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「ラ・ラ・ランド」監督:デイミアン・チャゼル/2017

3月28日、いよいよ米アカデミー賞が開催されますね〜。「ドライブ・マイ・カー」のノミネートもあり、今からドキドキ!!

そんなわけで、今回のレビューはアカデミー賞でも6部門に輝いた『ラ・ラ・ランド』!


〜 こんなお話 〜

夢追う人々が集うロサンゼルス。映画スタジオのカフェで働くミアは、女優を目指してオーディションに挑戦する日々を送る。一方、場末のバーでピアノを弾きながら、自分の店でジャズを心ゆくまで演奏したいという夢を抱くセブ。ひょんなことで出会った2人は思わぬ再会を果たし、互いを励まし合いながら夢に向かって進んでいこうとする。

* * * *

<レビュー>

ミュージカル映画ってどうも肌に合わないので、そんなには見ないんですが、『ラ・ラ・ランド』は冒頭の渋滞ダンスから、引き込まれました。

しかも、これワンショットらしい。すごっ!

さらに、ミアと友達によるヒラヒラ衣装のダンス、映画ポスターにも使われている2人のタップダンスなど、とにかく色鮮やかで、楽しくて、胸躍る!

音楽のセンスもいいんですよねぇ。
珍しくサントラ欲しくなっちゃいました。

ちなみに、ミュージカル映画は「ほぼ全編、歌」ってのも多い中、これは結構普通に喋ってます。 特にミアはほとんど歌ってないような・・・w(自分のことに精一杯で彼氏のこと実はあんま考えてない??)

なので、ミュージカル映画はちょっと・・・なんて人も楽しめるかと。


そして、歌やダンスだけでなく、2人の夢、そして恋の行方を追うストーリーも気になるところ。

この脚本は『今とはまったく違う、もっと希望が持てた6年前に書いた』と、監督本人が言っていたように、夢と希望とラブで満ち満ちた主人公2人の姿は、もうすっかり枯れた私にとって眩しすぎる!!あまりの眩しさに自分が悲しくなりましたw

エピローグはとっても切ないですが、それまでのストーリーがピースとなり、ラストで見事にハマッていく様は圧巻です!

オマージュだらけで、確かに「どこかで見たことがあるような…」が多い作品ではありますが、その“使い方”こそテクニックの妙。

デミアン・チャゼル監督、これが3作目とか・・・末恐ろしすぎる。

ちなみに、セブ(ライアン・ゴズリング演じる)が自宅で繰り返し練習する曲はセロニアス・モンクが弾く「ジャパニーズ・フォーク・ソング」。なんと、これ滝廉太郎の荒城の月だそうです。クレジットにもちゃんとTakiRentaroの名前があり、ジャズに疎い私は「滝廉太郎?!どこにかかってた?!」と驚いてしまいました。

↓荒城の月、ジャズだとおしゃれ過ぎるw


あと、これはあくまでも私感ですが…、

オーディションを受けた青春番組に対してミアが「“TheOCもどき”は言い過ぎたわ。『理由なき反抗』みたいな作品よ」といった主旨の発言をしたり、振り付け担当が、人気ドラマ「glee/グリー」と同じだったり、女子4人がいい男探してつるんでたり…昔の映画をポップなアメリカンドラマ的感覚で消化している“軽やかさ”が作品全体に漂っていたように思います。

またオマージュが多いとはいえ、『理由なき反抗』のフィルムが途中で燃えてしまったり、ミアの部屋にデカデカと張られたバーグマンの壁紙が剥がされたり。古き良き映画を視覚的に打ち破らせるところも、どこか作為的です。

まぁ、これは“女優になるためにはオーディションを受けるのが当たり前”と思っていたミア、“正統派ジャズを守るため一切の妥協はしない”と偏屈だったセバスチャン、2人がそうした“とらわれ”から自由になり夢への切符を掴むストーリーとリンクさせているだけかもしれませんが・・・。

過去の作品をいい意味で弄び、その伝統性とアメリカンドラマのポップな感性とが戯れることで起こる、新たな化学反応。

人気作の復活やリブートに疲れた当時のアメリカ人にとって『ラ・ラ・ランド』は新鮮に映ったのかもしれませんね。

↓本作との関連性が指摘されている作品については、他のサイトに譲ります。鑑賞前に予習してもいいかもです。



ラ・ラ・ランド
2017/米/ギャガ/ポニーキャニオン
<スタッフ>
監督・脚本:デイミアン・チャゼル
製作:フレッド・バーガー、ジョーダン・ホロウィッツ、ゲイリー・ギルバート、マーク・プラット
製作総指揮:モリー・スミス、トレント・ラッキンビル、サッド・ラッキンビル
撮影:リヌス・サンドグレン
美術:デビッド・ワスコ
衣装:メアリー・ゾフレス
編集:トム・クロス
音楽:ジャスティン・ハーウィッツ

<キャスト>
ライアン・ゴズリング
エマ・ストーン
キャリー・ヘルナンデス
ジェシカ・ローゼンバーグ
J・K・シモンズ

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