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あの時が最後になった【天国への電話】

「おばあちゃん、寂しくなかった?」
去年の9月になくなった
祖母のことを思い出しました。
もし電話をかけたら、第一声はこれです。

祖母は長年入院していたので、
長男が生まれて数ヶ月の時に会えたのが
最後になりました。
コロナ前から、小さい子どもの入室を制限していたので、長男も次男も会わせられませんでした。
当時母と一緒に面会しました。

更に、コロナ禍になってからは、
小さな子どもだけでなく、
祖父やおじさんたちも祖母に会えなくなりました。

亡くなった後も、誰も祖母に会えず。
火葬された後お骨に入った状態で対面。
しばらく祖母が亡くなったことを実感できませんでした。

コロナ対策は仕方ない部分はあるけど、
「大切な人へ別れを伝える機会まで奪われた」と
感じずにいられませんでした。
私以外にも同じような経験をした人はいるでしょう。

メロディアスライブラリー2023.3.5放送。


・さすがに返ってこなかった

『天国への電話』というくらいなので、
死んだ人と会話ができるのかと思いきや、
さすがに返事が返ってくるわけではなかったと気づきました。

なかには「夢の中に出てきた」と言う人も。

「不思議な体験だなぁ」と感じました。

・ガス抜きの役割を果たす

電話が設置されているベルガーディアは
岩手県大槌町のすぐ隣です。
訪れる人の多くは、
場所柄もあるのか、3/11の東日本大震災で
大切な人を失った人たちです。

主人公のゆいも、自分の母親と娘を失いました。

他には病気や事故、
中には戦争で家族をなくした人もいました。

風の電話に向かって話すことで、
悲しい気持ちをガス抜きする効果があると感じました。

「人は生きながら生まれ変わることができる。
死者の声に導かれて」

この本の帯に掲載された小川洋子さんの言葉です。

死者との対話を通して、
再び自分の人生を歩みだしているように見えました。

・感想

「こんな本があるんだ」と
ラジオ放送で知りました。

作者は日本在住のイタリア人。
外国人の方が書いたと思えないくらい
自然に感じました。

「メロディアスライブラリー、なぜこの本?」と思ったら、3/11が近づいていたことに気づきました。
こちらの記事を書いてる今、3/11当日です。

未だに家族が見つからない人、
心の整理ができてない人、
避難生活を余儀なくされている人、
生活を立て直せずにいる人、
困難さを抱えている人たちがたくさんいます。

「それでも残された人は、生きていかなきゃいけないんだ」と改めて実感しました。
それでも辛いものは辛い…。

だからと言って、
話す相手は誰でもいいわけではありません。
風の電話相手なら、気を使わず話せるので
立ち直るきっかけになりそうと思いました。

以上、ちえでした。
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