【やまひと愛とことばと】第1回「私はあなたたちに救われてきたんだよ」
演劇企画や女優として活躍する山日涼夏さんによる不定期連載『やまひと愛とことばと』がスタート。「誰にも見つけられないあなたを愛する」をテーマとしたこのnoteに、優しくも繊細に言葉を綴ってくれることとなりました。その端々に宿る祈りが、あなたにも届きますように。
山日涼夏(やまひ りょうか)
演劇をつくってます。現在は演劇ユニット・靴づれで企画/俳優/制作をしてます。猫と散歩が好き。
Twitter:@tamanegi67 / Instagram:@yamahi67
転ばないように気をつけて生きてきたら転び方も転んだ後の立ち上がり方も忘れてしまった私たちへ。
他人からの見られ方ばかり意識していたらいつの間にか自分が消えてしまったと思っている私たちへ。
目指して歩いていたものが見えなくなって行き先がわからなくなってしまっている私たちへ。
これまでも、今も、これからも生きていく私たちへ。
「絶対に書かなくてはいけない訳じゃないのよ。何故なら世の中はそれを求めていない方が大多数だから。」
でも私は今、書いています。それは、戸田さんや飯田さんに「書いてください」と言ってもらったからだけじゃない。
私は私に言葉を書く。私は私たちに言葉を書く。私は今読んでいるあなたに書く。
悲しいを悲しいままにして、嬉しいを嬉しいままにして、そのままにして、書く。
これ読んでいるあなたは私のことをきっと知らないと思う。挨拶が遅くなってしまってごめんなさい。
はじめまして。私はやまひといいます。知っている方はお久しぶりです、生きてます、やまひです。この度「I'm a Lover, not a Fighter.」のnoteでエッセイを書かせていただくことになりました。演劇をつくってます。でも何者でもないです。何者でもないけれど、このnoteのテーマ「誰にも見つけられないあなたを愛する」という言葉の通り、私も戸田さんと飯田さんに愛をもらったひとりです。
これを読んでいるあなたは「Lover」のことを愛している人が多いのかな。私も「Lover」を愛しています。一緒ですね。でもそれぞれの愛し方だね。あなたの愛し方で愛している、私の愛し方で愛している「Lover」。だからこの場でこうして書けていること、載せてもらえることがうれしくてたまらないです。
私は言葉が苦手です。話すことも書くことも得意ではないです。
人と話すとき、話すモードにならないとどもってしまったり、息継ぎのタイミングがわからなくてつっかえたり、噛んだりもします。スピードについていけなくて、自分とは一致しない遠いものがあふれることもあります。
それに何より、自分の発したもので誰かを傷つけることが怖いです。できる限りしたくない。
傷つけるかもしれなくてビクビクして言い訳のような言葉で補いすぎて何を言いたいのか分からなくなったり、言葉を発することが遅くなったり、する。
でも逆に「伝えなきゃ!」と思って話しすぎて、やっちまった……ということもある。0か100すぎる。間はないのか。
出てしまった言葉は取り返せない。うまく話せなかったと、悲しくなる夜ばかりです。本当はうまく話す必要なんてないのにね。そして唐突に無理だ…と思って閉じこもりもする。
先週はコミュ力の鬼だったのに今週はとんでもなく人見知り or 無口になることも。
押せば人と話すマンに変身出来るボタンが自分の中であればいいのにと思う(私の場合はウーマン?)。あと、自分の発した言葉で、自分が起こした行動で相手がどれだけ傷つくのか予測できるメーターが見えたらなと思う。そうすれば相手を傷つける可能性が少しでも減るのでは?なんて思いつつ、それではいけないと果敢に挑む自分もいたりします。
でもこのメーターが出来たらと想像してしまうのは誰かを傷つけることそれ以上に自分が傷つくことを避けたいから。取り返しがつかないから。責任だから。
だからこうしてエッセイを書くことは私にとってはとても大きなこと。正直とても怖い。でも書きます。書きたいから書きます。それは戸田さんと飯田さんと、ふたりを通じて出会えた人たちに救われてきた私のような人たちと話をするために、です。
ふたりを通じて、私はたくさんのこの世の中を近しく捉えている人たち、一人ひとりに出会えました。そしてこれまで生きてきた中で私と関わってくれた人たちがいたから、ここにいると分かるようになりました。
私はあなたたちに救われてきたんだよ。ありがとう。
私は私が出会って、愛した人たちの愛があったからここにいます。
あなたがあなたのままでいることを望むのに、それを否定してくる世界で苦しんでいるあなたと私は話がしたい。
でも、今のご時世、直接会ったり話したりすることは難しいから、だからこういう形で、一方的だけど、求められていないとは思うけど届ける決心をしました。
大きな傘をさす人たち、さしてくれた人たちと一緒に私もその傘をさしたいです。
ズラズラと書いてきたけれどそんな大それた事ではなく、私が誰かに言ってほしいことを書く日もあれば、私の日記を書く日もあるかもしれない。自分の言葉でゆっくりゆっくり話をします。だからあなたもゆっくりゆっくりしてってね。
まずはここまで読んでくれてありがとう。見つけてくれてありがとう。こういう風に、誰かに読んでもらうために書くことは初めてで少しドキドキしています。うまく書けるだろうかと。
でもうまく書く必要はないですね。そのまま、このまま。そうやって書いていくから。
だからこれからよろしくね。
編集:石澤萌/撮影:飯田エリカ
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