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読書メモ:お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで

基本情報

『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』
ラリー遠田
2021年4月30日発行

小さい頃からお笑い・バラエティ番組が大好きで、関連するような本も大好きで久々に評論っぽい本を読みたいと思い手に取った一冊。
戦後のお笑いの歴史を世代で区切り、その世代を代表する芸人を通して解説していく本書
世代の区切り方は、後半の第五、第六世代は若干気になる点はあるものの大きな違和感はないが、世代を代表する芸人については、それぞれ選んだ理由が述べられている

構成

はじめに
お笑い芸人の世代区分年表
第1章 第一世代 いかりや長介と欽ちゃんが「テレビ芸」を作った
第2章 第二世代 「団塊世代」のたけし、「シラケ世代」のさんま
第3章 第三世代 「新人類」としてのとんねるず、ダウンタウン
第4章 第四世代・第五世代 スター不在の群雄割拠時代
第5章 第六世代 テレビへの憧れと挫折
第6章 第七世代 デジタルネイティブ世代が新時代を作る
おわりに

感想

芸人が書いた本は、抵抗はないのだが、お笑いを評論する本は少し抵抗感があり、本書も抵抗はあった。例えば、考え方の都合で、世代を代表する芸人としてタモリさん、紳助さん、ウンナンさんは、あまり触れられていないが、それぞれテレビバラエティに大きな影響を与えていると思うので、世代論んだとしても含めるべきではないかと思う。
(所さんを含めるかはお笑い論としては議論があると思うが)

また、第六世代で南海キャンディーズの山ちゃんが世代の中心として取り上げられているが、山ちゃんに触れるならオードリーさんもしっかりと論じるべきだろうと思うし、最近の活躍からすれば久々に「天下を取った」とも言われる有吉さんも触れるべきだと思う。

私自身は、現在40歳で平成初期ぐらいからテレビの記憶があり、たけしさんの「元気が出るテレビ」、とんねるずさんの「みなさんのおかげです」、そして、中心はナイナイさんの「めちゃイケ」という世代に該当する。

テレビが元気だった時代から少しづつ力を失っていく時代をまさに体感していた世代である。
コンプライアンスが厳しくなったり、不景気もあり、番組予算が削られたこともあり、平成初期のようなお金をかけた番組は難しいと思うが、今のテレビ番組が面白くないかというと必ずしもそうだとは私は思っていない。

最近だと「水曜日のダウンタウン」や「ゴッドタン」「全力脱力タイムズ」「新しいカギ」等は、令和の今でも面白い言われている番組ではないだろうか。
新しいカギをメインにした27時間テレビは、内容も評判もよく、昨年に続きフジテレビバラエティ復活の狼煙をあげたと思う。

確かに全体的な視聴率低下や若者のテレビ離れ、各種動画配信等テレビに取っては厳しい環境ではあるが、「面白さ」という点では時代に寄り添いながらしっかりと進化しているのではないかと思う。
また、当然芸人さん側だけが世代交代していくわけではなく、視聴者も世代交代をしていくわけで、生活環境や嗜好も年齢とともに変わるため、見るテレビ番組も当然変わっていく。
(今はTverがあるので、深夜番組を引き続き見れるが、それでも好みの問題で見る番組は変わってくる)

タモリさん、たけしさんの番組が終わっていくのは寂しいが、霜降り明星さん、チョコプラさん、千鳥さん、かまいたちさんなど次の世代がメインをはる番組はできており、「お笑い」という業界としても悲観することは全くないと思う。
テレビが中心ではなくなっていくが、芸人さんの側からすれは、テレビ以外のYouTubeやNetflix等の活躍場は広がっているし、お金はかけられないかもしれないが、その分ターゲットを絞ったやり方でそれぞれ面白いを思うことを表現することはできる環境になったと考えている。

平家物語ではないが、人の世は、どの時代もどの業界も盛者必衰であり、世代交代が進まない方が問題であり、私もいつかは最新のお笑いがわからなくなり、歳をとったと思う日が間違いなくくるが、少しでも長く最新のお笑いがわかるように感性を磨きたいと思った一冊であった。

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