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支え合う、フレキシブルな「かぞく」。『ふたりぱぱ』みっつんさんに聞く「かぞく」のこれから。(前編)

こんにちは!Love Makes Family編集部の光です。

既存のかぞくの形に囚われない、新たな生き方のヒントを発信する次世代WEBマガジン『Love Makes Family』、第7回目の連載です。
第7回目となる今回は、スウェーデン人の夫と共にスウェーデンで子育てをしているゲイファザー、みっつんさんにお話を伺いました!

みっつんさんは、YouTubeチャンネル『ふたりぱぱ』を運営されているYouTuberでもあり、チャンネル登録者数はなんと11万人(2021年3月26日時点)!
YouTubeチャンネルでは、パートナーであるリカさんとの子育ての様子や、スウェーデンでの生活、また息子である「息子くん」を授かったサロガシー(代理母出産)や、「息子くん」のサロゲートマザー(代理母)との交流についてなど、幅広く発信されています。
大人気チャンネルとなった『ふたりぱぱ』の運営を通じ、みっつんさんの中で、コミュニティや「かぞく」のあり方について、新たな発見や考えの変化があったそうです。

「#かぞくってなんだろう」をキーワードにお送りしている本シリーズでは、そんなみっつんさんをゲストに迎え、前編・後編の2回に分けて「かぞく」をテーマに様々な角度からお話を伺いました。

【みっつんさん PROFILE】
1980年名古屋市生まれ。スウェーデン・ルレオ在住。
2008年に東京でスウェーデン人の現在の夫と出会い、’11年にスウェーデンの法律の下、同性結婚。同年、東京からロンドンへ移住。2016年サロガシー(代理母出産)により男児を授かったのを機に、夫の出身地であるルレオに移住。2015年開設したブログ「ふたりぱぱ」が話題になり2019年に書籍化。2020年春から本格的に始めたYouTubeチャンネル「ふたりぱぱ」も大きな反響を呼び、チャンネル登録者数は約10万人(2021年2月現在)。LGBTQや育児というテーマを軸に、スウェーデンの文化と共に発信を続けている。

■詳しくはこちら
Blog「ふたりぱぱ」: futaripapa.com
YouTube「ふたりぱぱ」: https://www.youtube.com/channel/UCU69jxPesoWw5I4WmOMBx-Q?view_as=subscriber
facebook: https://www.facebook.com/futaripapa/
Twitter: https://twitter.com/MittsunLondon
Instagram: https://www.instagram.com/mittsuntyoldnlla/
著書 「ふたりぱぱ:ゲイカップル、代理母出産(サロガシー)の旅に出る」
https://www.amazon.co.jp/dp/4768458629/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_U_NsO1Eb0JGY93F

■大人気YouTubeチャンネル『ふたりぱぱ』を運営!


―『ふたりぱぱ』は、ゲイファザーの存在や、サロガシーが日本で広く認知されるきっかけとなりましたね。YouTubeを始めた理由を教えてください。

みっつん:
自分は元々ブログを運営していて、ブログでサロガシーや子育てについて発信していたんですけれど、若い人がよく見ているプラットフォームだからという理由で、年下の友達にYouTubeチャンネルの開設を勧められたんです。コロナウイルスも流行り始めて、当時仕事のシフトが減っていたこともあって、ちょうど時間的な余裕もあって。新たな発信方法の1つとして、若い友達にアドバイスをもらいながら始めてみたんですよね。

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―今や『ふたりぱぱ』は、チャンネル登録者数11万人(2021年3月26日時点)の大人気チャンネルに。YouTubeチャンネルを開設してみて意外だったことはありましたか?

みっつん:
サロガシーはコントラバーシャル※な話題だから、始める前は、ネガティブなコメントがたくさんつくのではと心配していました。でも、いざ始めてみたら、動画へのコメントにしても、ライブ配信でのリアルタイムのコメントにしても、優しくて温かいコメントばかりで。視聴者からも、「『ふたりぱぱ』のコメント欄は、嫌な気持ちがしないね」とよく言ってもらっています。
YouTubeは発信者と視聴者が一緒に作っていくプラットフォームで、まさにコミュニティです。例えば、最近『ふたりぱぱ』を見始めてくれた視聴者が、「どうやって子どもができたの?」といった、動画で繰り返し話していることに関するコメントをすると、昔から見てくれている視聴者が、すかさず自分の代わりに答えてくれたりする。
YouTubeは新しいコミュニケーションの形だと思っているし、コミュニケーションが進んでいく中で、『ふたりぱぱ』が一段階上のコミュニティになってきたのは、嬉しい誤算だと思っています。

