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復讐に選んだ方法とは【あいにくあんたのためじゃない】柚木麻子著

「スカッとする」
この本に対してこんな感想をよく聞きますが、
私は必ずしもそう思いませんでした。

「いい話だなぁ」と感動する話、
謎を残したままスッキリしない話、
「こいつら浅ましいな」と滑稽さを感じた話など
様々でした。

その中でも
「みんなで力を合わせれば、大きなことも実現できる」と仲間の大切さを感じた話があります。
シェアします。


・めんや評論家おことわり

一番最初の話です。
かつてあるラーメン評論家に、
勝手に写真を撮られて投稿し、炎上。
人生を狂わされた者たちが団結して
ラーメン評論家に復讐する話です。

その方法が壮大でした。

「業界で誰も無視できないほど、素晴らしいお店にしよう」
そう、目指しました。

このラーメン屋の特徴は、
・子連れOK
・バリアフリー
・こだわりのスープ
・外国人にも対応可能

誰でも入れるお店にしました。

この話を聞いて「女性がラーメン屋さんに入るのは、そんなに敷居が高いのか」と気づきました。

このお店を作り上げるために
一人一人できることをしました。
その結果、ラーメン評論家は爪弾きにされました。
結果、彼の仕事はなくなりました。

それにしても店内にいる人の写真を、
勝手に撮って晒し者にする
不届き者がいるのかと驚き呆れました。
2010年前後はまかり通っていたのでしょうか。

今こんなことをしたら
投稿した人が炎上するでしょうに。

ラーメン評論家に対して、自業自得としか言えません。

・パティオ8

コロナ禍真っ盛りの時の話です。
子どもたちは学校に行けず
外出制限がかかっています。

アパートは珍しく中庭があります。
ここの入居条件は、
「子どもたちを遊ばせても気にしない」です。

それなのに、あるテレワークをしている住民が
「海外と取引をしているから静かにしてほしい。中庭を使わないでくれ」というわがままから始まります。
他の住民から大ひんしゅくを買います。

このアパートは全部で6室あります。
そのうち4室の一家に子どもがいて、
1室は同性カップルが暮らしていました。

エンジニア、翻訳家、家電量販店勤務、
こども食堂経営、元スナック勤務…。
他の住民が力を合わせて、
彼の取引相手を奪うことを思いつきました。

この住民は、海外との取引の時に
「子どもの声がうるさくてすみません」と
謝り続けたそうです。
先方は生まれたばかりの赤ちゃんがいる中テレワークで仕事をしていました。
相手に気を使われるほど、自分も気を使うことに。

気を使ったつもりが、
皮肉にも相手に気を使わせる結果になりました。

それにしても、「取引相手を奪おう」という発想は
なかなか思いつかないでしょう。
壮大な復讐劇に驚かされました。

・感想

復讐の方法が手が込んでいると驚きました。
どちらの話も「自分たちが選ばれるようにより良くなろう」と力を合わせていたところが印象に残りました。

一人ではできないことも、仲間と力を合わせたらできるものかと感じました。

「選ばれるためにどうしたらいいのか」
復讐劇とはいえ、工夫を感じました。

以上、ちえでした。
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