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英検1級の真実~スピーキング

英検1級を実際に受けて感じたことは、「ライティングとスピーキングの勉強はつながっている」ということです。ただ、これにはあるポイントがあって、「ライティングを自分の言葉で書く練習をしてきた人は、スピーキングはそれをアウトプットする練習をすればよいので、一から対策する手間が省ける」。

ライティングに関しては、「英検1級受験者必読」と言われている参考書があります。「これを丸写ししてライティングの点を取った」という人はいるようです。どの程度いるか分かりませんが…

ただ、こういう方がスピーキングもこのまま乗り切れるかというと、私は難しいと思います。面接官は二人いて、一人は英語ネイティブ、もう一人は日本人です。私の印象だと、英語ネイティブはちょっと「飾り」っぽくて、日本人の面接官はプロでした。

日本人の面接官は、英検1級受験者がバイブルにしているような参考書は、おそらく一通り読んでいるだろうし、そうでなくても、何度も同じような話をいろんな受験者から聞かされたら、「あ、既存の文章を暗記して話しているな」と気づくはずです。英語ネイティブだってさすがに何度も聞いていたら「おかしい」と思うはず。

参考書を丸暗記してスピーチした場合、質疑応答のときに質問攻めにあう可能性があります。そういう方のブログをいくつか読んだことがあります。

もう一つ丸暗記が危険なのは、英検1級対策の参考書が紹介しているデータが古いことです。具体的に言えば、環境問題は、参考書に書かれている内容と、COP28が終わった今とでは、かなり状況に差があります。また世界平和に関する問題も、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ攻撃と二つの戦争が起こっている今、参考書の内容と現状とではズレが否めません。

これを踏まえて、私のアドバイスは以下です。

1.参考書の丸暗記は危険
参考書はあくまで参考程度に。「自分の言葉で話していない」のはすぐ見破られます。またパクリは英語圏では重い罪。印象が悪くなります。

2.自分の英語を録音してみる
発音確認のために必要です。意外と声が小さい、モゴモゴ話している、一本調子…などいろいろ発見があると思います。日本語で話すときより口を大きく開け、大きい声で話すことを心がけるといいと思います。私が試験を受けたとき、面接官と自分の間にはかなり距離があり、そういう場合、特に声が小さい人は不利です。ただ話す、というより、相手に届けるつもりで話す練習を。

3.自己紹介を工夫する
試験が始まる前に、自己紹介をしてください、と言われます。自己紹介の内容は英語学習とからめて、面接官から「この人を応援したい」と思われるものが理想的です。

「製薬会社で事務をしています。趣味は映画鑑賞です」という自己紹介と、「今は製薬会社で働いていますが、将来は子供たちに英語を教える仕事をしたいので、英語を勉強しています」という自己紹介と、どちらが応援したいと思うでしょうか。嘘をつく必要はないですが、これは英語の面接試験での自己紹介であることを忘れないようにしたいです。

4.インプット3、アウトプット7
記憶の定着はインプット3,アウトプット7である、というデータがあるようです。スピーキング対策のため、あらゆる文章を暗記するだけで必死になりがちですが、それでは「定着」していない。そのため、本番で「勉強したわりに言葉が出てこない」ことになります。アウトプットを大切に。

5.勉強したトピックは出ない!
人それぞれ得意なトピックがあって、「環境問題と芸術に関してはある程度話せるから、5つのトピックのうち、環境か芸術があればそれにしよう♪」と考えがちですが、多くの人が経験しているのは、「用意していたトピックは出なかった」。

そしてまさに英検側が狙っているのはここです。つまり、「どんなトピックでも対応できる英語力」。今は、「遺伝子組み換えについてあなたは賛成ですが、反対ですか?」、といった簡単なトピックは出ません(昔は出たかもしれませんが)。一癖も二癖もあるようなお題が出ますので、普段からあらゆる話題にたいして、「自分はこう思う。なぜなら…」と考える癖をつけておくと、自然とテスト対策になります。

6.試験では本来の自分が出る
ライティングがある程度、嘘を書けるのに対し、スピーキングでは「本当に自分が思っていることしか言えない」と考えておくほうが無難です。なぜなら、「本当はDisagreeなんだけど、話しやすいからAgreeで話そう」とスピーチをした場合、質疑応答で突っ込まれたときに答えが矛盾してしまう可能性があります。そうなると「一貫性がない」と見なされ、点数を伸ばすことができません。

7.話し続ける
スピーチの内容があまりよくなくても、そのあとの質疑応答で挽回できる可能性はあります。スピーチの点が低くなっても、インタラクションで点数を稼げればよいわけです。そのためには、まず沈黙せず話すことです。これはスピーキングテストなので、話さないことには面接官は点数をつけられません。

ただ日本人の場合、「とりあえず話し続けること」が苦手です。なぜなら、日本人は「相手の反応を見て話す」ことに慣れているからです。自分が話す、次に相手が相槌を打ってくれる。このようなコミュニケーション方法が普通だと多くの日本人は思っています。

ところが、英語圏では基本的には「一気に話す文化」。相手がどう思っていようが、とりあえず自分の意見を話し続けます。英検側は、おそらく「話し続けられるメンタリティを持っているか」も見ています。海外滞在経験があったり、外資系にいた方は、「とりあえず話し続ける図々しさ」を持っている場合が多いですが、そうでない方は、YouTubeで海外のトークショーなどを見て、「とうとうと話し続けるとはどういうことか?」を参考にするのもいいと思います。

8.面接官に感謝の気持ちを
試験は受験者より、実は面接官のほうが大変です。朝からずーっと座りっぱなしで、入れ替わり立ち替わり受験者がきます。それぞれの受験者のスピーチに合わせて質問を投げかけないといけません。

面接官は普段は別の仕事をしているはず。にもかかわらず、貴重な休みの日を受験者のために費やしています。社会人で採用の面接に関わったことがある人は分かると思いますが、通常業務があるにも関わらず、面接業務をするのは大変です。

「面接官のほうが大変なんだ」と考えられる人は、心にちょっと余裕が生まれます。それが面接試験に影響します。自分のことだけで必死な人は、質疑応答のとき、面接官が何を言っているか聞く余裕を持てなかったり、あせって勘違いしたりしてしまいます。

自分のためにも、ぜひ面接官への感謝の気持ちを…

英検2次対策、応援しています!




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