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『猫にかまけて』

これは、町田康さんの本のタイトルだ。

愛猫、そして奥様との日々を綴った、
猫好きにはたまらないエッセイだ。

独特の文体だが、読み進めるうちに慣れてきて、そこから面白くなる。

私は、町田さんが音楽をやっている時に、ミュージシャンとして町田さんを知り、
たまたま図書館でこの本を見つけて、驚いた覚えがある。

まず、タイトルに惹かれた。

パラパラと中身を見ると、可愛い猫の写真。

すぐに借り、家に帰ると一気に読んだ。

独特の、しかしパワフルな文体。

読む者を魅了する。

一体、どこからこんな言葉が出てくるのだろう。

編集さんとの、クスッと笑ってしまうやりとりも。

この本には、ある愛猫との、永遠の別れも描かれている。

その時、奥様が仰った、

「1週間以内に、生まれ変わってきなさい。私が必ず見つけるから」

という言葉。

何と、本当に叶ってしまうのだ。

奥様が、明け方、コンビニに向かうと、
段ボールが入り口に置かれていた。

子猫の鳴き声。

中を覗くと、1週間前に亡くなった猫にそっくりの子猫が、
声を上げていた。

奥様は、この子猫を連れて帰った。

猫に関する不思議な話は、枚挙にいとまがないが、
これは驚いた。

まるで、亡くなった猫の魂が、町田家に帰ろうとしているようで。

根底にある、猫への愛情。

それを、ひしひしと感じる。

読んでいて楽しいので、愛猫との別れも、湿っぽくない。

悲しみも、独特の文体で素直に綴られている。

従って、こういう場面が苦手な方にはお勧め出来ないが、
出来れば、愛猫家の皆さんに読んで頂きたい1冊だ。

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