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人間の本質は変わらない【動物会議】ケストナー著

「歴史から何も学んでいないのか」

そう思わずにいられませんでした。
こちらの本が発売されたのは
第2次世界大戦が終わってから4年後の話。

争いばかり続けている人間に対して
「子どもたちがかわいそう」と
動物たちが立ち上がりました。

メロディアスライブラリー2022.12.4放送日。



・あらすじ

ライオンのアロイス、
象のオスカール、
キリンのレオポルド3頭が
北アフリカのチャド湖で会います。

「人間は戦争、革命、ストライキなどやってる。巻き込まれる子供たちが気の毒だ」
3頭はこんな話をしてました。

それぞれの家庭で子どもたちに読み聞かせ。
「戦後4年経っても…」と新聞の内容を読んだら、
それぞれの奥さんに
「子どもたちにこんなことを話さないでください」と怒られてしまいます。

1ヶ月後に動物ビルで会議を開くことにしました。
人間たちの会議と同じ日です。
世界中から集まりました。

「書類があるからいけないんだ」と
ネズミたちが紙くずにしてしまったり、
「制服があるからいけないんだ」と
シミムシが食べてしまったりしました。
それでも効果がありません。

会議の4日目に人間たちにとって
「人生の最大の恐怖の日」が訪れます。
子どもたちが消えてしまいました。
会議に出ているお役人たちの子どもや孫も
例外ではありません。
(子どもたちに危害を加えたわけではありません)

人間たちは最終的に条約に署名をしました。
その内容は以下の通り。

1.国境はもはや存在ない。
2.軍隊、鉄砲、爆弾は全てなくす。
3.警察は弓と矢で武装。科学と技術が平和に使えるように監視。
4.役所は人間のためにあるのであって逆ではない。
5.今後一番良い待遇を受ける役人は教育者とする。子供を本当の人間に教育する任務は一番重い任務である。真の教育の目的は悪いことをだらだらと続ける心を許さないということでなければいけない。

動物たちはこの条約締結を勝ち取りました。

・一番高い地位にいるのは教育者

条約の内容で役人で一番偉いのは教育者。
本当に実現してほしいと思います。

この論理で行けば、学校の先生や保育士は高い地位を得ているはずです。
次世代の人間を育てるという大きな任務を負っているので、大げさとは思いません。

そのくらいしたら
「予算がないので、子ども関連の支援に所得制限をつけます」なんてケチなことは言わないでしょう。

保育士や学校の教師の配置基準も、
国がケチっているから
現場に無理が生じてるように見えます。

今年も出生数が80万人切ると大騒ぎ。
少子化になってしまったら、
国としても困ることがたくさんあるはずなのに、
政策を見たら子どもの方を
全く見ていないとがっかりします。

本当に少子化で困っている国なのかと
疑わざるを得ません。
それとは対照的に防衛費を
増税してでも増やそうとしています。

確かに周辺諸国のことを考えたら、
全くの丸腰でいいとは言いません。
しかし、食料品、日用品の値上げで国民生活に余裕がなくなっています。賃上げは追いついていません。更に数年後に一部増税が決まってます。

そんな中で国民のためになるのかと考えると、
疑問を感じずにいられません。
しばらくの間、選挙がないため、
首相官邸の意見フォームに出すしかなさそうです。

・感想

一瞬、今の時代に書かれたかと思いました。
発売されたのはなんと70年前。

しろくまたちが乗ってる氷が
到着前に溶けてしまうというエピソードに
地球温暖化を予感させてました。
この時代に生きていた人が、ここまで今の時代を反映させていたのに驚き。

著者のゲストナーはドイツ出身。
ナチス体制下で
出版物が発売禁止になったことがあります。
ナチス体制に対して礼讃する内容を
書くように迫られますが、
本人は決してしませんでした。

言論が自由にできない中の出版活動は
どれだけ不自由だったか想像に難くありません。

動物たちのかわいいイラストで癒されますが、
内容は今の社会情勢を考えさせられる内容です。
時代を超えて読まれている理由がよくわかりました。

「これからどんな世界を子どもたちに残したいか」
そう考えさせられました。

以上、ちえでした。
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