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大好きなことを仕事にするべきか?

「大好きでしょうがないことを仕事にするべきだ」という言葉をよく耳にします。自己啓発の本でもよく見るし、経済的に成功している実業家も、こう提唱している人は多いです。

しかし、私は仕事は必ずしも大好きである必要はないと思います。ただ、「少なくとも嫌いではない」ぐらいの気持ちは必要です。そして何より大事なことは、「その仕事を、他の人よりもよくできる」ことではないでしょうか。

こう考えるのは、以前出会った同僚の働きを見てからです。彼女はその仕事が大好きで、同じような業界で転職を繰り返していました。ところが、誰が見ても彼女は仕事ができるとは言い難い。仕事は遅く、出来上がってきたものはミスだらけ、ということがほとんど。しかしながら、彼女の仕事に対する情熱を考えると、同僚は注意しにくい。ここで上司が出てきてほしいのですが、それを指摘する勇気がなかったのです。

このとき、いくらその仕事が好きでも向いていなければ周りがしんどい、ということを実感しました。残念ながら、当人は全くそのことに気づいていないのです。彼女が同じ業界で転職を繰り返しているのも、なんとなく分かる気がしました。この業界は期限付きの契約社員であることが多く、契約期限がきたら切られてしまう。しかし、この人には長く働いてほしい!という会社は、期限の延長を申し出たのではないかと思うのです。それがなかったということは、会社としてはそれ以上ほしい人材ではなかったわけです。

なので、いくら好きでも向いていなければ、本人はよくても、周りが疲弊するわけで、ここは客観的に自分を見られる知性が必要です。

「それはつまり、適職かどうかということか?」とよく質問されますが、そこまで深く考える必要はないと思います。「同じ仕事をしている周りの人より、ちょっと自分はよくできているな」と思えるかどうか。「平均的」ではダメで、ちょっと上。だいぶ上だともちろんいいんですが(その場合は天職と言える)、少なくとも「ちょっと上」である必要があります。

「好きな仕事」に執着しすぎると、かえって自分の能力を客観的に見られなくなり、可能性を狭めてしまうかもしれません。それは非常にもったいないことなので、一度「好きなこと」をいったん脇において考えてみるのも、いいんじゃないかと思います。

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