家訓を作った話

先日、息子が百日を迎えました。
妻の頑張りと周囲の人々のサポートのおかげで、すくすくと成長しています。

百日の祝いの席で、家族や親戚に向けて、家訓を発表しました。
令和のこの時代に、普通のサラリーマン家庭で家訓を作るというのは珍しいかもしれません。
でも、家訓を作るプロセスも、完成した家訓も、自分たちにとってとても大切なものとなり、本当にやって良かったと感じています。

その過程を共有したいと思います。

家訓

誠実
しっかりと話を聴き、本当の気持ちに寄り添います。

尊敬
相手を思いやり、心の伝わるあいさつと言葉遣いをします。

丁寧
身の回りの物や自分自身を大事にして、心地よく暮らします。

学び
興味や好奇心に従い、気づきを大切にします。

家訓を作った理由

息子が生まれる前、産婦人科が提供している父親学級の動画を見ていました。
その中に「家訓を作ろう」という回があり、家訓を作る意義や、作り方が説明されていました。
夫婦で動画を見て、面白いね、やってみよう、という話になりました。

しかしその後息子が誕生し、初めての子育てが始まり、家訓を作る余裕は無くなってしまいました。

それから3ヶ月が経ち、子どものリズムも何となく落ち着いてきて、家族や周囲の人々のサポートもあり、我々夫婦にも余裕が出てきました。

百日を迎えるにあたり、息子との関わり方について、改めて夫婦で話し合いました。
どのように接していきたいか、どのように成長して欲しいか、どんなことに気をつけたいか、など、自分たちの価値観を改めて言葉にしました。

そして、同居する両親や、子育てをサポートしてくれる親戚にも、我々夫婦が大切にする価値観を共有したいと考え、家訓として明文化することにしました。

気をつけたこと

家訓を作るにあたり、いくつかのことを心がけました。

自分たちが目指したいものにする

家訓は我々夫婦が心がけるものであり、息子の教育方針でもあります。
生まれたばかりで輝かしい未来しかない息子を目の前にすると、この子にどうなって欲しいか、どう育てたいかという視点になりがちです。
しかし、親が出来ないことを子に強要はしたくありません。
逆に、親が理想を掲げ、それに向かって人生を楽しんでいれば、子はその姿を見て自然とその楽しみ方を真似したり、同じような価値観を大切にしたりしてくれるのではないかと考えました。
親子で一緒に楽しみ、一緒に成長していくための指針にしたい。
そのような想いで、まずは親である自分たちを主役に据えて考えていきました。

否定語を使わない

これは先述の父親学級で言われていたことでもあります。
「〜しない」ではなく、「〜する」の形で作ることを心かげました。
例えば「『将来何になる?』と尋ねない」とか、「『勉強しろ』と言わない」というような、「〜しない」が、家訓作りの話し合いの中でもたくさん出てきました。

他人に「〜しないで」と言うひとは、自分自身がそれをしてはいけない、そんな風になってはいけないと無意識的に強く感じている。
つまりそれは自分自身を強く否定しているのと同じこと。

これはお世話になっている先生の教えのひとつで、大いに共感する考え方です。
自分自身に対する否定は他人の否定につながります。
逆に自分自身に対して受容的であることで、他人に対して受容的でいられるのではないかと感じています。
自分は家族に対してはもちろん、他者に対してなるべく受容的でいたいし、息子にもそうであってほしいとの思います。
そのような想いから、「〜する」の形で統一することを心がけました。

(「否定語を使わない」が否定語になっていることについては、このプロセスを共有するための便宜上ということで…)

きれいな文章にする

我々夫婦はともにポエマー(笑)なので、文章に対してはちょっとしたこだわりがあります。
単語の重複を避けるとか、言葉や文章のリズム感とか、そういったことに注意しながら作りました。
出来上がった文章は短くシンプルですが、そこにたどりつくまでには推敲を重ね、何度も音読しました。

具体と抽象のバランス

家訓は行動指針にしたいという思いがありました。
家訓は家族みんなが心がけるためのものですが、「心がける」というのは行動としては具体性に欠けます。
かと言って、具体性を追求しすぎるとがんじがらめで実効性の低いものになっていきます。
そのバランスをとりながら、シンプルな文章に落とし込むために随分考えました。
結果として、「一歩深読みすればより具体的な行動が見えてくる」くらいの、ちょうど良い抽象度に落ち着いたと感じています。
例えば「心地よく暮らすとは?」と考えると、整理整頓をするとか、好きなものに囲まれて好きなことをして過ごすとか、割とすぐに具体的な行動を思いつくことができます。
このように、なるべく抽象度を上げて文字数を抑えつつ、想像力を喚起して具体的な行動につなげやすい言葉選びを心がけました。

家訓の発表

百日のお祝いに、親戚が駆けつけてくれました。
その席で、少し時間をもらい、家訓を発表しました。

家族一人ひとりに、その人が息子を抱っこした写真入りのカードを手渡し、その裏に家訓と手書きのメッセージを入れて渡しました。

そして、僕が家訓をひとつひとつ読み上げました。
「これは皆さんにこうして欲しいということではなく、僕らはこんな風に生きていきたいから見守って欲しい」ということも伝えました。

親族は皆真剣に聞いてくれて、中には感動したと言ってくれた人もいました。

気付きと感想

家訓を作ったことで、自分の価値観を振り返る機会になりました。
夫婦でその価値観を話し合い、共有し合い、ひとつにまとめあげていくというプロセスは、お互いをより深く理解し、一層尊重し合うことに繋がったように思います。

もちろん家訓は作って終わりではなく、これから家族として目指していくものです。
何か迷った時には、これを思い出すことで意思決定の基準にします。

一方で、これは今の僕らの価値観を基に作っているものなので、年月が経過すれば変わっていくこともあるかもしれません。
今回作ったものに固執せず、その都度新しい価値観を家訓に反映させていきたいと思っています。

3ヶ月前に子どもが生まれたばかりの新米家族ですが、この家訓を大切にして、仲良く幸せな家族でありたいと思います。

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