終戦の日に寄せて
ごきげんいかがでしょうか、お嬢様修行中の私です。
去る8月15日は終戦の日。
私は毎年、靖國神社に参拝しておりまして、今回は付属している記念館「遊就館」も参観してまいりました。
この遊就館、訪れた方はおわかりいただけると思いますけども、全部しっかり観ると2時間くらいはかかるんですね。それくらい展示物が充実しているということです。
そして、とてもしんどい……
精神的につらいのです。
古今における我が国の防衛の歴史がくわしく展示解説されておりまして、現代に近づくにつれ、直筆の資料が増えてくるのがほんとうにしんどいんですね。かつて生きていた個人の癖のある文字が、個性のある言い回しが、そこに筆者の感情はもちろん、生い立ち、来歴など個々人の背景をも封じ込め、それを読むほとんどの者にとって未経験であろう「戦中」を語りかけてくるのです。
これにはさすがの私も心が押しつぶされそうになりましたわ。「戦争」の時代に生き、亡くなった人、生き抜いた人たちのあまりにも生々しい声が、自分の中でいつまでもこだまするような感覚が抜けず、精神的に膝をついてしまうような、顔を上げられなくなるような──そんな気持ちでおととい、昨日を過ごしました。(昨日おとといほぼ沈黙していたのはそのためです)
ちなみに参観中に涙が止まらなくなりそうな予感がしたので途中で退出し、翌日また訪れて残りを涙目になりながら観るという荒技を用いて完走いたしました。
時間は前後いたしますけれども、まずは靖國神社への参拝です。戦没者の追悼と、平和への祈念をいたしました。
しかし──年を重ねるにつれ、(今ほど平和への道すじを明示しなければならないときはない……)という思いは強くなっていきます。毎年、同じことを願っているのに、その度合いが年々強まっているのです。
それはとりもなおさず、世界に蔓延する戦争の予感が強まっていることに他なりません。はたして世界は混迷へと突き進み、国際連合の常任理事国のうち2国は領土的野心を隠そうともせず、力による現状変更を目論んでいます。
今ほど平和への道すじを明示しなければならないときはない。
もはや平和を祈るだけでは足らない。
戦争反対、戦争は絶対にしてはいけないと言うだけでは足らない。
戦争とは、人の尊厳を踏みにじり、資源や食料の供給を滞らせ、安全な暮らしを脅かし、文化の途絶を目論見、命を統計でしか見ないような行為。
今までは対岸の火事だったかもしれません。しかし今、それは足元にまで迫ってきています。
今、必要なのはさらなる思考の深化。
反戦平和を唱えるだけではなく、そのために何が必要なのかを知る努力が必要です。戦争を回避するために、軍事力以外のすべての外交力を結集して相手国と相対する方法を思考すること、戦争を起こせば損しかないことを相手国に知らしめ、少なくとも睨み合いの段階にとどめ置くことを考えておかなければなりませんわ。
そして、戦争状態に突入したときに、いかに損害を少なく抑え、速やかに終わらせられるかも考えておかなければならないでしょう。ダメージコントロールです。当たり前のことですけども、戦わずして降伏するという選択肢はありえません。我が国も経験したように、敗戦して他国の占領下に入れられてしまうと、教育から何から作り変えられてしまい、ひいては国民性をも作り変えられてしまいますからね。
今、必要なのは有事への備え。
それは単に軍備を増強するということだけにとどまりません。共に守りあう友邦を増やすこと。仲良くしたほうが得だと思わせること。どのような経緯をたどって戦争へ至ったのかを知ること。戦争になればどれだけ悲惨なことが起きるかを発信し続けること。
いかに非戦の誓いを立て、非暴力を貫こうとも、侵略する側にそんなものは関係ありません。奪えると判断したなら躊躇なく襲ってくるでしょう。残念ながら、それが現行人類の程度ですわ。愚行をためらうことなく行える、それが人類の現状です。
しかし、この地球上に生きるすべての人類が愚かではないはず。友を増やし、道理を説き、歴史に学び、悲しみを抑止力にすることによって、志ある者たちをほんのわずかでも仲間にすることができれば──仲間にし続けられれば──平和という名の苗木に、水をまくことはできるはずです。
たとえ成長が遅くとも、実りが少なくとも、その小さな果実こそが人類の未来を導くのだと、私はそう信じます。
二度と悲惨な銃後を来させないために
憎しみと偏見とに世界を支配されないために
命そのものを兵器とするようなことのないように
まずは、学ぶことから始めましょう
まる二日間、私の中でこだましていた声たちは、今では私の気血となってめぐり、新たな力となっています。
伝えましょう。
受け継ぎましょう。
微力でも、無力ではありません。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
それでは、ごきげんよう。
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