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読書メモ:ひらめきを生み出すカオスの法則

基本情報

『ひらめきを生み出すカオスの法則』
ティム・ハ―フォード 著
児島修 訳
2017年12月18日発行

エッセイや政治社会系の本を読むことが多いため、たまには別系の本を読もうと思い手に取った一冊。
イギリス人経済学者であるティム・ハ―フォードさんの原題「Messy:THE POWER OF DISORDER TO TORANSFORM OUR LIVES」を翻訳した本書。
ティムさんは、以下を主張しており具体的な事例をあげて解説されている。

私だち現代人は、必要以上の整然さを求めるあまり、適度な無秩序を受け入れることがもたらすメリットを取り逃しているのではないか」

「ひらめきを生み出すカオスの法則」より

構成

第1章 アクシデントを意図的に起こす
第2章 新たな出会いをつくり、偶然を生み出す
第3章 整理整頓しない
第4章 アドリブを取り入れる
第5章 混沌を戦術にする
第6章 目標設定をやめる
第7章 コンピューターに支配されない
第8章 多様性を取り入れる
第9章 生活に乱雑さを取り入れる

感想

具体的な事例をあげて、整然さを求めすぎた結果のデメリットや適度な無秩序を受け入れ場合のメリットが説明されており、非常に勉強になり、知識が深まった一冊であった。

聞いたことのあるもの(書類の整理方法)や感覚的に感じていたもの(演説でアドリブを入れる)もあったが、整然としすぎるのもデメリットがあることがよくわかった。

例えば、第7章では、飛行機の自動運転システムに操縦士達が頼りすぎてすぎてしまい、非常時に対応できずに最悪の墜落事故を起こしてしまったことが書かれている。
第8章では、「割れた窓ガラス理論(※)」を取り上げ、必ずしもこの理論が正しいとは限らないと反論している。私自身この理論を聞いたことがあり、治安維持には有効な理論だと思っていた。
そもそも理論の根拠が弱く、犯罪発生率が下がったのには他の要因も多分に大きいことが示されている。
そして、町が荒廃しているかの調査を別の心理学者が実験した際に見た目よりもそこに住む人々の貧しさで判断していることがわかった。

(※)軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで、凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする環境犯罪上の理論。アメリカの犯罪学者ジョージ・ケリングが考案した。

少し話はずれるが、割れた窓ガラス理論は、正しいと思っており、このように反論があることなど恥ずかしながら全く知らなかった。(おそらくテレビで取り上げていたのを見ていた)
今回のように本を読んで反論があることや最新の状況を知れることは読書の醍醐味の一つだと改めて感じた。

また、ここ5年ぐらいで思うが、「多様性を取り入れること」の重要さを感じる。
マンションに住んでおり、毎年理事会のメンバーが立候補もしくは抽選で選ばれるが、今年は全員40代以上の男性で構成されているを見かけて不安になってしまった。
適正な方法で選ばれているのでどうすることもできないが、似たような属性で集まるとスピーディに進んでいくが、それゆえに抜け落ちてしまう視点があると思う。
妻と話しているだけでも異なる視点を感じることがあるので、少なくとも女性の視点・意見は極力入れた方がよいだろうと思う。

私自身は、整然と進めたい方で混乱を避けたい方なため、本書の第8章の「多様性を取り入れる」や第9章の「生活に乱雑さを取り入れる」等参考に改めていきたいと思った一冊だった。

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