見出し画像

安楽死という選択。

以前、安楽死を選び、実行した、
日本人女性のドキュメントを観た。

女性は、末期のがんで、全身が
激しく痛み、これ以上は耐えられない、
という。

共に暮らす、お母様とお姉さんは、
初めは、安楽死に反対だった。

しかし、娘の、妹の、あまりに
苦しむ姿を見て、考えが変わったそうだ。

支援団体を通じて、安楽死を合法としている、
ある国の医療機関へ、
幾度となく、一刻も早く、安楽死させて欲しい、と手紙を送るが、なかなか
返事が来ない。

その間にも、がんは進行し、
とうとう、自分で手紙を書けなくなる。

お姉さんが代筆し、何通も送るうち、
ようやく、医療機関からの返事が届く。

心から、安楽死を望んでいるか。
後悔しないか。

手紙に書いてある問に、女性は、
躊躇なく頷いた。

そして、日本を後にして、
その医療機関のある国へ、
家族で向かった女性。

ストレッチャーに横たわり、酸素吸入を
しながら、飛行機に乗り込んだ。

そして、医療機関につくと、
翌日、安楽死を行うことになった。

今夜は、ご家族と、良い時間を
過ごしてください。

看護師の言葉に、女性は、穏やかな顔で
頷いた。

女性の表情は、日本にいる時と、
確実に違った。

カメラの前でも、痛み、苦しみを
隠さなかったが、
医療機関にいる間は、痛がることが無かった。

翌日。

医師の確認を受けてから、安楽死が
実行された。

点滴で、数分で死に至る。

家族と、短い会話を交わし、
目を閉じた女性は、安らかな顔で
死んでいった。

海外で、安楽死したご遺体は、
日本へ連れて帰れない。

現地で荼毘に付され、女性の希望通り、
美しい川に、遺骨は流された。

彼女の痛みは、相当なものだと分かる。

私の父も、がんで、末期には、
痛みに苦しんだ。

安楽死については、賛否両論あるだろう。

しかし、あれほどの痛みを、
死ぬまで我慢しろと言うのは、
酷な気もする。

女性は、インタビューに、
「これ以上は待てない。痛みは増すばかりだから」
と答えていた。

そう、これ以上は待てないほどの
痛みを、受け入れろと言う方が、
残酷なのだ。

なかなか、医療機関から許可が
下りなかったのは、
日本が安楽死を認めていないからだそうだ。

心から、安楽死を望んでいる、と、
何十通も手紙を送り、
ようやく実現した。

耐え難い痛みに苛まれながら、
必死に手紙を書く女性の姿を見て、
安楽死も、ひとつの選択肢ではないかと
思った。

日本人の倫理観が、それを許さないなら、
女性のように、海外へ行くしかない。

その費用が捻出出来なければ、
痛みに耐えるしかないのだ。

国会議員の方に、是非観て欲しい
ドキュメント番組だった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?