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夏の自由研究ことおさめ

──酎愛零が約2ヶ月にわたる自由研究を終えて感想を述べるお話──

 終わった!長きにわたる夏の自由研究の探索がようやく終わった!


 どうも、お酒解禁のタイミングをいつにするかいまだに決めかねている私です。

 noteで#夏の自由研究というタグで募集をかけていると知ってから、街路樹を樹皮だけ見て当てられるようにしようと思いたち、そのための資料を撮影するために、約2か月をかけて東京都および隣接3県をまたにかけて調べまわってきましたけれど、それがようやく終わりを迎えました!期限は「私が夏が終わったと思うまで」だったので、この時期になったというわけです。



『これ何の木?』という質問に答えられるようになりたいと思って始めたこのチャレンジ。ネットの画像と情報だけではいまいち木の質感がつかめず、実際にネット画像と実物を見比べても、(これがそうなの……?なんかずいぶん違うけど)と思ったことは数知れず、類例を多く集めることでしか解決しないと考えた私は、なるべく広い範囲で例を集めることを決意しました。最初に設定した研究方法の

①樹木の多角度・高低差のある画像の撮影
②同種・他個体の画像を多く撮影
③学術用語を使わず、自分の言葉で名前と形を把握し感想を残す

のうち、①は撮影機材と私自身の背の低さの問題もあり、途中から幹・枝・葉の撮影へと変更。②についてはじゅうぶんな量の画像が集まりました!③はこれからの研究成果発表にてできているかどうか明らかになるでしょう。どんなことをしていたのかは、各リンクからご覧ください。


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・樹木の名前が名札や立て札などで表示されているところ
・多種類があり、かつ同種がたくさんあって比較のしやすいところ
・東京都内あるいは隣接する3県内にあって公共交通機関で行き易いところ
・水分の補給ができるところ
・お手洗いが近くにあるところ

 訪れた、これらの条件を満たす「公園」「植物園」は実に20か所。


20箇所


 東京、神奈川、千葉、埼玉の各県で、人が少なそうなところ、かつ人があまり出歩かないであろう炎天下を選んで行ったつもりです。もちろんぼっちですよ。


 この探索行のうち、半分くらいは暑さと疲労で毎回死にそうになってましたね…… ちょうどオリンピック選手たちも地獄のような暑さで音を上げていた時期でしたし、私自身の体力もそんなにありませんでしたから。けれども、ワクチン接種と健康診断を控えて断酒していたのが幸いしたのか、探索を続けるうちに体力もつき、持ち物も必要最小限に洗練されていきましたので、帰りついてお風呂に入るなり死んだように眠る、ということは少なくなっていきました。自由研究期間の終わりに近づくころには、1日に20000歩を超えることも何度かありましたが、なんとか持ちこたえています。中盤以降、電動アシスト自転車をレンタルすることによって、かかる労力を大幅に軽くできたことは特筆に値します。今後、何かを探索するときにきっと役立つことでしょう。ちなみに歩数ベスト3は以下になります。


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 持ち物は

「カメラはスマホでじゅうぶん。メモ帳と筆記用具は名札ひもか何かで首からぶら下げ、リュックには日傘、日焼け止め、モバイルバッテリー、お水、塩飴、ティッシュ、ウェットティッシュ、救急セットのちっさいやつを詰めて背負うことにします。ハンカチはすぐ取り出せるポケットに、タオルは現地で濡らして振り回して気化冷却してから首に巻きます。靴はもちろんトレッキングシューズ、何か拾ったり触ったりするかもしれないので軍手も必要ですね。帽子、サングラス、マスク、あとは何かあるかな?」

なんて言っていましたけど、最終的に

「凍らせたお水&常温のお水、ラムネ状の塩タブレット、スマホ、モバイルバッテリー、ウェットティッシュ、ばんそうこうをちっさいクーラーボックスに入れて肩にかけ、フード付きのレインジャケットに大きなポケットのついたゆるゆるロングパンツ、そのポケットに虫よけとハンカチとおさいふとパスケースとをつっこみ、タオルを首に巻く」

という一種のニンジャみたいなかっこうになっていました。基本、木々の間を縫うように進むので、日傘は必要ありませんでした。というか手がふさがる日傘なんてじゃまでしたね。同じく筆記用具も持っていかなくなりました。撮影したその場でスマホに入力する方式に変えたからです。
 スマホまでクーラーボックスに入っているのは炎天下での過熱を防ぐ&過熱した場合の冷却のためです。
 通気性に優れ、防水性能も高いレインジャケットはとても有用なアイテムでした。正直いって暑いは暑いんですけれども、殺人光線のような真夏の太陽を直射で受けなくてよいのと、モスキートどもからがっちりガードしてくれるので、そのほうがよほどありがたかったです。所によっては10数匹まとめて襲いかかってきましたからね。(ゆるゆるロングパンツも同じ理由です)
 探索中の食事に関しては、ほぼ塩ラムネ頼りでした。少しでも重いもの(パンとかでも)を摂ると、とたんに体が重くなる感じがしたのと、少しでも持ち物を軽くしたかったからです。


 公園、植物園によっては、樹木に名札や立て札などがついていないところも多かったです。まあ、別にすべての木に名札がついている必要はありませんので、私は名札がついた木がいっぱいあればそこを「ビギナー向け」、ついた木がほとんどなければ「スパルタン」と次第に呼びならわすようになっていきました。
 名札のついている木にこだわったのは、素人目で判断して間違えてしまうのを極力さけるためです。明らかに「もうわかるもんね」という木を見ても、名札がついていなければ撮影対象からは外しました。中には20の公園・植物園を通じてもわずかしかない木もありましたしね。


