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命がけの図書係【アウシュヴィッツの図書係】

そもそも、収容所の中に
学校があったことに驚かされました。

以前読んだ『エヴァの震える朝』では
選別で15歳未満の子どもは
ガス室で殺されると描写があったからです。

15才のディタ(エディタ・アドレロヴァ)がいた
31号棟では年下の子供たちがいました。

どうして収容所内に学校があったのか。
リーダー的存在であったフレディ・ヒルシュが
ナチスに対して「子供たちを預ける場所があれば、親たちは働ける」と説得したからです。

こちらは、
メロディアスライブラリー2021.01.24放送。

・言葉の通り図書係は命がけ

図書係をやったのはディタ。
しかし本は見つかったらマズイものです。

歴史上、時の権力者は
まず最初に本を徹底して迫害します。

モンテレッジォの小さな村の旅する本屋の物語でも
ファシスト政権時代のエピソードがありました。
ナチス政権でも例外ではありません。

8冊の本がありました。
見つかったら命がないため、
ディタは洋服に本が入るポケットを
縫い付けてもらい、隠してました。

そこで疑問が生まれます。
「本をどうやって入手したのか」と。

・没収された持ち物から調達

アウシュヴィッツ内に、「カナダ」という
収容されたユダヤ人から没収した持ち物、財産を
集められている場所があります。

カナダに本があったため
そこにいた人と
食料を物々交換して入手したようです。
世界史や小説など幅広いジャンルの本でした。

・何度も本に励まされる

途中で学校が閉鎖されたり、
一緒に過ごした仲間や先生たちが
ガス室で殺されたり、
死を待つだけの収容所に連れて行かれたり、
何度も苦境に立たされます。

その度に小説に出てくる登場人物の言葉や、
本の内容に励まされていました。

・感想

食べることにすら事欠く状態で、
本を読んだり、勉強したりする意味って
何だろうかと考えさせられました。

確か、ユダヤ人の子どもたちが
学校に通えなくなった後も
ユダヤ人の大人たちが協力して
子どもたちに勉強を教えていたのが印象的でした。

アンネ・フランクの伝記でも、
『エヴァの震える朝』でも、
子どもたちが勉強するシーンがありました。
こんな状態でも、子どもたちに学びを提供したいと
大人たちが動いていることに気づきました。

読書はものを考えるきっかけになるので、
独裁政権にとっては都合が悪いでしょう。
ましてや、この世から消したい人間が
ものを考えるようになったら、
どれだけ都合が悪いか、想像しました。

言葉にできないほどの絶望を
味わい続けたディタは、
何度も本の内容に助けられました。

手垢のついた言葉になるけど、
「人は食べ物だけでは生きていけない」と
改めて感じました。

本を自由に読める世界に生きていることに
感謝しました。

以上、ちえでした。
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