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大人の読書感想文「世界はうつくしいと」長田弘

詩、それは、
むずかしいもの。
センスが必要なもの。
私には読めないもの。書けないもの。

そんな固定概念を吹き飛ばしてくれたのは長田弘さんである。

万葉集を読む時はこう考える。「この部分が○○用法で△△だからつまりこの句は~~ということを表しているのだ」と。
絵画を見るときはこう考える。「この部分は○○の象徴で△△という時代の~~を・・・した感情を表現しているのだ」と。
音楽を聴くときはこう考える。「この部分は○○という楽器を△△していて~が・・・で素晴らしい」と。

この世の芸術はなんとむずかしいことか。
知識なしに感動できないのか。

そんな人に長田さんの詩を勧める。

果たして彼はことばの妖精か、仙人か。

長田さんのことばはぴたりとしている。
数あることばのなかからそこにあるべきことばを選び出す。
難しいことばはほとんど使われない。
知っていることばたちがワルツだかなんだかをおどり
ひとつの文章となり美しい光景が目の前に浮かぶ。

つまり読み手の脳みそはシャットダウンかスリープ状態でいいのだ。
いや、むしろ、シャットダウンかスリープ状態でないといけない。
わたしみたいなナマケモノにちょうどいい。

考えようとするほど浮かんだ光景はゆがんでいく。
自分の経験という偏見が世界をゆがめる。

世界平和に必要なのはこの詩だ!と本気で思った。
うつくしいことばとそれを受け取る心の余裕さえあれば、と。

あれ、最初に絵画ファン、音楽ファン、万葉集ファンに喧嘩打ったのはだれだ?
(私は万葉集も音楽も絵画も大好きです。)

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