私が痩せない理由がそこにある

金曜日、PM8:56

1週間の恨みつらみ妬み嫉み悲しみ疲れを背負って自宅の最寄駅に降りる。目は疲れてしょぼしょぼするし、くちびるも乾燥してるみたい。肩にかけた通勤バッグは私の背骨を歪めようとしているのかと感じるくらい重く感じる。

コンビニでテキトーにご飯を、今日は夜だけど炭水化物摂ってやる。でも一応大麦ご飯のおにぎりをチョイスする程度の理性は残っている。先週とは大違い。(詳しくは先週のブログを)

仕事はハードだ。
規模も責任も大きな仕事をしている。別に商材が好きだとか、この仕事内容にやり甲斐を感じるとか、そういった感心する心持ちでは決して臨んでいない。給料が良くて、キャリアを積める、それだけだ。正直同世代の平均年収より稼いでる。男の人がひく理由の一つ、バリバリ働きすぎ。彼氏がいない理由はそれだけじゃないけど、それも一つの要因ではある。(元カレに年収がバレてひかれた話はまたいつか)
ふと仕事中に我にかえりそうになるのを押し留めて、PCに向かってひたすらに、客と自社の利益の為に無いアタマを働かす。


そんな5日間が終わり(月曜は祝日だったけど話はスムーズな方が良い)、心空っぼで帰路につく。


駅前から歩いて1分の安さが取り柄の冴えないラーメン屋。私が入ったことなんてあろうはずがないってやつ。店内に客は2人だけ。L字のカウンター席に親子が隅っこに肩を並べて座っている。細い肩をしたお母さんと坊主頭の男の子。
今日は金曜日だし、お母さんもちょっとは楽をしたいし、男の子はラーメンに大喜びで。何より、注文したラーメンが出てくる間はゆっくり二人で一週間のことを話せる、大切な時間だ。
そんなところかと親子の背中で勝手に妄想を繰り広げ、ふっと笑ってしまった。大人になればなるほどそれっぽい妄想が上手になる。

ラーメン屋を通り過ぎるとカップルとすれ違った。男が自転車を押し、その横を女が歩く。ごく普通の、カップルなのか、夫婦なのか。別に見た目も目を引くようなところは何もない冴えない二人。でもその笑顔はなんか素敵で心惹かれた。
地元が一緒で小中は同じだったけど高校で離れ、その後はお互い会うこともなく大学を卒業し社会人に。たまたま呼ばれた地元の飲み会で10年ぶりに再開、意気投合。付き合って1年、そろそろ結婚もありかな、なんて考えているのか。(※全て私の妄想です。アラサー怖い)


カップルともすれ違い、角を曲がり路地に入る。細くて暗い、でもまあまあ人は通るいつもの帰り道。

親子とカップルを見て確かにほっこりはしたけれど、心は空っぽのまま。そんな都合良く満たされるような単純さは残念ながら、また幸か不幸か、持ち合わせていない。


もし今このキャリアを捨てたなら。

私も笑い合える彼氏ひいては旦那ができるのだろうか。その人との間に、一緒に楽しくおしゃべりできる子供ができるのだろうか。

そしたら、私もあちら側の人間になれば、きっと心は満たされるんじゃないか、幸せだと思えるんじゃないか。少なくとも鬱々としたものを抱えてながら笑顔でハキハキと働くなんてことはしなくて済むんじゃないか。



なんて、有りもしないことを考える程度には疲れた一週間だったから。

来た道を引き返す。

そこにはもうカップルはいなかったし、ラーメン屋の中を見ることもしなかった。


コンビニに再入場。レジ横のホットスナックを買う。悪い油で揚げられた美味しい美味しい鶏肉を。

今日はもうちょっと暴食してもいいよ。

こうして私は、来週も頑張るんだ。きゃくとじしゃのりえきのために

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