からのプレスが強くなく、CBからWBへ、WBからボランチへとパスを回しながら前進ができていました。
この試合の岡山のエリア間パス図になります。ハーフウェーラインよりも高い位置でパス交換ができていることがわかります。
その中でも一美がよく起点になっていました。彼を起点にしつつ、CBやボランチを経由しながらサイドに振りつつ、前線の動き出しの部分でチャンスを作ろうという姿勢は見せていたように思います。
この試合では山形のボランチの後ろのスペースを使った攻めが多くありました。例えばシャドーが山形ボランチを釣り出すような動きを見せることもあれば、山形ボランチが攻撃参加した際のカウンターで空いたスペースをきっちり突くシーンもありました。
山形は後半、岡山の3バックでのボール保持に対し、プレッシャーを強くかけるようになります。山形の両WGが絞り気味のポジションをとり、3トップを岡山の3バックにぶつける形になりました。もっともこれに対し岡山のWBが早くフォローに入れていたため、山形のSBの対応が間に合わず、岡山としてはWBからボランチへ展開ができ、前半と同様高いポジションを維持しながら攻めていくことが出来ました。
そんな中での岡山の得点シーン。そして山形の得点シーン。どちらも自分たちの強みを出せたシーンだったように思います。
岡山はセットプレー。ファーサイドに合わせて折り返しを詰めるパターン。よく柳育崇がファーで競るシーンを見かけますが、今回は田上。セットプレーで岡山がよく見せる「強み」を見せることが出来たシーンでした。
山形は右サイドのイサカからファーへ抜けるようなグラウンダーのクロス。この試合でも34分、41分と見せていたプレー。三度目の正直で仕留めたシーン。山形の渡邉監督もDAZNでの試合後インタビューで「クロスの形はずっと今年やってきたこと」と語るようにこちらも自分たちの形、強みを見せたシーンになりました。
山形からはセットプレーからの失点について避けたかったと悔やむコメントが試合前・試合後にありましたが、ここは岡山の強みを出せたシーンです。
土居やイサカのマークを岡山としては嘆きたくなるところではありますが、ここも山形がシーズンを通して取り組んできたストロングポイントを発揮された、と解するべきなのかと思っています。
そうなると、岡山としては2点目がほしくなるところ。実際、シュート本数は28本とA熊本戦と並び今年一番の数でした。しかしながら、追加点を奪えることなくこの試合を終えることになりました。
個人的にはこの試合、ポケットをとる(ペナルティエリア内の左右のスペースに侵入する)プレーが少なかったように思います。アーリークロスを早めに上げていたり、エリア内に侵入しても深いところまでいかず、一美をはじめとした前線や後ろから走り込んできた中盤の選手たちを使うシーンが多かったりした印象です。またポケットをとれてもGKの対処しやすい浮いたボールになりがちだったように思います。
ここに関しては前線の選手たちの動き出しの質の良さが発揮されていたこと、またボランチ(特に輪笠)やWBが高い位置を取れていたことの証左でもありますが。
例えば46分、木村のドリブル突破からグラウンダーのクロスに一美が飛び込んだシーン。こういったよりゴールに近い距離でボールに詰めていくシーンがもっと増えてほしいと思いました。このシーンを選んだのは山形の得点シーンを見た影響がないわけでもないですが。
現にCKからの得点にしても、71分の山形GK後藤がセーブしたボールに輪笠が詰めたシーンにしても、ゴールの至近距離でボールに詰めたからこそ見られた決定機でした。
ゴールにより近いエリアで得点の匂いのするプレーが増えれば、自ずと得点は増えていくのではないかと期待しています。
加えて左サイドからの攻めが前半多くありましたが、嵯峨が山形右SB岡本の守備に苦戦していた印象です。山形に関しては前々節が栃木戦だったこともあり、前節(岡山‐栃木戦)の前に見ているのですが、岡本は栃木の川名も抑え込んでいた(この試合の川名は左WBで先発)ので、嵯峨の突破力の課題、というよりどちらかというと岡本が相当対人守備に長けている印象を持ちました。
左サイドを抜き去ってクロスを上げることができれば、もっと多くのチャンスを作ることが出来たかもしれません。
3.結びに
山形の渡邉監督の試合後のコメントとして、土居に対し「リンクマン的な役割としてはまだまだ連携をとっていかないと」と語るように、新加入の選手の連携面についてはどのチームもまだまだ足りないところがあるように思います。岡山も同様で一美、嵯峨、途中出場の神谷とこれから噛み合っていく部分が多くあるはずです。
この試合の一美で言えばダイレクトではたいて前線の動きを使うようなプレー、嵯峨で言えば最後のクロスを合わせる部分(右からのクロスの精度はかなり高いものでしたが)やドリブルでサイドを突破できないときのフォローのもらい方、神谷ならシャドーとしての周りとの連携、特にコメントでもあったようにペナルティーエリア付近でのアイデアの共有といったところはもっと向上できそうな期待を持っています。
残り13試合、新戦力と既存のメンバーでの連携が噛み合いゴールの近いところで決定機をより作ることができれば、2点目を奪いきり勝ち切る力が見られると信じています。
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