※コントラバーシャル:物議を醸す

■支え合って、助け合う。フレキシブルな「かぞく」。

―新しいコミュニティの形ですね。まさにLove Makes Familyでは「#かぞくってなんだろう」をテーマに、コミュニティのひとつである「かぞく」を問い直しています。みっつんさんが思う「かぞく」って何ですか?

みっつん:
強く意識したことはないけど、色々な国で色々な人との出会いや別れを経験していく中で、かぞくはフレキシブルでいいんだと感じるようになりました。英語圏では仲間やコミュニティをファミリーと呼ぶし、英語圏での生活で受けた影響も大きいです。
もちろん、自分のコアなかぞくは夫と子どもの3人だけど、夫の家族やその友達もかぞくと呼べると思います。かつて、ゲイだから結婚もパートナーもできないかもしれないと感じて不安だった時期があったけれど、その頃は周囲の友達をかぞくと見なしていました。
現在では、LGBTQに関する発信をする中で出会った人や、仕事で出会った人もかぞくです。『ふたりぱぱ』の視聴者の中に、息子くんを自分の孫のように見てくれている60代の女性がいるんですが、その人もかぞくと呼べるかもしれない。自分にとってかぞくはフレキシブルなものです。

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―みっつんさんは、以前、ブログ記事で「かぞく」の定義について取り上げた際に、「かぞく」を「テーブルのあるところ、かぞくあり」という言葉で表現されていましたよね。

みっつん:
この言葉は2012年の夏、ロンドンでアートワークショップに参加した時に、他の受講者と一緒に考えついたものです。この言葉には、かぞくの良い側面だけではなくて、負の側面も含まれています。参加者の中に障がいがあることを理由に家族から見放された人がいて、その人にとっては、生まれ育った家族より助けてくれるヘルパーさんの方がかぞくだったんです。
そういう様々な人の意見や体験談に触れる中で、辛い時に支え合って、助け合った経験の積み重ねこそが、かぞくに繋がっていくものだと思いました。

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■みっつんさんがこれからやってみたいこと


―2019年8月には、サロガシーに関するエピソードを綴った書籍、「ゲイカップル、代理母出産(サロガシー)の旅に出る」を出版されました。どのような反響がありましたか?

みっつん:
たくさんの好意的なコメントをもらいました。
YouTubeでの発信を通じて、たくさんの人が自分たちのことを知ってくれたことで、YouTubeチャンネルを入り口にして、本を手に取ってくれる人がたくさんいて。
学校の図書室や保健室に配架されていることもあるみたいで、『ふたりぱぱ』のYouTubeチャンネルを見てくれている中学生が、学校の保健室に本が置かれていることに気づいて保健の先生に聞いてみたら、実はその保健の先生も『ふたりぱぱ』の視聴者だったと報告してくれました。その先生が生徒に読ませるために、わざわざ選書してくれたんだそうです。
その他にも、自分だけではなく色々な人に読んでもらいたいとの思いで、自分の住む地域の図書館に、本を置いてくれるようにリクエストしてくれた人もいました。
本の出版を通じて様々な相乗効果が生まれて、すごく嬉しかったです。
 
―YouTubeで、ブログで、書籍で、たくさんの相乗効果を生み出しているみっつんさん。これからもっとやってみたいことはありますか?

みっつん:
自分は、コミュニティは絶えず形が変わっていくものだと思っているので、その時々に応じて、コミュニティにとって役立つことを提供していきたいと思っています。
自分は好奇心を満たしたくてYouTubeを見るから、発信する側としても同じことを意識しています。見ている人が、楽しんで新しいことを知られる場所を作っていきたいです!

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発信者として、ご自身も楽しみながらコミュニティ作りをされているみっつんさん。後半では、書籍のテーマともなったサロガシーや、スウェーデンでの「息子くん」の子育て、また、子育てを考える日本のLGBTQに対するメッセージなど、より深くお話を伺いします。更新をお楽しみに!


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