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 私が今回の自由研究、そしてそのために行った探索でわかったこと。

 それは、すべての木には名前があり、個性があるということです。何を当たり前のことを、と思われるかもしれませんけれど、ふだん私たちが見ている木って、なんなんでしょう。桜並木やイチョウ並木はわかっても、その他の木をいったい何種類、言えるでしょうか。
 すべての木には名前があります。すべての木に、個性があります。街路樹、庭木という名ではありません。
 なぜそこに生えているのか、なぜそこに植えられているのか、必ず理由があります。
 私が探索して出会った木々たちには、まるで人間の顔のような個性豊かな表情がありました。最初に出会って最後までいてくれた、クスノキの兄貴。気がついたらいつもどこかから見守ってくれていたケヤキ先生。場所によって別人のような顔を見せるカツラ青年。どこにいっても歓迎するかのように花を咲かせてくれていた百日紅サルスベリ姉さん。かぐわしい匂いで旅の最後を飾ってくれた金木犀キンモクセイちゃん。

 訪れたすべての場所、すべての木々が、私の脳裏にしっかりと刻み込まれています。そして、私には世界が今までとはまるで違って見えます。今までぼんやりと、ただの木としてしか見えていなかった木々が、鮮明になり、名前と個性を持った親しい友人のように思えるのです。なんならお話もできるような気がします。
〈よう、今日も出勤か?交通量の多い道だ、気をつけろよ〉
「うん、クスノキの兄貴、ありがと!行ってくるね!」
〈長雨もようやくあがったようね。これでおひさまの光をじゅうぶん浴びられるわね!〉
百日紅サルスベリねえさん、きれい!また写真撮らせてね!」
〈……わしらはいつもここにいる。人の営みは時に辛かろうが、そんな時はいつでも来なさい。樹木の友人を得たあの夏のことを、存分に思い出すがいい。わしらはどこにでもいる。〉
「ありがとう、ケヤキ先生!私、忘れないよ!あの夏のことは!」


 そう、忘れようにも忘れられない、鮮烈な体験でした。


 初めての駅で降り、道に迷っていったりきたりし、焼けるような太陽の熱に体力を奪われ、地図ではわからない高低差に音を上げ、初めて乗る電動アシスト自転車にひゃっほーし、ラムネをかじりながら氷水を飲んで木陰で涼み、地元では聞けない種類のセミの声を聴き、スズメバチの群れに遭遇して震え上がり、地元の名産品を味わい、地元の人と仲良く談笑し、自分の知らない土地の歴史と風土を知り、広大な大地で、人々の憩う場所で、植物の神秘と美しさを目の当たりにして、自分の小ささと可能性とを同時に感じる。

 私は探索の旅の間、ずっとKOKIAさんの歌うこの曲をダウンロードして聴いていました。



 この曲を聴けば、私はいつでもあの木々の中に戻れます。見知らぬ土地、セミたちの声、葉擦れの音、ふかふかの落ち葉、濃密な緑の匂い、真夏の太陽、湧き上がる雲、どこか秋を感じる風、滅びゆくもの、今なお続くもの、思ったこと、感じたこと、考えたこと。それらをすべて封じ込めたこの曲は、きっと、私の夏の思い出とともに、生涯あり続けるでしょう。


 終わって初めてわかります。

 この夏は、私史上唯一無二の体験だったのだと。

 今のお仕事に就いていなければ、気にもしなかったかもしれません。noteのクリエイターたちの姿を目にしていなければ、腰をあげようとしなかったかもしれません。けれども、さまざまな要素と私の性格とが混じり合った結果、このような体験につながりました。

 計画を立てるのは大事です。しかし、それと同じかそれ以上に、実行することは大切なのだと、今回の自由研究で学びました。
 もし、あなたが、何かを計画していて、それでも踏ん切りがつかないときは、思い切って行動してみることをおすすめします。どんなに完璧な計画を練ったように思えても、細かい修正箇所は必ず出てきます。その都度、修正すればよいのです。その修正作業さえ、あなたの経験値となって、あなたを支えてくれるでしょう。

 ものを知るということ、経験を重ねるということは、自分の見ている世界の解像度を上げることです。今までぼんやりしていたものが鮮明になり、見えなかった世界が見えてきます。そして、くっきりした世界は、想像以上に、美しいものに満ちているのです。それを見てしまったら、きっと、もっと見たくなるでしょう。


 夏が終わりを告げ、季節は秋へと変わりゆきます。去りゆく夏を惜しむように、素晴らしい思い出のフレームとして、私はこの曲を聞きながら最後の園をあとにしました。



 歌いだしの歌詞が『夏が過ぎ……』だからという理由で選んだ1曲です。特に思い入れはなかったんですけど、いい曲ですよね。映画は観たことないですけど笑笑


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 反省しなければならない点は、途中でカメラとして使っていたスマホが壊れたので、お父さんからカメラを借りたりスマホをカメラ機能に特化したやつに買い替えたりして、記録がばらばらになってしまったことですね。まとめるのにすこし苦労しました。

 あと、副産物として体力がつきました。多少のことでは音を上げなくなるくらいのスタミナがつきました。
 そして黒くなりました。もともと地黒ではあるんですけど、以前と比べて黒くなったのがうっすらわかります。こればっかりは、フィールドワークをしていれば多少はしょうがないですね。


 さて、明日からは自由研究の成果をお伝えする記事となります。おそらく大量になるので、どうまとめるかはいまだに試行錯誤中なんですけどね。それでは、今日はこのへんで。


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 今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 それでは、ごきげんよう。


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