見出し画像

多くの日本人が知らない闇

年度末の有休を利用して、ずっと見たかった映画を見てきた。

「牛久」という入管収容所の実態に迫るドキュメンタリー。

ぼくは入管には20年来の恨みというか、いま思い出しても腹立たしい出来事があって、とてもじゃないけどいいイメージは抱きにくかったけど、その思いは間違っていなかった。

前職の職場がドイツの大学と提携をしていて、毎年ドイツからの留学生を受け入れていたんだけど、書類の手続きのため入管に行かなければならないことがあって、そのたびにぼくは留学生に同行して入管に足を運んだ。

そこは、この映画で「品川」と呼ばれている東京出入国在留管理局という場所で、多くの日本人は足を運ぶことはないと思うけど、何から何まで、とにかく印象が悪い。

まず立地がクソ。本当にクソ。
品川駅からバスに乗って15分ほど。立派な建物とは裏腹に、周囲は倉庫ばかりでひとけもない。とにかく

「歓迎されていない」オーラ

が半端ない。

そして入るやいなや、受付スタッフの態度が最悪。受付スタッフというか、窓口を含めスタッフの態度がとにかく悪いし、こちらが日本人とわかると、露骨に態度を変える。

日本人は人前で英語を話さないわりに、外国人が話すカタコトの日本語を見下す風潮があるけど、入管はその悪いところが凝縮された場所。英語もロクにできないくせに、なぜか終始高圧的な日本語で接するスタッフが多すぎる。ぼくですらイラッとして

「もう少しわかりやすく説明してもらえますか?(易しく訳すと)」

と聞いたくらい。

ぼくの20年来の思いはこのくらいにして...
この作品にも、あの頃と変わらない「謎の」優越感のようなものを持った入管の職員が登場する。

一般の来日者に対してもあのような態度を取っていた人々が、紛争などで母国に戻れないなどやむを得ない事情もあるにも関わらず「在留資格なし」という扱いにされた人に対してどのような態度を取るのか、ということは容易に想像できた。
とはいえ、実際に目の当たりにするとやっぱりモヤッとする。

産まれて来るときに親を選ぶことができない「親ガチャ」なる言葉があるけど、それと同じく産まれて来る国は選ぶことができないガチャのようなもの。

貧しかったり争いが絶えず居場所を無くした人たちが、豊かで安全な場所を求めるのは自然なこと。
生まれながら豊か(と思っている)な環境にいる人たちには、どんな気持ちを持って難民申請したのかという相手の気持ちを考える想像力が足りないんじゃないか?と思う。

改めて調べてみると、東京出入国在留管理局は常に職員を募集していて、年収も相当低い。職場の不満を来庁する外国人に向けているとしたら、ひどいハナシだよね…

もし、この作品は大げさに描かれていると思うなら、実際に「品川」に足を運んで「通常」の手続きの様子を見学することをおすすめしたい。
ちなみに、この作品の「牛久」には男性が収容されていて、女性は「品川」の7階に収容されている。

鑑賞後に監督とお話しする時間があったけど、日本語がとても流暢で聡明な方だった。微力ながらこれからも応援したい。

今後も記事を増やしていきますので、ご期待ください。