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無茶苦茶だなぁ【置土産】正岡容著

「師匠、自由過ぎるでしょ」

主人公が前日に、
師匠と会う約束をして家に訪ねたら
「蝦夷へ旅立ちました」と
使いの人に言われたシーンで思いました。

2022.10.2のメロディアスライブラリー放送。

ラジオでタイトルを聞いたとき、
「正岡いるる?」と
漢字が脳内で変換できなかったくらいです。
寄席研究家で、芸人小説を残しています。



・どんな話?

主人公の一立斎万之助は、
両親を立て続けに失くし、
別の師匠のところに行ったものの、
その方を亡くなりになりました。

哀れに思った師匠の桃川如燕は、
「面倒を見てやる」と万之助に言います。

先のエピソードにもありますが、如燕は自由人。
突然旅に出ることも珍しくありません。
しかも留守中に税金の取り立てが来たため、
万之助が建て替えることにしました。

このエピソードを聞いただけでも
「随分自由だなぁ」と驚きました。

如燕は万之助に「鍋島の猫を伝授する」と約束。
「鍋島の猫」とは、
如燕にしかできない難しい演目です。

約束したものの、
来る日も来る日もなかなか教えてもらえません。
師匠の舞台の日があったので
「聞いて覚えよう」と目論む万之助。

それを見透かしたかのように、
猫を犬の話に変えてしまう如燕。
「鍋島の猫は一体いつ教えてもらえるんだろうか」

自由気ままな如燕も、
ちゃんと約束を守ります。

師匠は怪我をしたため入院をします。
その病室で、やっと教えてもらいました。
教えてもらう前に言われたのはこちらのセリフ。

芸って奴はな、所詮一人々々の魂の中に別々に活きてかがやくものなんだ。お前はお前でなけりゃいけねえ。忘れても俺の芸の皮なんぞ真似しなさんな。

百年文庫 秋  p87

如燕しかできないと言われていた
「鍋島の猫」てすが、
理由は登場人物が化け猫ばかり。
猫一匹一匹を表現するのが難しい上に、
「鍋島様へ祟りに行こう」これだけの話。

その後、如燕も亡くなりました。
その後、万之助は頭角を現し、真打に昇進。
実力者として知られることとなりました。

・感想

落語や講談について、
ほとんど知識ありませんでした。

落語については昔からある文化で、
見てる人を笑わせる仕事だと思ってたぐらいです。
お笑い芸人がコントや漫才をしてるイメージ。

しかし、聞いてる人を飽きさせないために
工夫が必要です。
演目も昔の物になると
歴史的背景も理解しないといけません。

「こんな世界があるのか」と勉強になりました。

以上、ちえでした。
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