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ニュースつぶやき:「悪役令嬢転生おじさん、アニメ化へ」

 愛読している作品がアニメ化することについての話。

 わたくしが現在購読している異世界もの、悪役令嬢もの作品は四つ。「ライドンキング」「異世界おじさん」「悪役令嬢の中の人」、そして「悪役令嬢転生おじさん」ですわ。

 わたくしが好む作品の特徴は、「整合性がしっかりとれていること」「世界観、キャラクターの練り込みがなされていること」。1話だけ読んで投げ捨てる作品の多くが、ペラッペラな世界観だったり記号的なキャラクターだったり、およそまともな人間の思考とも思えない整合性のない駄作以下のものであり、鑑賞するに値する作品は全てこの二点をクリアしております。

 今回アニメ化される「悪役令嬢転生おじさん」は、交通事故に遭ってゲームの中の世界へ魂だけ転移した52歳公務員のおじさんが、悪役令嬢の身体に入り込んでしまって困惑しながらも持ち前のゲーマー魂で奮闘する、という筋立て。悪役令嬢ものにありがちな「イケメン攻略対象に慕われて逆ハーレム形成」「転生時のチート的能力付与」はしっかり踏襲しつつ、チート能力で無双したり、実は腹黒なメインヒロインにざまぁしたりする展開はなく、謎はありつつも嫌な人物がひとりもいないという、全方位から安心して観られる仕様となっておりますの。

 作者の上山道郎という方は、1970年生まれ、代表作にコロコロコミックスでのZOIDSなどを持つベテラン作家。異世界、悪役令嬢というものをご自分なりに分析し、今作品を創作しているとのこと。今年で54歳ということは、作品中のバーコード頭の中年公務員・屯田林憲三郎のモチーフとなったことは想像に難くありません。

 作中では、悪役令嬢グレイス・オーヴェルヌに乗り移ったおじさんは、やろうと思えば他を圧倒して蹂躙できる力を持ちながらも、その力をいたずらに行使しようとはせず、本来であれば自分の子供よりも歳下の学友たちを一歩引いた所で見守ります。そのまなざしは、まさに親目線。安易な承認欲求や現実世界の憂さ晴らしとは無縁な、ほっこりとする乙女ゲームの世界が繰り広げられます。一見するとテンプレートどおりなのですけど、しかしそこはさすがにベテラン作家、現実世界に残された妻と娘がゲーム画面を通じてサポートしたり、ゲームの中の世界にも真相を知っている人物やモンスターがいそうな気配があったりと、読者を飽きさせません。

 同じテンプレを使っても、作者の力量でこんなに差が出るのか、という典型例。手っ取り早くハーレムを作ったり、自分をバカにしていた連中にざまぁするカタルシスを得たい、という方にはまるで向かない作品ですけども、親目線でヒロインの幸せを願う悪役令嬢という視点は、わたくしわくわくが止まりませんわ。今日も最新話をダウンロードして楽しませていただいたところでございます。

 アニメ化されて動きがついたらどうなるのか?劇伴は満足のいくものになるのか?グレイスと憲三郎の声優さんは誰がアサインされるのか?楽しみは尽きませんわ。個人的には、グレイスには田所あずささん、屯田林憲三郎には玄田哲章さんか三宅健太さんを充ててほしいところですわね〜(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)



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