見出し画像

優しい世界【それは誠】

「みんな優しいなぁ」
これが読み終えた直後の感想です。


・なぜかついてくることに

主人公の佐田誠は、叔父さんに会うために
日野に行くのを希望します。
会いたいけど、家庭の事情で会えなくなったからです。

修学旅行の自由行動の時間帯に行くことになりましたが、なぜか同じ班の男子3人もついてきました。
班は合計7人。残りの3人は女子です。

事前に東京の自由行動の計画表は学校に提出しています。
計画表上では、葛西臨海水族園やうらわ美術館へ行くことになっています。
女子3人と男子4人で別行動になりました。

「時間通り帰れるかな」
「先生にバレないかな」
見てる方がドキドキハラハラします。

特に副班長の蔵並は、特待生です。
誠の叔父に会いに行ったことが発覚すれば、
特待生を取り消されるかもしれません。
その後彼は、更にリスクを負うことになりました。

・笑顔の写真

誠以外の残り6人で
「誠の笑顔の写真を一番多く取った人の勝ち」という謎のゲームが行われていました。

実際に笑顔の写真の描写があったのは、
松と小川楓の2人です。

そもそも、この班が決まった経緯が誠が欠席の日に班が決められたのもあります。
打ち解けていない中、計画を話し合いました。

解釈は様々だと思いますが、誠とみんなが打ち解けるために始めたのではないかと思いました。
相手を笑顔にさせようと思ったら、楽しませないといけません。
楽しめれば、お互いに打ち解けられます。

作中では誰が始めたかについては不明。

・懐かしい気持ちになった

実は私も、高校生の修学旅行で、
東京を見学がありました。
住んでいたのは九州。私は何回か東京に行ったことがありましたが、他のメンバーは初めてでした。

私の班は、女子4人。
私以外の他の3人は、
東京に行ったことがありませんでした。

「どこに行きたい?」とみんなに聞いたら
テレビ局の見学を希望しました。
「芸能人に会えるかも」と期待があったからです。

今冷静に考えたら、人気の芸能人が、
一般人の目に付く場所で
出入りするわけがないと気づきますが。

行けそうな場所を調べて見て、お台場に決定。
渋谷の109も行きましたが、他のメンバーに一番受けが良かったのはお台場でした。

残念ながら芸能人に会うことはできませんでしたが、実際に撮影で使われているスタジオのセットが展示されてる場所で写真撮影をしました。

「実際にこれ使われてるんだ、すごい!」と
メンバー全員ではしゃいでました。

かれこれ20年近く前の話ですが、
今でも思い出に残ってます。

彼らの修学旅行の思い出も、
忘れられないものになったと思いました。

・感想

この著者の本を読むのは初めてでした。
主人公の誠が、修学旅行のことを振り返りながら日記に書いているような感じです。

修学旅行の班を決める時に
欠席してしまった誠に対して、
他の班員は打ち解けられるように
工夫してるように見えました。

元は、あまり接点のない人たちの集まりです。
それでも少しずつ打ち解けている様子が見えました。

「自分が思っているものより、外の世界の人たちは優しいかも?」と思ったくらいです。

芥川賞候補になってましたが、一部の人の間では「話は面白いが純文学っぽくない」と指摘されていました。

あまり純文学などジャンルにこだわっていないので、気にせずに読みました。
個人的には読みやすい文体と感じました。

外の世界の人がこんなに優しいのならば、
出ていく勇気が出そうと思いました。

以上、ちえでした。
プロフィールはこちらです。
他のSNSはこちらです。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?