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雪解け


既読スルーしたLINEの数日後

「覚えてる?久しぶりにランチ行こうよ」

と、追いLINEが来た。


懐かしくてつい返事をしたら

相変わらずの、そうは感じさせない
押しの強さに負けて会う約束をしてしまった。

GW前の平日の昼間。

久々に来た渋谷は風景が変わっていて
少しドキドキした。

待ち合わせたお店のガラス張りのエレベーターは
どんどん高く登って、少し先に着いた私に追いつくように彼もやって来た。

「久しぶりです!」

昔と変わらずラフな服装にリュックを背負って、

少し大きくなった?

「俺ちょっと太ったでしょ?」

あ、やっぱり?笑


会うの5年ぶりくらいだったから

会わない間の色んなことを話した。

「あの頃の俺酷かったよね。今はだいぶ丸くなったでしょ。たぶん鬱だったからaoiさんが助けてくれた事本当に感謝してるんだよね」

〝うん、酷かったけど笑、でも大人になったね。私もだいぶメンヘラだったよね″

「あの頃はきっと、お互いにおかしかったんだよ」


そんな話をしながら、テーブルでクレジットカードを店員さんに渡してお会計する彼を、学生だった彼と重ねて本当にちゃんと大人になったんだなぁ、、と感慨深かった。


それで別に今更セックスなんてするつもりなかったけど、もったいぶるような小娘でもないし

私を呼び出した目的のひとつにそれも含まれているんだろうから、再会の記念にしてみても良いかなと、押しに負けたフリをしてついて行った。


なんだか色々至れり尽せりで

「aoiさん痩せた?前よりもっと可愛くなったね」

とかなんとか。

すべすべお肌のちょっと大きくなった身体に
組み敷かれるのは思っていたよりも悪くなくて

「俺の名前呼んで?ずっと会いたかった」

そう言って、

彼ば私の名前を呼びながら果てた。


私は、今は彼に特別な感情はないけれど

昔彼を想ってたくさん泣いた事、

なんだか全てがうまくいかなくて辛かった事、

なんで私は既婚者なんだろうとか、

どうしてこんなに不自由なんだと
人生に理不尽さを感じていた事、

それでもその不自由さがその時は
必要であった事。


色んな想いが彼に会った事で雪解けしたような気持ちになって

私の中で終わっていなかった何かが完結したような気分だった。


そして、人生で一時関わった人のその後のストーリーを見せてもらえることの豊かさとか、

なんだかしみじみと感じてしまった。


だから彼に会ってみて良かった。

そんな風に思うのだ。

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